バランスを取るのが難しいからこそ、生まれるドラマ
『LoL』は俯瞰視点の画面で行われるゲームであるため、観戦する際には様々なことに目が行く。
しかし、実際にプレイすると自分の操作キャラクターや眼の前の相手のことで頭が一杯になるのは当たり前だ。
『LoL』では、実力の近いプロ同士でさえ一方的な試合展開が多く発生する。「League of Legends The k4sen」のような初心者向けのイベントで、チーム間のバランスが取れないのは当然の帰結かもしれない。
一方で今回のイベントでは、そうした不安定なバランスだからこそのドラマも生まれていた。
主催者であるk4senさんのチームは、経験者でチームの司令塔も主砲もこなせるにじさんじ・イブラヒムさんと、12月の初心者向け「The k4sen」に出場していた赤見かるびさんが隣に並ぶ構成。
参加チームの中で最も実力差がある2人と言えるだろう。
当然、2人には負担が重くのしかかる。練習期間からストレスの感じられるやり取りが続いていた。配信のチャットも荒れる。
こうした大会に参加するのは楽しいことばかりではないというのは、イブラヒムさんも赤見かるびさんも覚悟していたはずだ。
それでもk4senさんがこのチーム分けにしたのは、そもそもチームバランスを取るのが難しいのはもちろん、そうしたバランスの歪みや配信上の困難を、この2人なら乗り越えられると託したからだと思いたい。
不安な練習期間を越えて迎えた本番、初戦で勝利をもぎ取った「Team The k4sen」の面々の喜びようは、この形式だからこそ生まれたものだと感じられた。
ゲーム運営会社も注目するストリーマーの影響
k4senさんは2022年、「KAI-YOU Premium」にてボドカさんとの対談企画に出演している。
「The k4sen」が『LoL』などの採用タイトルのコミュニティに影響を与えていると感じるか? という質問に以下のように答えている。
The k4senは「何も目標がないとつまらないから大会を開くか」という願望から開催しただけですよ。『LoL』は面白いし、俺が何かしなくても勝手に盛り上がるだろうし。「e-Sportsの価値を見誤ってる人が多い」 ゲーミングチームオーナーたちの本音 - KAI-YOU Premium
一方で『LoL』は、実数は未公表ながら、2023年は「サービス提供開始以来、史上最多となる月平均アクティブプレイヤー数を記録」。
『LoL』を運営するRiot Games Japanは、Webメディア『LoL忍者』の取材に対し、この盛り上がりは「ストリーマーの皆さんの影響が非常に大きい」と回答している(外部リンク)。
仮に「The k4sen」やk4senさんらの配信が行われなかった世界線があるとして──現在の盛り上がりは本当に存在しただろうか。
「ただゲームが面白い」というだけで感動を生み出すストリーマーという人種
今回の「League of Legends The k4sen」で優勝したチーム「Be Cool」は、乾伸一郎さんをコーチに、Kamitoさん、ボドカさん、ajaさん、とおこさん、ありさかさんという構成。
ajaさんがチームの初心者枠という中で実力を発揮した、というのも勝因だが、飛び抜けて強い経験者がいないながらも全員が安定したプレイを見せていたのも印象的だ。
特にKamitoさんは、対面に格上が多く並ぶポジションを担当。今回の優勝は12月の「The k4sen」からひたすら『LoL』を配信し続けた成果が実ったと言える。
Kamitoさんが『LoL』の配信を継続したのは、何も大会を見据えてのことではないはず。
ただ面白いからというだけで熱中し、周りや企業さえ巻き込んで大きなうねりや感動を生み出すストリーマー。そうした彼らの活躍に、今一度大きな拍手を送りたい。
「League of Legends The k4sen」を神視点で観るこの記事どう思う?
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