一輪挿しの花瓶……に擬態したカブトムシ? いや、一輪挿しに擬態したカブトムシの白磁器です。
昆虫をモチーフに、まるで今にも動き出しそうなこの白磁器。実際に擬態を解いたフォルムにも変形する機構を持ち合わせています。
SNSでも多数の反響を集めるこの作品、制作したのは陶芸家の堀貴春さんです。
表参道で個展も控える陶芸家・堀貴春
堀貴春さんは1996年生まれの陶芸家。2018年から個展を開催。現在は金沢市にアトリエを構え、作品の制作をおこなっています。
これまでも昆虫をモチーフに白磁器を制作。
10月3日(木)からは東京・原宿にあるギャラリー・DiEGO表参道で個展を予定しているという堀貴春さんに、「一輪挿しに擬態した昆虫」というコンセプトについて、制作のポイントなどを聞きました。
“未来の昆虫”をテーマに、形で魅せる
──一輪挿しに擬態したカブトムシの白磁器を思いついたキッカケはなんでしょうか?
堀貴春 もともと、“未来の昆虫”をテーマに陶磁器で昆虫を制作していました。
その意味などを考えていたとき、「焼き物に擬態する昆虫を本物の焼き物でつくる」ことに、自分がつくる意味があると思ったのがキッカケです。
──そもそも、どうして陶磁器で昆虫をつくろうと?
堀貴春 以前は、ろくろを使って陶器(土物で色も茶色)で、シンプルな器をつくっていたのですが、本気で作家を目指そうと思ったときに、「自分らしく、自分にしかつくれない作品は何か」を考えました。
そこで、今まで趣味として楽しんでいた昆虫の飼育を陶芸と合わせることで、自分独自の世界観をつくれると思ったんです。
以降、昆虫のみをテーマにした作品を制作し、同時に土も磁器に変更して今に至ります。
──他の作品も白磁を利用して制作されていますが、素材としての白磁の魅力はどこにあると考えていらっしゃいますか?
堀貴春 白は陰影が付きやすく、色を加えない事で自分のつくり込んだ形がストレートに見た人に伝わります。
作品の見せ場として色やテクスチャーではなく、形で見せる作品をつくっているため、陶芸の中で1番の白さ誇る磁器を使っています。
数百の昆虫を飼育し、毎日観察しているからこそ
──陶器で変形するギミックを制作する際、苦労された部分などはございますか?
堀貴春 トランスフォームできるよう、どちらの状態でも違和感のない形になるようデザインするのに1番時間がかかりました。
その他、土の焼成実験で変形を抑えられるよう焼き方などを工夫をしています。
他にも可動部に5mm以下の金属パーツを仕込むため、土の収縮率を計算して、焼成後にピッタリパーツが入るよう事前に穴や凹みをつくって焼いています。
──仕上げの際に意識したポイントはどこでしょうか?
堀貴春 常に数百の昆虫を飼育しており、幼いころから毎日昆虫を見てる私からすると、もし昆虫が陶器に擬態するとしたら完璧に擬態するのは現実的にほぼ不可能だと思うんです。
どこか昆虫の構造らしさが残った見た目になるはずだと考えています。
堀貴春 これを単に綺麗に変形、擬態した見た目につくってしまうと、ただのギャグ的なフィギュアになってしまう。
完成した作品は普段から昆虫を観察して、昆虫の構造が頭の中に入ってる自分だからこそのバランス感覚の上に成り立っているのだと思っています。
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