pixiv、クリエイターの不利益になるAI学習を全面禁止に 規約を改定

pixiv、クリエイターの不利益になるAI学習を全面禁止に 規約を改定
pixiv、クリエイターの不利益になるAI学習を全面禁止に 規約を改定

AIを巡って利用規約を改定したpixiv

イラストコミュニケーションサービス・pixivは5月31日、サービス共通利用規約とpixivガイドラインの改定を発表した(外部リンク)。

この利用規約は、pixivおよびpixiv関連サービスが対象。画像生成AIをはじめ、技術の発展によって発生している問題への対処を目的とした改定となる。

その中で、投稿者の許諾を得ずに作品をAI学習データとして利用し、投稿者に不利益が発生する行為、またそうした行為を助長するツールやモデルの配布を禁止行為として明記した。

AI学習データへの利用やモデル配布が禁止行為に

今回の改定では、共通利用規約第14条の禁止行為として以下の項目が追加された。

【サービス共通利用規約の改定箇所】

第14条 禁止行為
4.本サービスまたは個別サービスに投稿等されている投稿情報を情報解析(人工知能を開発するための学習行為を含みます。以下同じ。)した結果を用いた行為であって、当該投稿情報を投稿等したユーザーの利益を害すると当社が判断する行為。ただし、当該情報解析につき投稿情報を投稿等したユーザーの許諾を得た場合はこの限りではありません。

5.情報解析した結果を用いて、反復継続して特定の第三者の作品、肖像または音声等に類似した投稿情報を投稿等する行為、またはその投稿等を幇助または助長するツールやモデル等を配布または販売する行為、その他の第三者の利益を不当に害すると当社が判断する行為

具体的には、投稿者本人の許諾を得ずに作品を学習データとして利用し、AI等のプログラムを用いて著しく似た作品を投稿したり、作風を再現するなどして、学習元となった作品の投稿者に不利益が発生する場合は禁止行為となる。

また、それらを幇助または助長するようなツールやモデルの配布・販売も禁止。pixivは、こうした行為は「クリエイターの活動を脅かすことに繋がる恐れが大きい」と改定の理由を説明した。

同じく“なりすまし”についても、以前の「運営者または第三者に成りすます行為」から、「他のユーザー、その他の第三者になりすます行為、またはそのように誤認されるおそれがあると当社が判断する行為」へと改定されている。

AI生成作品が禁止行為に該当する場合、責任は投稿者に

あわせて改定されたpixivのガイドラインでは、「AI等のプログラム利用によって起こり得る、なりすましに繋がる行為、大量投稿によるページの占有に繋がる行為」を禁止行為として明記。

AIなどを使って偶然生成された作品であっても、「特定の作品との著しい類似が認められた場合や、ガイドラインの投稿禁止情報に該当した場合は投稿者として責任を持つ」と、責任の所在を明文化した。

その上で、「実在を否定できないような児童に関する性的表現」について、改めて投稿禁止としている。

また、各種投稿画像については「写真と誤認しうるような性的な作品」や「フィルターや加工が施されていても、実写を主体としている作品」、小説としては「文章表現と確認できない」ものが禁止事項として挙げられている。

ジェネレーティブAIへの対応に追われたpixiv

現在、「Stable Diffusion」や「Midjourney」等の画像生成AIを用いたAIイラストの扱いや発表方法、意図しない自身の作品のAI学習等を巡って、様々な議論や反発の動きがある。

5月6日には、スクレイピング/クローリングによって「pixivに掲載されているイラストを集め、AIイラストを量産できるようにした」といった旨の発言(現在は削除済み)がSNS上で拡散されたことを契機に、有名イラストレーターを含む一部ユーザーがpixivにアップロードしていた作品を非公開する運動にまで発展した。 そうした声を受け、pixivを運営するピクシブ株式会社は、批判が高まるAI生成イラストに関しての声明を相次いで公開している。

これまでにも、特定のクリエイターの画風を模倣した作品を繰り返し投稿する行為などを、利用規約の禁止項目に追加。

AI生成作品の表示・非表示を、検索結果画面にある「検索オプション」から設定できるといった対応のほか、関連サービスの「pixivFANBOX」や「pixivリクエスト」ではAI生成作品の取り扱いを禁止した。 今回のアナウンスでも、制作過程のほぼすべてをAIによって生成した作品を投稿する際には、「AI生成作品」にチェックを入れるよう再度言及。

今回の改定で「AI生成による作品と特に考えられる場合は弊社側でチェックを追加する場合」があると、ガイドラインにも追記されている。

SHARE

この記事をシェアする

Post
Share
Bookmark
LINE

AIを巡るpixivの対応

関連キーフレーズ

2件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:7476)

この記事 書いている時点では事実なのですが
実はpixivはAIを一切規制していないんです
ポーズとして文章にしただけで完全放置、黙認させてます
AIはマネタイズし放題で無法地帯と化してます

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:7462)

まあこれで、絵心、文才の無い人は投稿不可能にはなってしまったね。
どうしても絵心、文才の無い人は、AIに頼り切ってしまうからネタ切れの補助として使えないからね。
AIの進化はすごいからね。

コメントを削除します。
よろしいですか?

コメントを受け付けました

コメントは現在承認待ちです。

コメントは、編集部の承認を経て掲載されます。

※掲載可否の基準につきましては利用規約の確認をお願いします。

POP UP !

もっと見る

もっと見る

よく読まれている記事

KAI-YOU Premium

もっと見る

もっと見る

イラスト・アートの週間ランキング

最新のPOPをお届け!

もっと見る

もっと見る

このページは、株式会社カイユウに所属するKAI-YOU編集部が、独自に定めたコンテンツポリシーに基づき制作・配信しています。 KAI-YOU.netでは、文芸、アニメや漫画、YouTuberやVTuber、音楽や映像、イラストやアート、ゲーム、ヒップホップ、テクノロジーなどに関する最新ニュースを毎日更新しています。様々なジャンルを横断するポップカルチャーに関するインタビューやコラム、レポートといったコンテンツをお届けします。

ページトップへ