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連載 | #8 KAI-YOU COMIC REVIEW

『進撃の巨人』完結記念ガチ考察座談会【加筆・ネタバレ全開】

『進撃の巨人』から考えるこれからのポップカルチャーと自由

それでは、最後のテーマは都築くんの「『進撃の巨人』から考えるポップカルチャーと自由」。これまでも自由の話をしてきた上で、よりメタ的な視点になりますが。

実は、これよねさんのツイートがきっかけなんですけど。

え! 何か言った、わい? 怖!

Twitterで場外乱闘が!?

反知性が少年漫画的方法論と合致した社会へのアンチテーゼとして機能していたけど、もう完全にそれは成立しないので、今週のチェンソーマンのデンジのセリフ「気づいてみりゃあバカのせいで全部ダメになってたんだ」はめちゃくちゃ信頼できるし、これこそ少年漫画がなし得るアンチテーゼだと思いました

「自由になるためにはどうすればいいのか」というのが多くのポップカルチャーにおける根源的なコンセプトだと思うんですが、かつてはバカになる(「頭空っぽのほうが夢詰め込める」に代表されるように)が説得力があったけれども、それだと従属させられるだけなんだとようやく風向き変わってきたと思うわいがちゃんよねやのツイートより

僕も全面的、特に“「自由になるためにはどうすればいいのか」というのが多くのポップカルチャーにおける根源的なコンセプト”っていうところは完全に同意見で。

ありがとうございます(笑)。

もう一歩踏み込んで、なぜそのコンセプトがポップ足り得るかについて考えてみると、人生にはやりたいけどできないことや、やりたくないけどやらなきゃいけないことがめちゃくちゃたくさんあって、だから人々が何かから「自由になりたい」っていう願いが投影されてるからだろうと思うんですよね。

それは少年漫画における超王道だと思うんですけど、『進撃の巨人』はその限界を描いている作品だな、と。

例えば、「これはお前が始めた物語だろ」とか「死んだ甲斐があったな」とか「心臓を捧げよ」とか「戦え」とか。作中でエレンや調査兵団たちは、他人を犠牲にしながら進み続けるってことをずっと繰り返してきたじゃないですか。これらの台詞は、ある種、他人を犠牲にすることを肯定していたと思うんです。

でも、最終章ではこれらの台詞を使って、その限界や悲劇を描いている。「人類なんか嫌いだ!! 巨人に滅ぼされたらいいんだ!!」と叫んだヒストリアを助けたエレン(第66話「願い」)が、人類の8割を殺してしまう。

『進撃の巨人』で描かれた「自由の限界」を踏まえて、『進撃の巨人』以降のポップカルチャーは、それをどう乗り越えて描いていくんだろうな、と。

そのテーマは結構面白いね。『進撃の巨人』だけでも、エレン、アルミン、ミカサの三者三様の自由が描かれていた。

…正直、僕は「他人から自由を奪われるくらいなら、他人の自由を奪う」を地で行くエレンが肯定されて欲しかったですね。

他人の自由を奪うことは確かに辛いですよね。でも、エレンはちゃんと立ち向かってくれると思っていたら、ミカサに忘れられなくないって駄々をこねて死んでいった。

もしエレンが全人類皆殺しして肯定的に終わりだったら、それこそ発禁処分になる可能性があるよ(笑)

それに、そういう方向性のものは、いわゆるセカイ系の結末に収斂されてしまう気もする。『天気の子』もそれに近い結末ではあったし。

映画『天気の子』スペシャル予報

まあ、もっととんでもない景色を見てみたかった、という気持ちもわかりますけどね。

それは僕にもわかりますね。

まあみんな、エレンが自由を託したミカサを信じろって。ミカサしか先行ってないから🥺🥺🥺。ミカサしか勝たん!

うーん。僕はアルミンたちも可能性はまだ残していたと思うけどね。

ポップカルチャーがどうなっていくのかっていう点に関しては、個人的な希望も込めて、次世代型の『エヴァンゲリオン』みたいな感じになるんじゃないかな。

どういうこと? ポスト『エヴァ』?

新世紀エヴァンゲリオン』の後、00年代に「鬱アニメ」が台頭してきたんですよ。

『進撃の巨人』は、現代におけるかつての『エヴァンゲリオン』っぽい立ち位置の作品なんじゃないかなと考えていた。僕が小学生のときに『エヴァ』を見た感覚と、今の小学生が『進撃の巨人』を見た感覚ってかなり近い感じになるんじゃないかなあと。

なるほど、エポックメイキング。この世代における『エヴァ』が『進撃の巨人』だっていう見方はある気がしますね。『エヴァ』世代ならぬ『進撃の巨人』世代みたいな。

もしかしたら15年後とか20年後とかに、『シン・進撃の巨人』が出てくるかもしれない(笑)

まあ、今後『進撃の巨人』がハリウッドで実写化されることを踏まえると、エンタメとしてあっさり消費する人が増えてしまうのではないかな、とは思います。

その一方で、初めて『進撃の巨人』を見た新しい世代が、『進撃の巨人』からプラスアルファを足して、新しい世界を産むのは期待したいですね。

繰り返しになっちゃうんだけど、『進撃の巨人』では「エレンは不自由になることで、その先の人たちに自由を託した」と。これは全員の同意ではなく、あくまで僕の解釈ですが。

彼は運命の超克はできなかったわけなんだけど、誰かが運命に抗えるかもしれないっていう可能性を残したって意味で、継承の物語ではあると思う。

運命に抗う物語って、少年漫画や文学でずっと描かれてきているわけで、それらも『進撃の巨人』は継承して、更新したと思う。これからのポップカルチャーにも、そういう意味で継承されていくものがあると思いますよ。

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