「一部サービスにおける施策によって、再生回数が市場全体の平均バランスから大きく乖離した楽曲」について、「独自の計算方式による個別係数」処理が行われる場合がある。
Billboard JAPANは4月20日にも同様の集計方法変更を行っていたが、今回サービスの施策による再生数操作に対する施策であることが明言された。
【チャートに関するお知らせ①】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) May 11, 2022
2022年5月11日発表チャート以降、総合チャートのストリーミング指標に関して、一部サービスにおける施策によって、再生回数が市場全体の平均バランスから大きく乖離した楽曲に対し、独自の計算公式による個別係数を設定する場合があります。
【チャートに関するお知らせ①】
2022年5月11日発表チャート以降、総合チャートのストリーミング指標に関して、一部サービスにおける施策によって、再生回数が市場全体の平均バランスから大きく乖離した楽曲に対し、独自の計算公式による個別係数を設定する場合があります。
【チャートに関するお知らせ②】
これにより、総合チャートのストリーミング指標順位とストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”の順位が異なる場合があります。 Billboard JAPAN|Twitter
ヒットチャートに影を落とす「再生数キャンペーン」
現在、音楽シーンでは、主にLINE MUSICを利用して行われている「再生数キャンペーン」が散見されている。「再生数キャンペーン」は、リスナーに特定の楽曲の再生を促すことで、ヒットチャートの上位ランクインなどを狙う特典商法。その楽曲を期間中に一定回数以上再生すると、アーティストのグッズなどが応募者全員、または抽選でプレゼントが行われる。
ランキングページの「(ユーザー名)'s Play TOP 50」で、ユーザー自身が楽曲を再生した回数を確認できるというLINE MUSICの仕様を利用した施策だ。中には、再生回数が多いほど当選確率が高くなるなど、より楽曲の再生をより煽るような施策も存在する。
JO1、INI、SEVENTEEN、NiziU、優里さん、マカロニえんぴつ、DISH、Dai-ceなど、音楽シーンで活躍する著名なアーティストたちも「再生数キャンペーン」を行うことが当たり前となりつつある現状がある。
これについてKAI-YOUから音楽関係者へ取材を行ったところ、プラットフォームであるLINE MUSIC側ではなく、レーベルやアーティストサイドが主体となって行っていることも明らかとなった。
背景にある実情「ヒットチャートがヒットをつくる」側面
楽曲がヒットチャートの上位にランクインすると、プラットフォームやメディアが話題として取り上げる。それが拡散され、さらなる耳目を集める。逆説的ではあるが、ヒットチャートの存在そのものが"ヒット"をつくっているという側面は否めない。その構造が事実としてあるからこそ、アーティストや音楽レーベル、彼らのファンも意図的にヒットチャートに働きかけようとする。
そのアーティストが好きだから、その楽曲が聴きたいから再生した1回と、チャート入りをさせるために再生した1回では、全く質が異なるのにも関わらず。残念ながら、システム上では、同じ1回としてカウントされてしまうことは避けられない。
だからこそ、Billboardは指標や係数など算出方法の見直しを行う。時代の変化に合わせて、音楽シーンを映す鏡となるようブラッシュアップが続けられている。
ヒットチャートと超情報社会を巡る
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連載
音楽配信の主流がCDからデジタルへ移り変わる昨今。CDの複数枚購入を促す従来の特典商法に加え、デジタルならではの「チャートハック」行為が音楽シーンに影響を及ぼしている。 アーティスト・レーベルの人為的な施策やファンダムによるチャートハックの是非。改めて、「音楽を楽しむ」とはどういうことなのか。 再生数やランキング結果など、わかりやすい「数字」の話題性・権威性に頼らず、アーティストや楽曲を知ってもらうためにできることを探る。
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