「今いちばん面白い、唯一無二のホラーラブストーリー!!」の公式宣伝フレーズは伊達じゃありません。
年間数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事に沿った漫画を新作・旧作問わず取り上げる連載「漫画百景」。
第四十八景目は、椎名うみさんによる『青野くんに触りたいから死にたい』を取り上げます。
死んでしまった恋人が幽霊になり帰って来るも、喜びはつかの間、愛しいその人には触れることができない……此岸と彼岸を生きる2人の純愛を描く傑作です。
7月23日には最新12巻が刊行され、物語としても大きな転換点を迎えた本作を、いま注目したい漫画として紹介します。
椎名うみによる漫画『青野くんに触りたいから死にたい』
『青野くんに触りたいから死にたい』は、2016年12月から講談社の漫画誌『月刊アフタヌーン』で連載中の漫画です。既刊12巻。
作者の椎名うみさんは、2014年に『月刊アフタヌーン』の四季賞2014秋で、読切作品『ボインちゃん』が四季賞を受賞。2016年に『good!アフタヌーン』で読切作品『セーラー服を燃やして』『崖際のワルツ』を発表。
『青野くんに触りたいから死にたい』は、椎名うみさんの連載デビュー作品となります。
2022年には実写TVドラマが放送。2024年9月11日(水)~16日(月・祝)には、生駒里奈さん、赤澤遼太郎さんらが出演する朗読劇の上演を予定しています。
死んだ恋人が帰ってきて、でも死ぬしかない 主人公の紙一重の愛と狂気
『青野くんに触りたいから死にたい』の主人公は、思いがけず付き合うことになった彼氏の青野くんこと青野龍平(あおの・りゅうへい)に、心底惚れ込んでいる少女・刈谷優里(かりや・ゆうり)。
通う高校に友人はおらず、いつも1人で過ごしていて、それを特に気にしていなかった刈谷優里。
彼女が青野龍平と付き合うことで、「青野くんに会う前はどうやって生きてきたんだろう…」と、止まっていた時計の針が動き出すように変わりはじめた矢先、青野龍平が交通事故でこの世を去ります。
付き合ってからたった2週間で逝ってしまった彼を衝動的に追いかけようとして、刈谷優里は自殺を図るのですが、愛しの青野龍平が幽霊になって眼の前に現れます。
しかし、霊体である青野龍平には触れることができない。だったらやっぱり死ぬしかない。
彼は決して生き返りはしないのだから!
愛のあまり狂気的な行動に出る刈谷優里を、青野龍平は必死になだめ、何とか落ち着かせます。2人は生者と死者、触れ合うことができないなりに、ちょっと切ないけれど、恋人として幸せな日々を過ごしていきます。
そしてその中で、青野龍平自身も自覚していない、彼の中に秘められた恐ろしい一面が花を咲かせていく……そんなホラーラブストーリーになっています。
以下からネタバレ全開で内容に触れていくので、未読の方はご留意ください。
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連載
テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。
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