「トランプ政権下の世界を風刺」ティム・オブライエンの長編小説、村上春樹が翻訳

「トランプ政権下の世界を風刺」ティム・オブライエンの長編小説、村上春樹が翻訳
「トランプ政権下の世界を風刺」ティム・オブライエンの長編小説、村上春樹が翻訳

ティム・オブライエン著 村上春樹訳『虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ』書影/画像はAmazonより

ティム・オブライエンさんの小説『虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ』が、2月28日(金)にハーパーコリンズ・ジャパンから刊行される。

翻訳は、小説家/翻訳家の村上春樹さんが担当した。

虚言症が蔓延するアメリカを舞台に、稀代の嘘つき男による逃避行が展開。ティム・オブライエンさんにとって20年ぶりの長編小説となる。

ベトナム戦争をテーマにした作品で知られるティム・オブライエン

ティム・オブライエンさんは、アメリカ・ミネソタ州オースティン生まれの作家。1973年に『僕が戦場で死んだら』で小説家デビュー。

初期には、ベトナム戦争への従軍経験を元にした内容が高く評価され、以降はベトナム戦争以外を題材とした作品も手掛けている。

日本では、村上春樹さんが、翻訳を通じてティム・オブライエンさんの著作を紹介。

1998年に文春文庫から刊行された短編集『本当の戦争の話をしよう』収録の短編「待ち伏せ」は、高校の教科書にも採用されている。

フェイクニュースの王を描く『虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ』

今回刊行される『虚言の国 アメリカ・ファンタスティカ』は、2002年に刊行されたティム・オブライエンさんの前作『世界のすべての七月』に続く20年ぶりの長編小説。

主人公は、ある理由で一流ジャーナリストからフェイクニュースの王に転落した中年男・ボイド。彼は、地元銀行の窓口係・アンジーに銃をつきつけ、奪った8万1千ドルと彼女を連れ、逃避行に出る。

原作は2023年に刊行。当時、刊行に際して村上春樹さんは、「ティム・オブライエンは私が最も楽しみにしているアメリカ人作家の一人です。彼の新しい小説は、イラク戦争後、コロナ禍、トランプ政権下の世界を皮肉たっぷりに描写しており、カミソリのように鋭い作品です」(外部リンク)とのレビューを寄せている。

この記事どう思う?

この記事どう思う?

現代社会を風刺する文学作品たち

「トランプ大統領と似てる」稀代の詐欺師を描く『ヤギの睾丸を移植した男』刊行

「トランプ大統領と似てる」稀代の詐欺師を描く『ヤギの睾丸を移植した男』刊行

実在した詐欺師と、それに翻弄される世間を描くノンフィクション『ヤギの睾丸を移植した男』が、国書刊行会から刊行された。著者は作家のポープ・ブロックさん、訳者は杉田七重さん。舞台は20世紀前半のアメリカ合衆国。偽医者のジョン・R・ブリンクリーさんの生涯をテ...

kai-you.net
ファンタジー小説『バベル』日本上陸 SF界激震の騒動に巻き込まれたベストセラー

ファンタジー小説『バベル』日本上陸 SF界激震の騒動に巻き込まれたベストセラー

ファンタジー小説『バベル オックスフォード翻訳家革命秘史(以下『バベル』)』上下巻が、2月12日(水)に東京創元社から刊行される。世界的なSF文学賞の一つであるネビュラ賞を受賞した一方で、同じくSF賞の権威であるヒューゴー賞では最終選考から漏れただけなく、ス...

kai-you.net
「4chan」がポップカルチャーと政治をミックスした 敵対心生むミームの循環.jpg

「4chan」がポップカルチャーと政治をミックスした 敵対心生むミームの循環

私たちは現在、ソーシャルメディアで言葉と同じくらいリアクションGIFやネタ画像でコミュニケーションを取っている。「ミーム」と呼ばれるインターネット上でコピー・拡散され流通するそれらのイメージは、いまや手っ取り早く簡単に情報を伝達する会話の一部として日常に組み込まれている。 2015年10月13日、大統領選へ…

premium.kai-you.net

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。