ホロライブ「Blue Journey」とは何か? 青き理想を追求した1stシングル『水たまり』から解き明かす

「Blue Journey」プロデューサーが語る各メンバーの魅力

最後に、「Blue Journey」担当プロデューサーに、これまでの活動を通じたメンバーへの印象について、メンバー23人全員分を語ってもらった。CD封入特典のアートブックと合わせて楽しんでほしい。

アキ・ローゼンタールさん

普段の配信ではお酒が好きだったり、異国情緒を感じるダンサブルな楽曲のイメージが強いアキロゼさん。朗読では温かくも力強い語りの上手さが際立つため、「Blue Journey 1st Live」では、世界観をつくる上で重要なトップバッターを安心してお任せできました。

また、楽曲では深みのある艶やかな声の表現が新鮮でした。「光の軌跡」でオケが静かになり歌声がぐっと前に出てくる部分では、意志が伝わってくるようなビブラートが印象的です。活動歴は長いですが、まだまだ色々な魅力の引き出しを持っていると驚かされました。

白上フブキさん

フブキさんは、声に力強さとハイトーンの透明感が共存し、どの楽曲でも「ここにいるよ!」と訴えかけるような華やかさがあります。まっすぐと心に響いてくるのが印象的でした。ソロでの存在感はもちろん、複数人で歌っている際にも、自分以外を邪魔せず調和しながら、しっかりと楽曲に相乗効果をもたらしてくれました。

長い活動歴の中で、しっかりとご自身の声の魅力をわかっている──セルフプロデュース力が高いからこそだと思います。「Blue Journey」自体にも共感いただき、自主的な宣伝を数多くしていただいてとても感謝しています。

湊あくあさん

元々声に可憐さと儚さを併せ持つあくあさんは、その雰囲気をキープしながら様々な歌唱表現が可能な方でもあります。なので、ここ一番でライブの雰囲気を形づくるようなエモーショナルな楽曲を歌っていただきました。

「あの日の僕らへ」では、少し鬱屈としたシリアスなメッセージを含んだAメロから、希望が見えるサビでの爽やかな解放感は、あくあさんに参加していただくことで、より一層表現できたと思っています。Bloom,の時もそうでしたが、レコーディングではいつも限りなく少ない回数でOKテイクを出していて、努力家なアーティストという一面も印象的でした。

癒月ちょこさん

元々歌に苦手意識があるとおっしゃっていたちょこさんは、活動当初と比べて歌唱レベルが上がり、歌える楽曲ジャンルも確実に広がってきていることが、「Blue Journey」を通じて伝わってきました。

全体曲を除いては、「サザンクロス」というアルバムの肝となる楽曲に参加いただきました。持っている個性をキープしながら歌える方なので、サビではまとまりつつそれぞれの魅力を表現したかったこの楽曲において、しっかりと存在感を放っていました。そして、「Blue Journey 1st Live」の朗読パートは、ちょこさんの真価が感じられたほどの素晴らしさ。みなさんも体感いただけたのではないでしょうか。

大空スバルさん

いつもの元気なアイドル的なスバルさんの歌声に対して、「Blue Journey」では特有の“不”の感情を表現してもらうために、新たな可能性に挑戦いただきました。特に、「光の軌跡」収録前はご本人も心配していましたが、結果はみなさんお聴きいただいた通り、素晴らしい楽曲になりました。

驚き、感動されたファンの方もたくさんいらっしゃったと思います。私もです。朗読パートや楽曲中のセリフで際立つ、低音で力強さを持つスバルさんの声。その声が寄り添ってくれることで、より一歩踏み出す勇気をもらえるような楽曲に近づいたのではないかと考えています。

大神ミオさん

ミオさんの、シリアスさと力強さを併せ持った声は、当初から「Blue Journey」の世界観にとてもマッチしていると感じていました。基本的に、どの曲も器用に歌いこなせる方なので、安心感があります。

「夏を許せない」のような、失敗できない歌声の伸びが必要で、かつセリフパートにも重みを感じさせられるような楽曲は、特にミオさんとのシナジーを感じていただけたのではないでしょうか。「光の軌跡」「水たまり」でもそれは感じ取ることができ、ミオさんの声に自然と乗る説得力や強みを、ぜひ今後も活かしていただきたいです。

さくらみこさん

ご自身の抱く理想像に、まっすぐ向かう努力を怠らないみこさん。「Blue Journey」では、ご自身が普段あまりされないような、大人っぽい表現方法にもチャレンジしていただきました。テンポが早く、全体的にかなりシリアスなムードの楽曲に対しても、「ここまで雰囲気を合わせることができるのか」と新鮮な驚きと発見の喜びがありました。

存在感のあるみこさんの声が合わさることで、楽曲の雰囲気も暗くなりすぎず、何度も聴きたくなるようなキャッチーさを醸し出せました。専用衣装を着た清楚で綺麗なみこさんがステージで踊る姿は、その印象をさらに強めていたと思います。

猫又おかゆさん

おかゆさんは、優しく落ち着いた低音から、耳に刺さらない心地よいハイトーンまで使いこなすことができ、ベースとしてかなり高い歌唱レベルをお持ちです。それだけではなく、たとえばつぶやくような歌い方なのに、その温かみになんだか思わず泣けてしまうような、不思議なニュアンスが出せる稀有な方だと思いました。

「水たまり」以外で参加いただいた楽曲でも、おかゆさんにしか出せない、夢見心地のようなふわふわとした、輪郭の溶けたような響きが混じり合い、楽曲の神秘さや静謐さを深めていただいたと感じています。特に「夏を許せない」の落ちサビのソロは、何度聴いても涙を誘います。

戌神ころねさん

愛嬌のある特徴的な声と、元気なテンションのイメージがあるころねさんですが、「Blue Journey」では影のある凛とした大人っぽい歌い方に挑戦していただきました。

ご本人のオリジナル曲でも難易度が高く、リズムやテンポ感が独特な楽曲を歌いこなしていることもあり、跳ねるようなリズム感が特徴の「不純矛盾」では、いつもと違う歌唱ながら、堂々と歌いこなしているのが印象的です。曲の印象を決める歌い出しはもちろんのこと、最後の家に帰ろうという締めとなる歌詞も、ころねさんが歌うことで、余韻とともに曲の印象が引き締まったと思います。

兎田ぺこらさん

ぺこらさんはよく通る高音をお持ちなので、ソロはもちろん、複数人で歌うパートでも曲に可愛らしい丸みを持たせてくれていると思います。マイク乗りが良く、どの音域でもぺこらさんらしい歌声をキープできるため、メッセージ性が強く、時にシリアスな歌詞が特徴的な「Blue Journey」の楽曲が重くなりすぎずキャッチーになる。ぺこらさんの存在意義は大きかったと思います。

普段の忙しさに加えて、ご自身のソロライブの準備もある中で、歌唱収録現場ではその疲れを見せず、とても真摯で礼儀正しく優しい雰囲気からプロフェッショナルさを感じました。

不知火フレアさん

フレアさんは語りがそのまま歌になったような、透き通っていて人を惹きつける歌声を持っています。また、サビなどでパワフルに見せ場を強調する歌い方もできます。歌唱においては、どのようなパート・役割も器用にこなせるため、逆にどの曲を歌っていただくか、いい意味で悩みました。

結果的に「また傷に触れる」の出だしを、より印象的なものにしてくださったのはフレアさんの歌声があったからこそです。そして、「Blue Journey 1st Live」での感情の乗った朗読は、一度聴いたら忘れることができない温かみを、見た人の心の中に残していってくださったと思います。

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