流行はいかに生まれる? 文化をつくる「ステイタスの力学」に迫る書籍が刊行

流行はいかに生まれる?  文化をつくる「ステイタスの力学」に迫る書籍が刊行
流行はいかに生まれる?  文化をつくる「ステイタスの力学」に迫る書籍が刊行

『STATUS AND CULTURE――文化をかたちづくる〈ステイタス〉の力学』書影/画像はAmazonより

“なぜあるものが 「クール」になるのか? スタイルの革新はいかにして生まれるのか?”

そうした問いを考える書籍『STATUS AND CULTURE ――文化をかたちづくる〈ステイタス〉の力学 感性・慣習・流行はいかに生まれるか?』が、筑摩書房から8月1日(木)に刊行される。

歴史的事例と様々な学問の知識を統合した、カルチャーについての理論書となっている。

個人の重要度を示す指標「ステイタス」でセンスや流行を分析

本書のテーマであるトレンドについて、Amazonなどに掲載された紹介文では、「一部の過激な行動から始まり、反発を生むが、徐々に許容され、ついには一般化する」ものだと解説。

例として、ビートルズ(The Beatles)の髪型・マッシュルームカットを挙げ、「各世代から反発を招き、社会を分断するほどの騒動を全世界に巻き起こした。しかし現在では受け入れられ、むしろクラシカルな髪型となっている」と評した。

The Beatles - Help!

そうした我々の文化に起こるトレンドの変化を、本書『STATUS AND CULTURE』では、個人の重要度を示す非公式な指標「ステイタス」を求める過程の産物として説明。

この「ステイタス」という概念を用いて、捉えがたいものとされてきたセンスや真正性、アイデンティティ、階級、サブカルチャー、アート、ファッション、流行、スタイル、リバイバルなどの現象を分析するという。

日本のファッション文化に精通した著者が「文化の謎」に迫る

『STATUS AND CULTURE』の著者は、デーヴィッド・マークスさん。

日本の音楽、ファッション、アートについて『THE NEW YORKER』『POPEYE』などで執筆。ノンフィクション『AMETORA――日本がアメリカンスタイルを救った物語』を刊行している。

『STATUS AND CULTURE』では、「なぜ人は必然性のない行動を集団で一斉に取りはじめるのか」「独自のスタイルや慣習、センスはどのようにして生じるのか」「なぜトレンドは移り変わり、わたしたちは行動を変えるのか」「インターネットは〈ステイタス〉の構造と価値に何をもたらしたか」といった文化の謎に迫る。

『STATUS AND CULTURE』目次

日本の読者に向けた序文
はじめに 文化とステイタスのタブーにまつわる大いなる謎

第1部 ステイタスと個人
第1章 ステイタスの基本原則
第2章 慣習とステイタス価値
第3章 シグナリングとステイタスシンボル
第4章 センス、真正性、そしてアイデンティティ

第2部 ステイタスと創造性
第5章 階級と感性
第6章 サブカルチャーとカウンターカルチャー
第7章 芸術

第3部 ステイタスと文化の変化
第8章 流行のサイクル
第9章 歴史と連続性

第4部 二十一世紀のステイタスと文化
第10章 インターネットの時代

まとめ ステイタスの平等化と文化の創造性

この記事どう思う?

センスやブームを分析する書籍は他にも

『SFマガジン』異例のファッション&美容特集 人気コーデ企画「着回しDiary」コラボも

『SFマガジン』異例のファッション&美容特集 人気コーデ企画「着回しDiary」コラボも

早川書房の雑誌『SFマガジン』2024年10月号の表紙のイメージビジュアルが公開された。同誌として異例となる「ファッション&美容SF」特集号となる。表紙を飾るのは、モデル/文筆家の伊藤亜和さん。写真家/アートディレクターの眞鍋アンナさんによる撮り下ろし写真とな...

kai-you.net
ラップと漫才で勝つ「しゃべり」の技術──ちゃんみな、霜降り明星ら22組を分析した書籍刊行

ラップと漫才で勝つ「しゃべり」の技術──ちゃんみな、霜降り明星ら22組を分析した書籍刊行

文筆家のつやちゃんによる書籍『スピード・バイブス・パンチライン ラップと漫才、勝つためのしゃべり論』が、7月26日(金)に刊行される。人の心を動かす“しゃべり”──つまり話術の使い手である、ラッパーとお笑い芸人の口語(しゃべり言葉)に焦点を当て分析している。...

kai-you.net
“若者に批評がブーム”は本当? 文芸系即売会「文学フリマ」活況の理由.jpg

“若者に批評がブーム”は本当? 文芸系即売会「文学フリマ」活況の理由

文学作品の展示即売会である「文学フリマ」が、規模を拡大し続けている。 文学フリマは、プロ・アマ、営利・非営利、ジャンルを問わず、作り手が「自らが〈文学〉と信じるもの」を自ら販売する場として2002年にスタート。現在は九州〜北海道までの全国8箇所で年間合計9回、開催されている。「文フリ」と呼ぶ参加者たち…

premium.kai-you.net

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。