『ぼっち・ざ・ろっく!』に『ガールズバンドクライ』ときて、次にくるバンド作品はこれ! な漫画を今回は紹介。
年間数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事に沿った漫画を新作・旧作問わず取り上げる本連載「漫画百景」。第四十景目は『ふつうの軽音部』です。
先に挙げた2作を筆頭に、バンドモノが人気を集めている今日この頃、次にくるバンド漫画は『ふつうの軽音部』だと断言します。
既刊2巻とまだ追いかけやすいうちに、ぜひ一読を。
ロックの日である本日6月9日には最新話(25話)が更新され、エピソード的にも今ちょうど盛り上がりを見せているので、タイミングもバッチリです。
少年ジャンプ+で連載中 クワハリ&出内テツオによる漫画『ふつうの軽音部』
『ふつうの軽音部』は、2024年1月から集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+」で連載が開始された漫画作品です。
高校入学を機に、軽音部へ入ることを決めた女子高生・鳩野ちひろ(はとの ちひろ)が主人公。彼女が部内の失恋騒動に振り回されたり、ド緊張の初ライブを経験しながら成長していきます。
原作者のクワハリさんによる前身の作品が、2023年1月にユーザー投稿型漫画サイト・ジャンプルーキー!に掲載され、反響を呼び、少年ジャンプ+での連載が決定。
作画を『野球場でいただきます』の作者、出内テツオさんが担当する形で連載されています。
漫画家の登竜門であるジャンプルーキー!から少年ジャンプ+への栄転を果たした本作は、1巻の重版が決まるなどさっそく話題に。6月4日には2巻も刊行されました。
“ふつうの軽音部”の絶妙なリアリティ
『ふつうの軽音部』は、タイトルの通り、大阪の一般的な高校の、輝かしい実績があるわけでもないふつうの軽音部が舞台の作品です。
主人公の鳩野も特に楽器が上手いわけではなく、そもそも高校からギターを始めた口。1話ではバンド漫画ではちょっとしたイベントになる、楽器の購入シーンが描かれます。
ですが、鳩野は1人で店に入り、高価なギターに物怖じするものの、サクッと購入して終わりです。特に何も起きない(ある意味、運命の出会いを果たしてますが)。
購入資金も中学3年間のお年玉と母への借金でまかなう、ありふれたものです。
その後も、やる気のある部員の方が少ない部内のゆるい雰囲気、恋愛トラブルでのバンドの解散、サークルクラッシャーが起こすいざこざと、あるあるな展開が続きます。
それって面白いの? と思われるかもしれませんが、めっちゃくちゃ面白いです。現実でもよくある展開だからこそ、登場人物たちの言動や心情が身近に感じられる。そのリアリティが絶妙なのです。
フィクション上の誰かの物語を楽しむ漫画ではなく、フィクションでありながら、どこか自分ごととして捉えられる、生々しい感情が読者の中に染み渡る。それが『ふつうの軽音部』という漫画です。
では、以下からネタバレありで内容に触れていきます。未読の方はご留意ください。
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連載
テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。
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