アニメの世界にもたらされた“新しいものさし”
こむぎこ2000さんの主催する「自主制作アニメーション部」を中心に、Instagramなど他のプラットフォームでも盛り上がる個人制作アニメーション。アニメが新たな可能性を見せ始める現在の状況を、それぞれどのように捉えているのだろうか。自主制作アニメーション部です。
— 自主制作アニメーション部 (@indie_anime) April 13, 2020
インディーズアニメコミュニティの活性化を目的としたアカウントを設置しました。#indie_anime pic.twitter.com/KiZ8EHaoiT
沼田さんは、スポンサーが出資してアニメができる従来の形から、クラウドファンディングによる制作など、ファンが見たいと思うものがつくられることが増えた現状を「アニメーションの民主化」と指摘する。
自らもクラウドファンディングによって作品を制作している塚原さんも、「マスに受けるかどうか以外の新しいものさしができた」と現在の情勢を表現した。
新しいものさしの1つとしてSNSでの反響があるが、こむぎこ2000さんは「SNSでの反応を得るにしても、例えば二次創作を描けば作品の人気に基づいて反応を得ることができるが、それでは自らのファンに繋がらず、結果として仕事にもならない」と指摘。
SNSによって一瞬にしてスターになれる環境であるのは確かだが、その裏に潜む危険性もシビアに考えている。
商業アニメと自主制作の新たな関わり方
本編の中でも触れられていたことだが、こむぎこ2000さんは商業アニメーションへの挑戦はあまり考えていないようだ。若き才能が鳴り物入りで商業デビューし、そのままスターダムへ駆け上がるというストーリーを想像してしまうが、当の本人は「商業で活動するのもいいが、そこで付けた数字を個人へ還元したい」と、あくまで個人制作を充実させたい思いを述べた。
はなぶしさんとヨツベさんはそうした筋道を辿ってきた先達ともいえる。
商業アニメでの活躍からできたファンが個人の作品にも注目する、そうした流れを商業と個人の新たな関わり方として模索する2人は、「商業のシーンだけでなく、個人のシーンという新たな畑をつくっていくことはアリ」と語った。
「アニメ制作会社じゃなければアニメはつくれない」という既存の概念を覆したい思いは皆同じで、今を生きるクリエイターたちが、より純粋な創作の発露の場として個人制作の重要性を感じ取っている。
「アニメは自分にもつくれる」が広がる世界に
実際に技術を学ぶために専門学校や大学へ行っていないこむぎこ2000さんは「“学校に行かなくていけない”とは思わないでほしい」と熱く語る。
技術を学びたいなら、今回の座談会のような企画をはじめ、インターネットでいくらでも教材を見つけることができるし、「自主制作アニメーション部」という発表の場もある。「とりあえずつくってみることが何より重要」とエールを送った。
だが最も重要なのは好奇心や向上心、知識欲といった自らの心持ちであると、実際に学びの場を経験したはなぶしさん、ヨツベさん、沼田さんに塚原さんが口を揃えた。
「アニメは自分にもつくれる」──その実感を得たまだ見ぬ才能が、アニメーションというシーンに新たな旋風を巻き起こすことを世界は待ち望んでいる。
クリエイターたちの言葉を聞く
この記事どう思う?
関連リンク
1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:3424)
とんでもなくボリューミーな座談会だった。自主制作が売れる市場ができたら、既存の「アニメ」のイメージ変わりそう