樋口恭介、生成AIが8割を執筆したSF長編を刊行「最後の実験文学」

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Yugaming
樋口恭介、生成AIが8割を執筆したSF長編を刊行「最後の実験文学」
樋口恭介、生成AIが8割を執筆したSF長編を刊行「最後の実験文学」

生成AIとの共作長篇『Executing Init and Fini』/画像は早川書房のXより

SF作家・樋口恭介さんによる長編小説『Executing Init and Fini』が3月18日(水)、早川書房より刊行された。価格は2,750円(税込)。

本作は、LLM(大規模言語モデル)と呼ばれるテキストに特化した生成AIを駆使して制作された作品。人間とAIによる“共作長篇”として位置づけられる意欲作だ。

全体の約8割が生成AIによる出力で構成されており、樋口恭介さんは一部の整合調整や補筆を担当した。

生成AIとの共作長篇『Executing Init and Fini』

『Executing Init and Fini』は、樋口恭介さんの構想とプロンプト設計をもとに、テキストの大部分をLLMが生成した作品。

作家・樋口恭介さんが執筆した断章と、生成AIによって書かれた断章が交錯しながら、ひとつの物語を形成していく構造を持つ。

「観測系」と呼ばれる人工知性が出力する言語空間を、物語の舞台としている。

観測系と呼称される人工知性が、読者Aを想定して出力する言語空間。作家・樋口恭介が執筆した断章と、樋口恭介のプロンプトによる生成AI執筆の断章とが交錯する。企画・編集のアンソロジー『異常論文』から5年、本邦初、生成AIと人間による本格的な共作長篇早川書房のXより

樋口恭介さんは本作について、「最後の実験文学のひとつ」と位置づけつつ、テクノやノイズミュージックのように「全てが機械の中で完結する、機械芸術として楽しんでほしい」と語っている。

文芸と生成AIを巡る実験を繰り返してきた作家・樋口恭介

樋口恭介さんは、2016年に第4回ハヤカワSFコンテストで優秀賞を受賞した小説『構造素子』でデビュー。

以降、近未来社会やテクノロジーと人間をめぐる問題を主題とする小説や評論を発表してきた。

また、メディアレーベル「anon press」では、「SFを社会実装する」SFプロトタイピングの取り組みを発信。

自身でも生成AIを用いて執筆した実験的な小説を多数公開してきた他、文芸と生成AIの未来を語る配信企画にも登壇。

2025年9月には、LLMを用いて小説を生成する技法を紹介する入門書『AI先生のSF小説教室』も刊行している。

徐々に進む文芸分野での生成AI活用

2024年の第170回芥川龍之介賞を受賞した九段理江さんの『東京都同情塔』に使用されて以来、文芸への導入が注目される生成AI。

直近でも、2026年2月に発表された第13回日経「星新一賞」でも、グランプリや優秀賞など受賞4作品のうち3作品が、創作過程でAIを活用されていたことが話題を集めた。

そうした流れの中、大半をLLMが生成した今回の作品が、どのように評価されるのかにも注目したい。

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