「自主制作を売る市場をつくりたい」
続いての「作品制作で目指していること」というテーマも白熱した議論を生んだ。ずっと真夜中でいいのに。「お勉強しといてよ」MVにおいて、サイバーでありながらアニメーションとしての息吹も併せ持つ映像表現に取り組んだはなぶしさん。
「新しい表現に取り組みたい」と未踏の地へ挑む情熱は高まっており、これまで1人の登場人物にフォーカスした短編を制作してきた塚原さんも「複数の人物の交わりによるドラマを描きたい」と挑戦への意欲をのぞかせる。 個人の制作における目標のみならず、シーン全体の大きな展望として「自主制作した作品を売るための市場をつくりたい」と語るのは、集うメンバーの中でも最年少のこむぎこ2000さんだ。
自ら立ち上げた「自主制作アニメーション部」では新たな才能が発掘されており、実際にそこから仕事へ繋がったケースも多い。もはやスマホ1つでもアニメが制作できる現在において、もっと多くの人が気軽にアニメを描いて投稿し、個性の光る作品が世にあふれる未来を思い描いている。 『ショートアニメーション メイキング講座』という本も執筆しているヨツベさんも、必ずしもアニメーターという形でなくとも、より広い創作の可能性への投資としての活動に意欲を示した。
盛り上がりをみせる個人制作アニメーションというムーブメントを、より確かなものとして確立させるための各々の心意気がうかがえた。
SNS上でのムーブメントに潜む危険性
しかし、Twitterを中心に盛り上がる現在のムーブメントには1つの懸念が存在する。それは「SNSの性質上、作品が一瞬で流れてしまい、歴史がアーカイブされないこと」と指摘するのは、長年個人制作アニメーションのシーンを盛り上げようと取り組んできた沼田さんだ。
「自主制作アニメーション部」が盛り上がっているのは確かだが、歴史としての積み重ねができなければ一過性のブームで終わってしまう。
「キュレーション機関や定期的なコンテストなどが必要なのでは」と具体的な提言の一方で、それよりも「若いアイデアが生み出す新しい歴史の積み重ね方に期待したい」と、新しい時代のクリエイティブの在り方に希望を抱いていた。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:3424)
とんでもなくボリューミーな座談会だった。自主制作が売れる市場ができたら、既存の「アニメ」のイメージ変わりそう