実在した詐欺師と、それに翻弄される世間を描くノンフィクション『ヤギの睾丸を移植した男』が、国書刊行会から刊行された。
著者は作家のポープ・ブロックさん、訳者は杉田七重さん。
舞台は20世紀前半のアメリカ合衆国。偽医者のジョン・R・ブリンクリーさんの生涯をテーマに、アメリカ社会の肖像を、コミカルかつ警告的に描く。
「男性の衰えた精力をみるみる回復させる」偽医者ジョン・R・ブリンクリー
ジョン・R・ブリンクリーさんは、ヤギの睾丸を人間に移植して「男性の衰えた精力をみるみる回復させる」という手術を看板に、「ヤギ腺医者」とも呼ばれた詐欺師。
この治療はデタラメにもかかわらず、天才的なマーケティングによってインポテンツに悩む何千人もの顧客が全米中から殺到。
ジョン・R・ブリンクリーさんは「カンザスの救世主」となり、アメリカで最も裕福な医師として成功する。
マット・デイモン主演での実写映画化も報道
その後、ジョン・R・ブリンクリーさんは、当時新興メディアだったラジオに着目。
ラジオ局を建設すると「ラジオ司会者の元祖」として、世間を翻弄し、世間の支持を背景に州知事に立候補。政界進出を目論んだ。
その死後もジョン・R・ブリンクリーさんは多くの注目を集め、2016年には『ナッツ!ブリンクリー博士の奇妙な運命』としてアニメ映画化。マット・デイモンさん主演での実写映画化が進行しているとも報じられている。
原書は2008年に刊行。国書刊行会によれば、主人公がアメリカ大統領のドナルド・トランプさんに似ているとして、既にロシアと韓国で翻訳出版されているという。
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