2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に感染を拡大する中、日本において真っ先に大規模なオンラインライブを行い、楽曲制作などに取り込んだのがヒップホップだった。
人生や生き様など、「リアル」であることが求められるヒップホップは、世の中の出来事を敏感にとらえ、常にその表現の中に取り込んできた。
書籍『ヒップホップ・アナムネーシス』は、ラッパーの人生、ブラック・ライヴズ・マター(BLM)、フェミニズム、コロナ以後の社会といった社会的にも議論の集まる視点から、ヒップホップが発揮する救済の力をテーマに編まれたアンソロジーとなっている。
現役牧師の説くヒップホップと宗教の関係
『ヒップホップ・アナムネーシス』は、ギャングスタ・ラップの宗教性を論じた書籍『ヒップホップ・レザレクション』の著者であり、現役の牧師でもある山下壮起さんと、漢 a.k.a. GAMIさんの著書『ヒップホップ・ドリーム』の企画・校正を担当した二木信さんが編者を務めた書籍。 山下壮起さんによるBLMとヒップホップの宗教性に関する講演や、人種間問題などをテーマにしたコラムや、2019年・2020年と日本のシーンを席巻した熊谷のクルー・舐達麻のBADSAIKUSHさんや、コロナ禍を取り込んだ楽曲「Zoom」にも参加した田島ハルコさんなど、ラッパーたちのスピリチュアルな側面に切り込んだコラムを掲載。 そして、気鋭のDJ陣が寄稿したディスクガイドなどが収録される。ラッパーたちの生きるストリートからの声
この記事どう思う?
書籍情報
『ヒップホップ・アナムネーシス』目次
Intro
ヒップホップの力――想起(アナムネーシス)による救済
Chapter. 1 ヒップホップの福音
1:サグ・アナムネーシス――ならず者たちが見る新しい世界/山下壮起
2:間違ってることを正しいと歌わない――日本の"コンシャス・ラップ"の現在/二木信
3:"Nearer My God to Thee" ――「人種戦争」とワッツの預言者たち:マニュエル・ヤン
4:「情報戦争(インフォウォー)」時代における文化――星野源、A-THUG、Kamuiから考える/五井健太郎
5:あなたは私に耳を貸すべきではない/高島鈴
Interlude
1:【講演】〈神の国〉はビートとともに路上に現臨する――ブラック・ライヴズ・マターとヒップホップの宗教性/山下壮起
2:【説教】ファーガソンの前線より/オサジェフォ・ウフル・セイクウ
3:【小説】金田満子のドープなリリック/飯田華子
Chapter. 2 ラッパーたちの霊性(スピリチュアリティ)
1:BADSAIKUSH 16小節の解放区
2:田島ハルコ かけがえのないリアルを失わず変身する
3:J. Columbus 場所を作り、場所に根ざすこと――"NORTH TOKYO"という救済
4:DyyPRIDE すべての苦しむ同胞のために
5:FUNI 仲間への福音(グッドニュース)をラップする
6:MCビル風 生活のコンシャスネス
Disc Guide 救済のサウンドトラック
山下壮起/二木信/五井健太郎/高島鈴/飯田華子/DJののの/Phonehead/MCビル風/DJ GAJIROH/YUGE/有住航/彫真悟
関連リンク
0件のコメント