作家/批評家の樋口恭介さんによる新刊『AI先生のSF小説教室──クリエイティブVibeライティング入門』(晶文社)が9月12日(金)に刊行された。
本書は、ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)を用いて小説を制御的に自動生成する技法を紹介する実践的な入門書。
樋口恭介さん自身が提唱する「Creative Vibe Writing(CVW)」の手法を全面的に用いて執筆。まえがき/あとがきを含む全テキストが、人間の設計したプロンプトとAIの応答を編集する形で制作されている。
実践形式で学べる「AI小説の書き方」
本書は「Prototype(原型生成)」「Play(探索)」「Polish(磨き上げ)」の三段階を軸に構成されている。
ソフトウェア開発のトレンドである「Vibe Coding」(AIに自然言語で指示を出してコードを生成/修正させるプログラミング手法)を小説執筆に応用。
短時間で小説を生成する演習から、キャラクターや世界観、スタイル設計までを順を追って解説しており、読者はワークショップ形式でLLM創作を体験できる。
さらにAI時代の創作倫理や著作権問題にも踏み込み、技術的な指南にとどまらず、社会的な視点を持つ内容となっている。
「LLMの現在地点を記録する」SF作家 樋口恭介の意図
樋口恭介さんは1986年生まれの作家/批評家。2016年に第4回ハヤカワSFコンテストで優秀賞を受賞した小説『構造素子』でデビューした。
以降、近未来社会やテクノロジーと人間をめぐる問題を主題とする小説や評論を発表してきた。
また、メディアレーベル・anon pressでは、「SFを社会実装する」SFプロトタイピングの取り組みを発信。自身でも生成AIを用いて執筆した小説を多数公開している。
刊行にあたり、樋口恭介さんは自身のXで「批判もあるかと思いますが、LLMの現在地点を記録しておきたく作りました」とコメントしている。
なお、執筆に用いた生成AIのモデルは主にAnthropic社の「Claude 3.5 Sonnet」だという。技術の更新を前提にしつつも「方法論としての普遍性」を重視したと説明している。

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