“インディーアニメ”の足跡と、自分がやるべきこと──会社設立を選んだアニメーター「のをか」の胸中

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KAI-YOU編集部_アニメ・漫画部門

シーンの“中堅”だった自身がスタジオを設立した理由

こむぎこ2000さんやはなぶしさんらが中心となって牽引するインディーアニメを俯瞰した時、僕自身は2024年まで率直に中堅くらいの立ち位置だった。

代表作と呼べる仕事がないこともないが、自分の作風を完成度の高いプロダクトとして定着できてはおらず、爆売れもしていない。でも食べていけている。そういうポジション。

動きがあったのは2025年の1年間、監督としてスタッフを集めて作品をつくるようになってからだったと思う。

ゲーム『原神』などの公式二次創作オンラインイベント「HoYoFair」に参加して、小規模のチームとしてIPもののアニメを制作した。神聖かまってちゃんの「死にたいひまわり」のMVではテクニカルディレクターのAodarumaさんと組んだ。

両作品を通じて、自分の作風と言えるスタイルをさらに一つ上の次元に昇華できた手応えがあった。つまり、自分に足りなかったピースを埋める手段が「人とつくること」だった。

「HoYoFair」で制作した『海灯祭を祝して!』
神聖かまってちゃん「死にたいひまわり」MV

これは、ほぼワンマンで制作することが多いインディーアニメでは、なかなか気づきにくい要素だった。

そして、個々の作風を色濃く世に出したい人が多いシーンにおいて、恐らくチームでどうつくるかに関心が湧いた自分は珍しいタイプだったと思う。同時にいくつかのことを考えた。

・企画ごとに毎回突貫で人を集めるより、ちゃんと組織を立ち上げて仕事に挑んだ方が、より強固な連携が取れる。なおかつフィードバックも大きく、作品の質が上がり規模も広がるのではないか。

・僕と同様、状況的に一人でつくるという手段を取っているか、あるいはチームの現場づくりは苦手だが、実は複数人でつくった方が輝く人が、他にもいるのではないか。

・自分はこれまで全てのセクションを担当していたが、それらを他人に託すようになったとして、最後はどこまで手放せる? 反対に手放せないのはどの部分?

・個としてのスターにまで到達できなかった場合、インディーズっぽい手触りは、いつまで生き残る?

・あるいはスターすらも、いつまで生き残る?

同様のことを考えていたプロデューサーのYAMAADさんを代表取締役として、2025年春にbeesが発足した。

ずとまよの「形」のMV制作からスタートしたbeesのこの半年は、本当に怒涛だった。当初はじっくり公式サイトやロゴをつくって、9月に正式発表して、そこから仕事を取っていこうと話していた。

スタジオ入口に掲げられているロゴ

実際はそんな暇もなく、ありがたいことに次から次へと仕事をいただき、それに伴い志を共にする仲間をスカウトして、気づけば会社の設立発表は2026年1月になった。

メンバーも14人まで増え、2月には片瀬江ノ島駅付近にスタジオが立ち上がった。このスタジオづくりの経緯や所属メンバーもかなり面白いので、次の機会に話したい。

スタジオ内の様子

スタジオ内の壁には落書きも

いまだ常にチームのベストな形を模索している。珍しいのが14名のスタッフのうち、取締役のYAMAADさんを除いた上で12名が社員雇用という点だ。エージェント契約のような形で緩めに集まるより、社員と会社として強固な組織をつくり上げてこそ、会社から文化が生まれるという考えが背景にある。

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