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櫻井翔『This is 嵐 LIVE』最後のサクラップから紐解く“青春の終わり”

「PIKA★★NCHI DOUBLE」/画像はJ Stormより

POPなポイントを3行で

  • 櫻井翔、もう一つの“最後のサクラップ”
  • 「PIKA★★NCHI DOUBLE」はなぜ名曲か?
  • ラップ詞から紐解く「青春」の終わり
が過ぎ去って、もう1年以上になります。

2020年末、グループとしての活動を休止した嵐。それでもなお、メンバー個人の活動は大きく取り沙汰され、ライブBlu-ray&DVDも記録的な売り上げを樹立。

初のライブ映画『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』は、2021年度実写映画の興業収入1位に輝くなど、いまだポップスターであることを見せつけています。 櫻井翔さんに憧れ続け、“HIPなPOP”をコンセプトに音楽活動/執筆活動する筆者。嵐の活動休止後も、彼らの活躍を機に櫻井翔さんの「ラップ」についてコラムをKAI-YOU.netで執筆してきました。 ところで先日、記事で楽曲「Do you... ?」を紹介する際、筆者は次のように説明しました。

「Do you... ?」は、活動休止前、最新のオリジナルアルバムとしてリリースされた『This is 嵐』のリード曲。

(中略)

DISC2(アルバム初回限定版のみ)が、過去のシングル表題曲を英語圏向けにリブートした「Reborn」シリーズなどをまとめた、ある意味でベスト盤だったことを考えると、「Do you... ?」はアルバムの収録順から、リスナーにとって「活動休止前、最後のサクラップ(櫻井さんによるラップの愛称)」になりました。 嵐 櫻井翔、最後のサクラップ「Do you... ?」で示した“HIPなPOP STAR”の誇り

しかし、「活動休止前、最後のサクラップ」と呼べる楽曲は、もう一曲存在しています。

それは、櫻井翔さん自身がラップ詞を手がけた楽曲の中で、活動休止直前に配信されたライブ「This is 嵐 LIVE 2020.12.31」で披露された最後のサクラップ──「PIKA★★NCHI DOUBLE」です。

嵐で最も売れなかった“隠れた名曲”

「PIKA★★NCHI DOUBLE」は、2004年にリリースされた12thシングルの表題曲。

V6井ノ原快彦さんが原案、堤幸彦さんが監督をつとめた嵐主演の青春映画『ピカ☆☆ンチ LIFE IS HARD だから HAPPY』の主題歌です。

1999年のデビューから5年、すでに知名度と人気を獲得していたものの、自分たちの主演映画という事実上ノンタイアップでのリリースだったからか、嵐のシングルの中で最も売れなかった不遇の楽曲(オリコン調べ)。

しかし、シングル表題曲として初めて、リードボーカルの大野智さんやラップ担当の櫻井翔さんだけでなく、相葉雅紀さん、二宮和也さん、松本潤さんのソロパートが導入されるなど、嵐の音楽史における転換点のひとつでもあります。

ライブでも度々披露され「隠れた名曲」としてファンの間で親しまれてきました。 なぜ「PIKA★★NCHI DOUBLE」は「名曲」と呼ばれるのか? それは、この楽曲が「青春」そのものだからです。

「PIKA★★NCHI DOUBLE」のテーマは、「青春」の終わり

それも、アイドルという言葉の響きから連想しがちな、フィクションのような「青春」のきらめきだけではありません。

「青春」が終わってしまうことへの焦り、若さ故の無力感や閉塞感といった、どうしようもない切実さ。多くの人が体験するような、リアリティのある「青春」が描かれています。

「PIKA★★NCHI DOUBLE」はなぜ名曲か? サクラップから紐解く

それは櫻井翔さんが手がけたラップ詞、そしてそこで用いられているテクニックからも読み解くことができます。

まだまだだ 俺の止まるところじゃないから
浅はかな 青い想いを抱いていたのか
あかさたな 習った頃から10年以上か…
若過ぎた 「このままずっと」なんて考え 「PIKA★★NCHI DOUBLE」ラップ詞前半より

2番のサビ終わり、櫻井さん以外の4人がコーラスを担当する前半部分。

“まだまだだ”“浅はかな”“あかさたな”と、「A・A・A・A・A」の頭韻で揃えられているのに対し、4行目の“若過ぎた”は、「A・A・U・I・A」と3・4文字目が別の母音になってしまっています。

響きを揃えず、不完全にする。(恐らくあえて)韻を踏み外すことで、歌の語り手の未熟さ(=“若過ぎた”)が伝わります。

動き続けた長針と短針は
振り返ってみると いやに短期間
あかさたな 習った頃から現在
俺ら若過ぎた ただ若過ぎた 「PIKA★★NCHI DOUBLE」ラップ詞後半より

ラストサビ終わり、アウトロに乗せられたポエトリーな後半部分。

1・2行目の“動き続けた長針と短針は 振り返ってみると いやに短期間”は、櫻井翔さん自身が幼稚舎から大学まで通った慶應義塾を卒業する際、自作した「ペンの指す方向 ChapterⅠ」より引用したもの。

大学卒業という自身が体験した「青春」の終わりを、サンプリングという形で嵐の楽曲に紡ぎ合わせる。それによって、歌で描かれる物語を重層化しつつ、リアリティを生んでいます。
"This is ARASHI LIVE 2020.12.31" Digest Movie
トップを目指し、その先を描き、20年以上走り続けて来た嵐の軌跡。それは、まさしく「青春」にほかならないものでした。

「This is 嵐 LIVE 2020.12.31」で披露した、最後の「PIKA★★NCHI DOUBLE」。嵐の「青春」を振り返り、そのリリックの一部を新たに書き換えて、櫻井さんは次のように結んでいます。

動き続けた長針と短針は
振り返ってみると いやに短期間
あの時そしてあの場所から現在
俺ら若過ぎた ただ若過ぎた

※記事初出時、一部表記に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

櫻井翔さん、誕生日おめでとうございます!

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1件のコメント

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:5045)

嵐毎年カラオケ大好き

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