『かわいいウルフ』は小澤みゆきさんにより2019年4月に発行された同人誌。文芸同人誌としては異例の1000部を売り上げた。
今回の書籍化にあたっては新規寄稿、インタビュー記事などを追加しリニューアル。300ページ近いボリュームで文芸エンターテインメントの決定版となっている。
ヴァージニア・ウルフのファンブック『かわいいウルフ』
ヴァージニア・ウルフは20世紀イギリスの作家。2021年3月に没後80年を迎える。20世紀モダニズム文学の代表的作家として、また、『自分ひとりの部屋』における「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない」という一節からフェミニズムの先駆者としても知られている。
『かわいいウルフ』はそんなヴァージニア・ウルフに対して「個人が抱く極めて主観的な」イメージをテーマにした同人誌として発行。
エッセイ、テキスト分析、イラストなど様々な切り口から特集したこの同人誌は、フェミニズム的関心からも注目を集め、文芸同人誌として異例の1000部を売り上げた。 なお、『かわいいウルフ』発行人の小澤みゆきさんはこのような反響から、ヴァージニア・ウルフや女性の書き手とその作品をフェミニズムの視点から改めて読み直す必要性を痛感。
インディペンデント文芸誌『海響』創刊号のテーマを「大恋愛」とした経緯として巻頭言にて振り返っている。
リニューアルで300ページ近いボリュームに
書籍化にあたっては、同人誌版から大幅に増補しリニューアル。文学研究者・小川公代さんへのインタビューと座談会、韓国社会での性差別問題への提言書『私たちにはことばが必要だ』のイ・ミンギョンさんによるエッセイ、ファッション批評家・田村俊明さんの批評文、そして小澤みゆきさん自身の文章を新規に収録。
計300ページ近いボリュームの文芸エンターテインメント決定版となっている。
特設サイトにはリンク集も掲載
現在、書籍化に合わせて特設サイトも公開中。(外部リンク)もくじや関連イベント、各種販売ページの他、ヴァージニア・ウルフの翻訳書や制作において影響を受けたもののリストなども公開されている。
2年前、同人誌をつくりました。
技術も文章力も何もありませんでしたが、熱意だけをたよりに、 ヴァージニア・ウルフの魅力を伝えたいという一心で、せいいっぱいつくりました。
その本は、とてもうれしいことに、たくさんの方に目に触れ、愛していただきました。 もっとたくさんの読者に届けたい、と思案していたところ、このたび書籍化の運びとなりました。パワーアップして、すばらしい本が完成しました。
ちなみに2021年3月は、ウルフ没後からちょうど80年となります。ウルフを通して文芸の愉しさにふれる/再確認する、そのきっかけに本書がなったら、編者としてこのうえないしあわせです。ウルフを知っているひとも、そうでないひとも。文芸を愛するすべてのひとに届きますように。 刊行によせて 小澤みゆき
ポップカルチャーに寄せる波
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