米国アカデミー賞の選考や授与を行う団体・映画芸術科学アカデミーが現地時間5月1日、第99回アカデミー賞(2027年3月14日開催)における新ルールを発表した。
その中で生成AIについての扱いを明文化。演技部門では「人間が演じた役柄」のみ、脚本部門では「人間が執筆したもの」のみが選考の対象になると説明している。
今回の変更に伴い、主演男優/女優賞、助演男優/女優賞、脚本賞、脚色賞において、生成AIによる制作物が事実上除外された形だ。
“AI女優”も登場──映画産業における生成AIを巡る動き
近年、ハリウッドをはじめとしたアメリカの映画産業では、生成AIの使用を巡るトピックスが相次いでおり、その影響は国内外に波及している。
2023年には、俳優組合と脚本家組合が、演技に対する生成AIの使用などを巡ってストライキを実施。2024年には『タイタニック』などでも知られるジェームズ・キャメロン監督が、画像生成AIを手がけるStability AI社の取締役に就任した。
アカデミー賞授賞式の様子/画像はアカデミー賞公式サイトより
2025年1月には、映画『ブルータリスト』(2024年公開)で登場人物が話すハンガリー語に、生成AIが使用されていることが明らかに。同作は同年3月の第97回アカデミー賞で3部門を受賞している。
さらに同年9月には、AI生成された女優のティリー・ノーウッドが「チューリッヒ映画祭(Zurich Film Festival)」で“AI女優”として正式発表。これに対してハリウッドから反発が相次いだ。
米国アカデミー賞、人間の創造性重視する方針を明文化
こうした中で映画芸術科学アカデミーは2025年4月、映画制作における生成AIの使用について「作品のノミネートに影響しない」と明言。
同時に、受賞作品を選ぶ際「創作活動の中心に人間がどの程度関わっていたかを考慮し、その功績を審査する」とも説明していた。
アカデミー賞授賞式の様子/画像はアカデミー賞公式サイトより
そして今回、2027年3月14日開催の第99回アカデミー賞における新たな規定が発表された。
演技部門においては、選考対象は「本人の同意のもと、人間が実際に演じた役」に限定。脚本部門も、選考対象となる脚本は「人間によって執筆されたもの」であることが明文化された。
さらに「映画芸術科学アカデミーは、映画制作における生成AIの使用内容や人間による創作関与の程度について、追加情報の提出を求める権利を有する」と説明。
生成AIを完全に排除しないものの、審査においては人間の創造性を重視する──米国アカデミー賞の生成AIに対する方針が、改めて明確に打ち出された。今後のノミネートの行方にも注目が集まりそうだ。
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