インディーアニメが知らしめた才能と熱量　渋谷PARCOイベントレポート

こむぎこ2000さんとはなぶしさん、2人のアニメーターによって企画されたイベント「インディーアニメクロスX! in 渋谷パルコ」が、9月22日（金）から10月9日（月）まで渋谷パルコで開催される。

期間中、会場である渋谷パルコB1Fのギャラリー・GALLERY Xで展覧会、6階のカフェ・GG Shibuya Mobile esports cafe&barではトークイベント（チケットは受付終了）を実施。

KAI-YOUでは、前日21日行われた内覧会を取材。会場の様子をレポートする。

【写真】「インディーアニメクロスX!」の展示内容

シーンの熱量を再現する「インディーアニメクロスX!」

アニメーション作家・こむぎこ2000さんが旗振り役となって生まれたX（旧Twitter）のハッシュタグ「#indie_anime」。

2020年頃から使われているこのハッシュタグは、個人クリエイターによる自主制作アニメから発展し、インディーアニメ（indie_anime）という名のムーブメントへ成長した。 インディーアニメで活動するクリエイターが、MVやCM、TVアニメといった商業シーンに起用されるなど、アニメーターの新たな活躍の場にもなっている。

その熱量は、商業シーンを主戦場としていたクリエイターも刺激しており、イベントの企画者であるはなぶしさんや、MVなどで活躍するhmngさんも影響を口にしている。 そんなインディーアニメに関わるクリエイターらが協力して開催されるのが「インディーアニメクロスX!」だ。

キービジュアルを使った壮観なイラストがお出迎え

展覧会の会場では、参加クリエイター陣の手がけたイラストパネルが出迎える。

「インディーアニメクロスX!」のキービジュアルにも登場するイラストが壁一面に貼り出され、すべてが同じ方向に向かって疾走……しているかのような、躍動感にあふれた展示は圧巻だ。 こむぎこ2000さんやはなぶしさんはもちろん、coalowlさん、ヨウヘイさん、りく Ligtonさん、革蝉さん、植草航さんらが制作したキャラクターを、一つひとつじっくり堪能できる。

こむぎこ2000のイラストで体験するアナログアニメ

キャラクターたちの視線の先──会場内部へと足を踏み入れると、アミューズメント施設などでお馴染みの筐体が登場。

円盤状のプレートに配置されたこむぎこ2000さんの描き下ろしイラストが回転、その様子をiPhone越しに見ることでアニメーションするという、ゾートロープ（回転のぞき絵）を活用した展示だ。 ほかにも会場には、参加クリエイターが影響を受けた作品を紹介する本棚、アニメーターの作業机（イメージ）といった、ファンなら押さえておきたいフォトスポットも。 また、こむぎこ2000さん、はなぶしさん、たなかまさあきさん、鹿子前さん、ajisaさん、巡宙艦ボンタさんが手がけた映像のメイキングムービーも公開されている。

クリエイター総勢100名が参加した図録も

そして物販では、キービジュアルを使用したパーカーやTシャツ、アクリルキーホルダーなどに加え、総勢100名のクリエイターが参加した図録『indie_anime 2023』も販売。

目玉アイテムでもある図録は200ページを超える大ボリューム。編集には、インディーアニメの歴史を記録した同人誌『僕らのインディーアニメ史観』の作者・とびたさんも参加している。 各クリエイターを見開きで紹介する図録には、こむぎこ2000さんのインタビューも収録。企画者の一人であるはなぶしさんが「商業誌でもなかなか見ないクオリティ」と語る一冊だ。 インターネット上で日々新たな作品が公開されているインディーアニメ。「インディーアニメクロスX!」は、一連のムーブメントや熱量の記録という意味でも、重要なイベントになりそうだ。

【写真】「インディーアニメクロスX!」の展示内容