早川書房のKindle本を対象にした「夏のKindle超大セール」が、AmazonのKindleストアで開催されています。
セール期間は7月13日(月)まで。最大50%OFFの対象作品となる電子書籍は、SFやファンタジー、ミステリ、ノンフィクションなど3000点以上。いつものことながら大量です!
今回は、映画の大ヒットでも話題の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』をはじめ、AIやネットワークが日常化した現代に読みたい古典SF、さらには近年流行するホラーを読み解く一冊など、おすすめの10作品をピックアップして紹介します。
目次
映画も話題の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
まず注目したいのは、アンディ・ウィアーさんによるSF小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』書影/画像はAmazonより
太陽エネルギーが失われつつある地球を救うため、記憶を失った主人公・グレースが宇宙で孤独なミッションに挑む物語。科学的なアイデアを軸にしながら、冒険、ユーモア、友情の物語としても読ませる一作です。
3月に公開したライアン・ゴズリングさん主演の映画は世界で大ヒット。Prime Videoでの配信も解禁されより観やすくなった今、映画と小説一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?
また、同じくアンディ・ウィアーさんの代表作で、映画『オデッセイ』の原作として知られる『火星の人』も、あわせてチェックしておきたいところ。
『火星の人』書影/画像はAmazonより
絶望的な状況でも、知識と工夫と軽口で生き延びようとする主人公たちの姿は、ウィアー作品ならではの魅力です。
ネット怪談を読み解く『ネット怪談の民俗学』
ネット文化や最近流行するホラーに関心がある人には、廣田龍平さんの『ネット怪談の民俗学』もおすすめです。
『ネット怪談の民俗学』書影/画像はAmazonより
「きさらぎ駅」「くねくね」「リミナルスペース」など、インターネット上で語られてきた怪談や都市伝説を、民俗学の視点から読み解く一冊。
近年、ネット怪談やモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)的なホラー表現は、映画やYouTube、SNSを横断しながら広がり続けています。その構造を考える入門書としてぜひ。
Netflix版も注目集めた『三体』シリーズ
劉慈欣さんによる中国SF『三体』シリーズも、早川書房のセールでは外せない作品です。
『三体』書影/画像はAmazonより
中国発のSF小説として世界的なヒットを記録し、Netflixなどでの映像化によって、さらに広い読者に知られることになりました。
文化大革命、宇宙文明、科学、信仰、侵略、そして人類の未来。扱うテーマは非常に大きく、読みはじめるには少し覚悟が必要ですが、一度そのスケールに捕まると、なかなか抜け出せません。
関連作を含めて、まだ触れていない人はこの機会に手に取ってみるのもよさそうです(少しの覚悟で大丈夫です!)。
サイバーパンクの原点『ニューロマンサー』
ウィリアム・ギブスンさんの『ニューロマンサー』も、今回改めて注目したい一冊です。
『ニューロマンサー』書影/画像はAmazonより
1984年に原書が刊行された同作は、サイバーパンクというジャンルを決定づけた代表的な小説。
ハッカー、人工知能、巨大企業、仮想空間、身体改造、都市の幻影など、現在のネットカルチャーやSF的想像力にもつながる要素が、濃密に詰め込まれています。
近年は、新版の刊行や『SFマガジン』での特集、実写ドラマか化もあり、再読/初読のどちらにも良いタイミング。AIやネットワークが日常化した今だからこそ、その古びない世界観に驚かされる作品です。
『幼年期の終り』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』など古典SFも
古典SFでは、アーサー・C・クラークさんの『幼年期の終り』、フィリップ・K・ディックさんの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』も押さえておきたいところ。
『幼年期の終り』書影/画像はAmazonより
『幼年期の終り』は、地球に突如現れた異星の存在・オーバーロードによって、人類が新たな段階へ導かれていく物語。人類の進化と喪失を、壮大なスケールで描いた名作です。
一方の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は、映画『ブレードランナー』の原作としても知られる作品。人間とアンドロイドの境界、記憶、感情、共感とは何かを問いかけます。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』書影/画像はAmazonより
生成AIやロボットが身近になった現在、これらの古典はもはや過去の名作というより、今なお続いている問いの原型と言えるかもしれません。
思考と感情を揺さぶるSF短篇集『息吹』
テッド・チャンさんの短篇集『息吹』も、セール対象としてチェックしておきたい一冊です。
『息吹』書影/画像はAmazonより
同じく早川書房から刊行されている『あなたの人生の物語』で知られるテッド・チャンさん。本書には、科学、言語、記憶、自由意志、信仰、そして人間の選択をめぐる物語が収録されています。
派手なスペクタクルよりも、ひとつの思考実験が静かに心の深い場所へ届いてくる作風が魅力。SFに身構えている人でも、読み終えたあとには胸に残る感情をじっくり味わえる短篇集です。
円城塔『Self-Reference ENGINE』も対象に
日本SFからは、円城塔さんの『Self-Reference ENGINE』にも注目したいところ。
4月には最新作『土人形と動死体』が刊行された円城塔さんのデビュー作であり、人工知能、時間、言語、情報、自己言及が複雑に絡み合う短編集的な長編小説です。
『Self-Reference ENGINE』書影/画像はAmazonより
AIや言語モデル、自己参照的なシステムが現実の文化や創作に入り込んでいる今読むと、その奇妙さはますます現代的に感じられます。
わかりやすい物語を求める読書とは少し違うかもしれません。しかし、文章そのものが思考の迷宮になっていく感覚は、まさにSFでしか味わえない体験です。
百合SFとしても読まれる『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』
小川一水さんの『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』も、今回のセールでチェックしておきたい日本SFです。
『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』書影/画像はAmazonより
舞台は、人類が宇宙へ広がってから6000年後。辺境の巨大ガス惑星で、都市型宇宙船に暮らす人々が、大気を泳ぐ生物を捕らえて生活している世界です。
男女の夫婦で漁をすることが定められた社会で、漁師のテラは謎の家出少女・ダイオードと出会い、異例の女性ペアで船に乗り込むことになります。
壮大な宇宙SFでありながら、制度の外側で出会う2人の関係性を描く物語でもあります。シリーズは完結済み。百合SF、宇宙漁師、そして巨大ガス惑星という言葉に少しでも反応した人は、この機会に触れてみてはいかがでしょうか。
早川書房のKindleセールは、対象点数が非常に多いぶん、どこから手を伸ばすか迷ってしまうもの。
映画化作品から入るもよし、ネット怪談やAIの文脈から古典SFへ潜るもよし。夏の読書リストを組み替えるには、ちょうどいい機会になりそうです。
この記事どう思う?
関連リンク
連載
Amazonを中心に、漫画や小説、ライトノベル、雑誌、専門書、ガジェット、食品などのセールをレビューと共に紹介。 Kindleセールはもちろん、タイムセール、プライムデー、ブラックフライデーのほか、早川書房やニコニコカドカワ祭りなど、出版社ごとのセール、他の漫画配信サイトでの期間限定無料公開の情報を、作品や商品のレビューと併せてお届けします。




0件のコメント