『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン』を筆頭に、長らく続く日本映画史の中でも意欲的かつ、記録と記憶に残るヒット作を生み出した。
これによって、“庵野秀明”という才能が、アニメシーンだけでなく、映画業界、ひいては国民的なクリエイターとして知られることにもなった。
その最新作『シン・仮面ライダー』も大ヒットを記録し、「仮面ライダー」関連作品としては異例の興行収入20億円を記録。新時代に甦った仮面ライダーや怪人(オーグ)の鮮烈なビジュアル表現と共に、話題を呼んだ。
一方で、庵野秀明監督が描く独自すぎる作品は、常に賛否の両方が渦巻く。『シン・仮面ライダー』が上映されたことの意味と達成は、日本のポップカルチャーに何をもたらすのか?
ネタバレをまったく気にしないKAI-YOU編集部の座談会、久しぶりに開催です。
目次
昭和末期・平成生まれたちの“特撮”との繋がり
それでは久しぶりのKAI-YOUネタバレ全開座談会ということで、今回は庵野秀明監督最新作、『シン・仮面ライダー』について語っていきます。
それでは自己紹介を含めて、「仮面ライダー」を中心に特撮歴から語っていきましょう。まずは司会の私から簡単にお手本を見せたいと思います。
私の場合は、夫がすごく特撮作品が好きで、それこそ「仮面ライダー」は初代から平成・令和ライダーまでほとんど観てる。それで私も一緒に「仮面ライダー」を見てます。私は直近の6~7作ぐらいは見てると思いますね。一番好きな仮面ライダーは、『仮面ライダーゼロワン』です。
こんにちは、わいがちゃんよねやです。特撮歴は、もう本当に物心ついた時から「ゴジラ」シリーズはずっと見てて、海外作品とか、スピンオフみたいなの以外は全部見てると思います。
仮面ライダーも初期作品は子どもの時にビデオレンタルで観ました。『仮面ライダー』『仮面ライダーV3』『仮面ライダーアマゾン』とか。ソフビとかも持ってました。ただ最も印象に残ってるのは、平成ライダーの『仮面ライダークウガ』と『仮面ライダーアギト』でして。
なるほど。平成ライダーの中でも最初期かつ、いまなお名作と言われてる作品ですね。
日曜の朝に早起きして、戦隊モノを観て『クウガ』を観て──もう明らかに違ったというか。絵づくりから雰囲気まで、全然違って。ちゃんとガチでつくってるというか、子供ながらに、大人でも観れるようにつくってるんだなっていうのを感じて。
ただ、『クウガ』がちょっとあまりに重苦しくて。仮面ライダーに変身しない回とか、敵と戦わない回とかもあるし!
そうですよね(笑)。
『クウガ』の次に放送された『アギト』が、そこら辺がちょっとマイルドになって、一番ハマりました。今でも心に残ってますね。
『アギト』の中で一番好きな仮面ライダーがいて、仮面ライダーギルスっていうライダーです。『アギト』ではメインに3体、話が進むと計4体の仮面ライダーが出てきて、その3人を主役にしたオムニバスみたいな形で物語が進んでいくんです。
ぼくが好きなギルスは、賀集利樹さんでも要潤さんでもなく、歌謡グループの純烈で女性に暴力問題を起こして、芸能界を引退した友井雄亮さんが演じているんですけど……。すごく破滅的なライダーなんです。変身すればするだけ、自身の生命が削られていくみたいな設定で。末期の薬物中毒者みたいな描写が多くて。
なるほど。仮面ライダーにはダークな仮面ライダーがいがちですよね。そもそも仮面ライダー自体がダークな出自だけど、闇落ちしちゃうみたいな子もいますからね。
ギルスは、とにかく病んでて、不良で、でも人間のために戦っていて。その破綻してる感じが良かったですね。
『アギト』の次に放送された『仮面ライダー龍騎』はデザインが無理すぎて離脱してしまい、そこからあまり仮面ライダーを追わない人生になりました。
(いきなり長げえ…)はい、ありがとうございます。それでは次の方どうぞ。
よろしくお願いします。KAI-YOU Premium編集長のにいみなおです。
特撮系──「仮面ライダー」と「ウルトラマン」は、物心つく前にめちゃくちゃ好きだったらしくて、歌とかは全部覚えてるんですよ。なんだけど、大人になって一切見なくなったんで……。
「仮面ライダー」はそれ以降もほとんど観てなくて、「ウルトラマン」のほうが正直思い入れがあります。特に『ウルトラマンガイア』とかは世代だったのもあって観てましたね。むしろ戦隊モノは今も見てるくらいです。
平成ライダーは『仮面ライダーフォーゼ』しか見てないです。だから今回はそんなに「仮面ライダー」知識があるわけじゃない立場から、お話できればなという感じです。よろしくお願いします。
いや、そんな『仮面ライダー』ガチ勢みたいな人は今回は全然いないと思います。それでは次の方、どうぞ。
はい、KAI-YOU Videosディレクターの古見湖です。よろしくお願いします。
幼稚園とかで、ようやくテレビを見れるような感じになった時には、ちょうど『ウルトラマンガイア』がやっていて、もう少しすると『仮面ライダークウガ』を観ていたような世代です。
戦隊モノよりも『ガイア』とか『ウルトラマンダイナ』『ウルトラマンティガ』とかが好きで、あと僕も『クウガ』がめっちゃ好きで。クリスマスプレゼントに紫と青の武器をサンタクロースからもらってましたね。
他の特撮だと平成「ガメラ」シリーズの『ガメラ3 邪神覚醒』が小さい頃から好きで、何回も見てましたね。イリスっていう怪獣がいるんですけど、クリーチャー的な造形がエグい。
あと『ガイア』も怪獣のデザインがめちゃくちゃ良くて。特にツチケラっていう怪獣が好きです。皆さんもぜひ、この後見てみてください。
なるほど、とにかく気持ち悪い造形が好きなのがわかります。最後の方、自己紹介お願いします。
はい、今回の座談会を企画をしたラッパー/ライター/編集の都築です。
ふるみくんも僕も1996年生まれで、『ウルトラマンティガ』が放送された年に生まれていて。ある種のヒーロー復興期──平成「仮面ライダー」シリーズの一作目『クウガ』が2000年スタートで、『ティガ』が1996年スタートで、平成シリーズという時代と共に、特撮ヒーローという概念そのものが復活してきたタイミングの世代と言っていいでしょう。
僕はわりと、KAI-YOU内で恩田さんに次ぐ特撮好きを自負しておりまして。
本日欠席の編集長!
なぜか来てないけど(笑)。
恩田さんには勝てません。とはいえ、10周年記念作品みたいな節目の作品はちゃんと視聴していて、仮面ライダーで言うと、『クウガ』は全部見てて『仮面ライダーディケイド』『仮面ライダー電王』『仮面ライダーW』『仮面ライダーオーズ』は、全部ちゃんと見ています。20周年の『仮面ライダージオウ』も、完走してるっていう感じですね。
あとAmazonプライムでやってる『仮面ライダーアマゾンズ』。グロいやつですね。『仮面ライダーBLACK SUN』も全部通しで見てます。
割と特撮作品を見てる方だとは思う自負しているんですが、ただガチのファンとっていうよりも昔好きだった、たまに追っかけてる人、くらいのイメージです。今日はよろしくお願いします。
それぞれ度合いは違うけど、みんなやっぱ仮面ライダーはどこかで通ってはいるんじゃないかなという感じですね。
ということで、庵野秀明監督の「シン・」シリーズ最新作『シン・仮面ライダー』を語っていきましょう。満を持して、おそらく庵野さんが一番思い入れのある仮面ライダーが登場するということで、上映前からかなり期待が高まっていた作品だとは思うんですけれども。
一発目の話題として、じゃあ実際『シン・仮面ライダー』を見ていただきましたが、純粋にどう思ったのかを語ってもらいましょう。
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連載
その時々のエンタメ業界に現れた覇権コンテンツについて編集部が議論する連載。コンテンツ自体はもちろん、そのコンテンツが出てきた背景や同時代性、消費のされかたにも目を向け、ネタバレ全開で思ったことをぶつけ合っていきます。
2件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:8229)
全然ダメでしょ。
結局、自分が見たいものじゃなかったという話しかしていない。
というか、ほぼ同じ意見の人どうしで話をするなら一人でいい。
同じ意見だから、互いの意見にツッコミも入らない。
座談としても、つまらない、できが悪い。
シン仮面ライダーという作品が、何をどう描こうとし、具体的にどう描かれているかという話がまるで不十分。オーグを倒す度に、本郷が彼らに黙祷を捧げることの意味や、単なる組織の殺人マニアかのように見えるクモオーグの人間性をKKオーグが語ること。母を持たないルリ子が母を失ったことで苦悶するイチローと同じ写真の中に居たかったというSF的な設定とシナリオの高度な連携。
冒頭コミュ障だと言われる本郷が、ルリ子の本心を察することで描かれる繊細さ等々、そうした丁寧な表現の積み重ねの上で世界の平和や人々を守るのではなく、むしろ守られなかった、傷つき排除された存在を救う物語が描かれる。そこにはライダーも含まれる為に最後の的はライダー0号を名乗るわけでしょう。
本郷の姿を見守るケイの存在にも言及がないし。
特撮映画だからといって、一般の映画評論についてなされるような最低限のシナリオの分析と評価はされたうえで、座談のようなことはされるべきだよ。
折角、賛否両論ある映画の座談をやろうというのなら、双方相当の理解があった上で、真っ向意見をぶつけられるようなやり方をすべきでしょ。
匿名ハッコウくん(ID:7455)
面白い記事でした
確かに特撮を復活させる!みたいな作品ではなかったと思います
シン・ウルトラマンとシン・仮面ライダーは、どちらかと言うと昭和特撮を復活させる!昭和特撮の良いところを知って欲しい!みたいな思惑の方が強いんじゃないかなと思ってます
洗練され常に新しい試みが続いてるウルトラと仮面ライダーシリーズは、蓄積していく中で削られていったものが確実にあります
そこに再度スポットライトを当てようとしていたような感じがするのです
古臭いよね、ダサいよね、そう思えるようなところにこそ
そこがいいんだよかっこいいんだよと本気で庵野秀明は思っている
シン・仮面ライダーが深く刺さった自分の戯言かもしれませんが笑