エルトン・ジョンの名曲を再解釈 著者が語る小説『さよなら、黄昏のブリックロード』

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エルトン・ジョンの名曲を再解釈 著者が語る小説『さよなら、黄昏のブリックロード』
エルトン・ジョンの名曲を再解釈 著者が語る小説『さよなら、黄昏のブリックロード』

小説『さよなら、黄昏のブリックロード』/著: 江川 知弘

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  • エルトン・ジョンの名曲を再解釈
  • 小説『さよなら、黄昏のブリックロード』
  • 著者が語る執筆に至るまで
小説『さよなら、黄昏のブリックロード』が、3月1日にデザインエッグ社より出版された。

本作は映画監督の松居大悟さんが出演するラジオ「JUMP OVER(J-WAVE)」でも取り上げられた。

著者である私(江川知弘)は、当初長編映画の脚本として本作を執筆していたが、このたび小説となり、現在Amazonで発売されている。

『さよなら、黄昏のブリックロード』

『さよなら、黄昏のブリックロード』は、世界的に有名なシンガーソングライターのエルトン・ジョン(作曲)とバーニー・トーピン(作詞)が生み出した名曲「Goodbye Yellow Brick Road」の歌詞から着想を得て、著者自身の解釈で描かれたリアルで切ない残酷な青春ホラーストーリーだ。

あらすじ
大学四年生の野沢は、これまで何かやりたいこと、熱中できるものがなかった。人と話すのは苦手。だから友達は少なく、彼女もいたことはない。孤独な生活とフラストレーションを内に溜め込み、楽しくもない、つまらない毎日を生きていた。
ある日、野沢は大学の同級生の祐美のことが好きになる。それは野沢にとって初めての恋で、熱中できるものだった。だが、祐美は野沢とはかけ離れた存在。彼女は可愛いくて友達も多く、大学では中心グループにいて毎日を楽しそうに生きていた。
大学最後の夏、突然、祐美がいる大学の中心グループからお泊まりでキャンプに行くお誘いを受ける。祐美と親密になれる又とないチャンスに期待する野沢も一緒についていくのだが……。

執筆の経緯

学校でも会社でもずっと下層階級、性欲はあるが性に対しての矛盾した憎しみと恐怖、意中の女性への叶わぬ恋、孤独、社会や現実に対する怒りやフラストレーションを吐き出せぬままずっと内に溜め込み苦しんでいた。そんなときに私の傷んだ心を療養してくれたのが、脚本の執筆エルトン・ジョンの曲たち大好きな映画たちであった。

本作の脚本の初稿はただ内に溜め込んだものを発散させるように殴り書きしたものであった。私は脚本を書いていると不思議と心が癒され、楽しくて寝るのも忘れるくらい夢中となっていた。おそらく初めて好きになれるもの、夢中になれるもの、やりたいことを見つけられたからだ。

夢中で何度も何度も書き直し物語を最後まで進めた。だが肝心なことにテーマを見つけられてはいなかった。自分はいったい何を書きたいのかが最後になってわからずにいた。タイトルすら未決定であった。

そんな頃、好きで毎日聴いていたエルトン・ジョンの「Goodbye Yellow Brick Road」を夜中の電車の中で聴いていた時だ。「これだ!俺の書きたいテーマは!これをやるんだ!」とその歌詞の意味をこれまでの自分、今の自分と重ね、自分の本当の気持ちに気づかされたのだった。本作のタイトルはその敬意と感謝からエルトンの曲を引用している。

令和の『タクシードライバー』

もうひとつ、著者の心を救ったものがある。それは著者の好きな映画の中でも特に胸が痛むほど影響された映画で、マーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』(1976)だ。

『タクシードライバー』のあらすじ
タクシードライバーとして働く帰還兵のトラビス。戦争で心に深い傷を負った彼は次第に孤独な人間へと変貌していく。汚れきった都会、ひとりの女への叶わぬ想い - そんな日々のフラストレーションが14歳の売春婦との出逢いをきっかけに、トラビスを過激な行動へと駆り立てる。

『タクシードライバー』はまさに本作のストーリーに大きく影響している。著者が観ているだけで胸が痛むほどの映画、それは著者が大いに共感している証拠だ。孤独や怒り、フラストレーションは誰しも心の中に抱え込まれているものであろう。それらの矛先をどこに向けるか、無駄にせずどのように生かすが大切なのだ。それがまさに形となったのが本作である。

本作は下層の孤独な狩人が上層の犬どもに殴り込みをかける令和の『タクシードライバー』だ!

読書が捗る春

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