連載 | #5 「東京ゲームショウ2019」特集

臨場感MAXのロボットVRゲーム体験 日本初進出の韓国ベンチャー開発

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臨場感MAXのロボットVRゲーム体験 日本初進出の韓国ベンチャー開発
臨場感MAXのロボットVRゲーム体験 日本初進出の韓国ベンチャー開発

VRゲーム『ロボットファイターズVR』を体験する筆者

POPなポイントを3行で

  • 「東京ゲームショウ2019」でロボットVRゲームを体験
  • 韓国企業が開発『ロボットファイターズVR』
  • IPを求めて日本に進出する海外企業
9月12日から開催中の「東京ゲームショウ2019」(TGS2019)においても独立したセクションがつくられるなど、もはやゲームジャンルのひとつとしてある程度定着したVR

お隣の韓国でも、専門のテーマパークがつくられるなど、海外でも発展が目覚ましいコンテンツとなっている。

そんなアトラクションに関して、専用のハードウェアを開発しているのがPNIカンパニー(以下、PNI)だ。「東京ゲームショウ」初出展となる同社は、ホールの片隅でブースを展開。その展示が、なにやらちょっと変わっている。

置いてあるのは油圧とおぼしきシリンダーを収めたケースの上に、両手用のレバーとフットペダルを備えたシートが2台。VRゴーグルをつけてそれに乗り、ロボットを操縦して戦うゲームをプレイできるようだ。

どう考えても楽しそうなやつである。というわけで、早速遊んでみた。

臨場感抜群のVR体験

ゲームのタイトルは『ロボットファイターズVR』。ゴーグルをつけてゲームを開始すると、目の前にはロボットのコクピットが広がる。

フットペダルを操作して前進後退、さらに左右への移動や旋回も操作でき、射撃とリロードは左右のレバーで行う。照準はゴーグルの視線に追従するため、機体が動く方向とはまったく関係ない向きに発砲することも可能だ。

コクピットの画面の雰囲気としては、『タイタンフォール』でタイタンに乗った時に近い。
PLAYBOX VR - LET'S SHOOTING
いざ実際に操縦してみると、これが思っているより難しい。なにしろ普通のゲームでフットペダルでの操作は求められないから、そもそもの全身後退がおぼつかない。シートは思ったよりガクガク動いたのにも驚くし、敵のロボットが目の前に迫ってくるともうパニックである。

ロボットものの定番展開である「初めて機体に乗った主人公が、いきなり機体を操作して敵に辛勝する」みたいなのは、少なくともおれには無理だった。とにもかくにも、臨場感は抜群である。

韓国のVR先進メーカー・PNIカンパニー

前述のように、PNIが「東京ゲームショウ」に出展したのは初めて。韓国・済州島に本社を置き、ソウルにもVRの研究施設を持つPNIは、ベトナムや中国に対してのセールスの実績はあるが、日本には今回が初上陸となる。

会場内で展示されている機材は「M41 ヴァルキリー」というロボットシミュレーターで、大型のマッサージチェア程度の大きさである。ちょっとしたスペースがあれば、個人の家にも置いておけそうなサイズ感だ。

しかし、もともとPNIが手がけていたのは、ゲームセンターやアミューズメント施設などに納品するようなVR機材である。さらに、災害時に脱出するためのシミュレーターや、恐竜や海中の生物などを題材にした教育用VR機材も製作。

変わったところでは、空挺部隊がパラシュート降下の訓練をするためのシミュレーターを軍に納品した実績もあるという。本来は、より大型の機材が主力商品だったのだ。
というわけで、マッサージチェア程度の大きさである「M41 ヴァルキリー」は、PNIの製品としてはグッとシンプルで小型だ。価格は日本円で100万円程度とさすがに高額だが、法人ではなく個人が相手でも、販売自体は可能だという。

さらに現在、もっと安くてシンプルな家庭向けの機材を開発することも考えている。予定としては5万円以下に価格を抑え、家庭用ゲーム機として扱えるようなもの……という想定だ。

海外企業が日本に求めるもの

そんなPNIが来日しゲームショウに出展した狙いが、日本のコンテンツホルダーが持つ豊富なIP(知的財産)だ。PNIは現在、自社の機材に対応したソフトを他のデベロッパーに開発させる場合と、自社開発する場合とを使い分けている。

しかし、まだまだそのラインナップはさほど多くない。現状PNIは、あくまでハードウェアのメーカーなのだ。

その状況で、彼らが必要としているのが強いキャラクターとコンテンツである。今回、「東京ゲームショウ」に出展した大きな目的が、日本のIPとの提携なのだ。 彼らは「コラボレーションしたい日本のコンテンツは山ほどある」と語っている。PNIの製品は、基本的に銃を使って戦うゲームや巨大なロボットを操縦して戦うゲームとは相性がいいし、例えば「彼女の家にいって、その部屋の中を歩き回ったり会話したりする」というような恋愛シミュレーションも製作してみたいという構想がある。このあたりの構想からも、日本のIPとの相性の良さがうかがえる。

この構図からは、現在日本のコンテンツホルダーにとって最大の強みとなっているのが、ソフトのパワーであるという点が見えてくる。自国でハードを開発しなくても、ソフトの供給元としてまだ日本の企業は強い影響力を持っている。

韓国や中国など、北東アジアにはまだ国際的に知名度のあるIPは少ないから、この構図はしばらくの間は揺らがないだろう。

実際、PNIのブースには日本のゲームメーカーからも接触があったという。コンパクトでパワフルなVR機器を開発できるメーカーと、コンテンツを抱えている日本の企業とは、おそらく利害が一致する点が多いはずだ。

海外の最新VR機材メーカーの話から、逆説的に日本のコンテンツホルダーの強みが見えてくる……。そんなところも、国際的な見本市である「東京ゲームショウ」の奥深さなのである。

VRの可能性と楽しみ方

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連載

「東京ゲームショウ2019」特集

9月12日(木)から9月15日(日)まで、千葉の幕張メッセで開催さるゲームの祭典「東京ゲームショウ2019」(TGS2019)。 ゲーム関連の新作発表や続報、新タイトルの配信開始など、各メーカーがこの日に照準を絞ってゲーマーを賑わせている。 KAI-YOUでも様々なブースやコスプレなどをピックアップ!

イベント情報

東京ゲームショウ2019

日時
2019年9月12日(木)から15日(日)10:00~17:00
※一般公開は14日、15日のみとなります。
会場
幕張メッセ 展示ホール1~11/イベントホール/国際会議場
(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
主催
一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)
共催
日経BP
後援
経済産業省

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しげる

Writer

1987年岐阜県生まれ。プラモデル、アメリカや日本のオモチャ、制作費がたくさんかかっている映画、忍者や殺し屋や元軍人やスパイが出てくる小説、鉄砲を撃つテレビゲームなどを愛好。好きな女優はメアリー・エリザベス・ウィンステッドとエミリー・ヴァンキャンプです。
https://twitter.com/gerusea
http://gerusea.hatenablog.com/

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