連載 | #7 チャートハックと音楽シーン

Billbaord年間チャート発表に寄せて──“権威性”がヒットを生む構造が問い直される今

Billbaord年間チャート発表に寄せて──“権威性”がヒットを生む構造が問い直される今
Billbaord年間チャート発表に寄せて──“権威性”がヒットを生む構造が問い直される今

「残響散歌」がBillboard JAPAN年間ランキング「Hot 100」で総合首位になったAimerさん

音楽チャート・Billboard JAPANが、2022年の年間ランキングを発表した。

総合ソングチャート「Hot 100」はじめ、総合アルバム・チャート「Hot Albums」、それらを合算したアーティスト・チャート「Artist 100」含む全12部門がBillboard JAPAN公式サイトに掲載。

特設サイトでは、ビルボード事業本部上席部長・礒﨑誠二さんらによる主要チャート部門に関する分析も添えられている(外部リンク)。

目次

『鬼滅の刃』主題歌のAimer「残響散歌」が総合首位に

Aimer「残響散歌」MV
「Hot 100」では、TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のOPテーマだったAimerさんの「残響散歌」が総合首位を獲得。

TikTok発でバイラルヒットしたシンガーソングライター・Tani Yuukiさんの「W/X/Y」、ドラマ『SUPER RICH』の主題歌だった優里さんの「ベテルギウス」がそれに続く。

「Hot Albums」では、ジャニーズ事務所所属の9人組アイドルグループ・Snow Manの『Snow Labo. S2』が1位に。「Artist 100」では、アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』に登場する歌姫・ウタの歌唱パートをつとめた歌い手・Adoさんが頂点に立った。

Billboardは、社会的浸透度を測る“音楽的な”ヒットチャート

Billbaord Japan

Billboard JAPANは、アメリカで最も権威がある音楽チャート「Billboard」の日本版だ。阪急阪神東宝グループの傘下・株式会社阪神コンテンツリンクの事業として2008年より開始された。

CDの売上やダウンロード数、ストリーミングの再生回数のみならず、動画の再生回数やカラオケで歌われた数など、複数の指標に独自の係数を掛けて合算。

音楽視聴文化の変化と共に調整を加えながら、総合音楽チャートとして算出している。グッズや握手券など、音楽以外の付加価値によって左右されてしまう単一のCDセールスランキングと比較し、より“音楽的”であるとして評価されてきた。

KAI-YOU.netが8月に公開した取材記事の中では、Billboard JAPAN編集長の高嶋直子さんが「どこにも忖度しておらず、純粋に『楽曲やアーティストの社会的浸透度を表すためのチャートを運営している』というスタンスを維持したい」と、運営としての矜持を見せた。

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チャートハックと音楽シーン

音楽配信の主流がCDからデジタルへ移り変わる昨今。CDの複数枚購入を促す従来の特典商法に加え、デジタルならではの「チャートハック」行為が音楽シーンに影響を及ぼしている。 アーティスト・レーベルの人為的な施策やファンダムによるチャートハックの是非。改めて、「音楽を楽しむ」とはどういうことなのか。 再生数やランキング結果など、わかりやすい「数字」の話題性・権威性に頼らず、アーティストや楽曲を知ってもらうためにできることを探る。

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