講談社の公式Xが2月25日に投稿した「校閲ドリル」をご存知でしょうか?
同社の様々な出版物の記述をチェックする校閲部の方々が一丸となって完成させた、社内研修用の校閲の問題集(上下巻)と解答集です。
校閲部の発足100年を記念し、文芸〜児童書まで、各ジャンルのエキスパートが集結して3年がかりで制作。講談社校閲部の知見が凝縮されています。
講談社・校閲部の知見が凝縮された「校閲ドリル」
それだけの品ですから中身が気になる人も多いでしょう。件の投稿には販売を期待する声が多く寄せられました。
社内向けに制作されたものなので一般には公開されない予定だったのですが、反響を受けて「販売についても検討していきたいと思います」と公式Xが投稿。こうなると俄然期待が高まります。
KAI-YOUでは今回、講談社へ取材を実施。実際のところ商品化され、販売される可能性はどれぐらいあるのか? そもそもどんな内容になっているのか?
校閲部の大橋日登美さん(校閲第二部・部長)から話を伺うことができました。
OB社員も参加! 講談社校閲部の総力を結集して制作
──話題になっている「校閲ドリル」は、3年前に「教材として作成中」と公式Xが投稿されていたものと同じものでしょうか?(外部リンク)
大橋日登美 はい、そのとおりです。2024年が校閲部創部100年の年でした。この記念の年に、校閲部の社員から社員へと100年の間に受け継がれてきた技能を形に残しておきたいと考えて制作しました。
──制作には社内の各ジャンルのエキスパートの知識と経験を結集したとのことですが、関わった方は何人いたのでしょうか?
大橋日登美 現役の校閲社員とOB校閲社員の約50名で制作しました。
また、ドリル問題の作成はしていなくとも、被験者としてドリルを解いて意見をくれた若手もたくさんいます。まさに講談社校閲部ALLでつくり上げたものと言えます。
問題は全108問! 文芸、コミックなどジャンルは6つ
──「校閲ドリル」の具体的な内容について、可能な範囲で教えていただけますか?
大橋日登美 文芸・学芸・実用・コミック・幼児・児童と6つのジャンルにわかれていて、全部で108問あります。
問題はそれぞれ40分~2時間程度の目安時間で取り組める長さになっており、短時間で「よくある・気をつけたい誤植」を学べます。
──相当なボリュームですね。今後、講談社でどのように使用されるのでしょうか?
大橋日登美 主に社内校閲者の技能向上のためにつくった教材なので、校閲部で使用します。そのほか、新入社員やキャリア採用者の校閲研修でも使用する予定です。
──「校閲ドリル」の制作で苦労したところ、こだわったポイントはありますか?
大橋日登美 私たちは本の「校閲」には慣れていますが、「制作」には慣れていなかったこともあって、あらゆる過程で苦労しましたね。
著者が50人近くいる編纂物かつ、わざと間違った原稿をつくって、さらにそれに漏れなくエンピツと赤字の指摘を入れて解説するという複雑な工程にも悩まされました。
こだわったポイントは、あらゆるジャンルの問題を揃えたところと、実際にゲラ(校正刷り)で出くわす誤植をたくさん盛り込んだところでしょうか。著者たちが他の人のドリルとは違う内容をつくるために連携してくれたおかげで、バラエティ豊かな問題ができあがりました。

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イベント情報
講談社のベテラン校閲者による「校閲力養成セミナー」 〜初級・間違えやすい日本語編〜
- 配信日時
- 2025年4月23日(水)19:00〜21:00
- 形式
- オンラインセミナー(Zoom)
- 参加費
- 第3回「校閲力養成セミナー(1ヵ月間アーカイブを視聴可能)」4000円(税込)
- 全3回セット「校閲力養成セミナー(1ヵ月間アーカイブを視聴可能)」1万2000円(税込)
- 参加申し込み期間
- 2025年2月20日(木)12:00〜2025年4月23日(水)18:00
- 主催
- 株式会社講談社 デジタル戦略部
- 定員
- 500名様
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