当然のことながら、会場内に大型のブースを出展していたのがバンダイナムコエンターテインメントである。様々なバンダイが商品展開するキャラクターのゲームを中心に、きらびやかな展示が目を引いた。
が、その一角で異様な存在感を放っていたのが、1/1のミニ四駆「エアロ アバンテ」である。
販売されている1/32のミニ四駆を1/1として「実車化した」という、大変悩ましいストレンジな一台である。
だがしかし、それよりも強烈なのが、この「エアロ アバンテ」がバンダイナムコのブースにドカンと置かれている点だ。ミニ四駆を展開するタミヤは、言わずと知れた日本を代表する模型メーカー。そしてバンダイナムコエンターテインメントのグループ企業であるバンダイも多数のプラモデルを開発・販売する企業である。
取材・文:しげる 編集・撮影:新見直
ゲームアプリ『ミニ四駆 超速グランプリ』開発中
この展示は、現在開発中のスマートフォン向けゲームアプリ『ミニ四駆 超速グランプリ』のプロモーションのためのものだ。アプリの開発自体は今年4月9日に開催されたミニ四駆メディアミーティングにて発表されており、今回のTGSでの目玉は新規のPVが解禁されたことにある。会場での配布物。バンダイナムコエンターテインメントの袋に、ミニ四駆が入っているという違和感
『ミニ四駆 超速グランプリ』誕生秘話
『超速グランプリ』の開発に携わるバンダイナムコエンターテインメントのフジキ店長によれば、このアプリの開発のきっかけはバンダイナムコエンターテインメント側からの働きかけによるものだった。現在のアプリゲーム市場において、コアなユーザー層のひとつと見られているのが30~40代の男性である。そこに刺さるような強いコンテンツということで、白羽の矢が立ったのがミニ四駆だったのだ。しかし前述のように、タミヤとバンダイは一応競合関係にある会社のはずであるが、基本的にはバンダイナムコエンターテインメントはゲームを開発する企業だ。
「ゲームである」ということが明確だったからこそ、異色の共同作業が実現したわけである。
フジキ店長/『ミニ四駆 超速グランプリ』開発担当者
ミニ四駆と言えば欠かせないのが、組み立てたマシンを使ったレースである。これに関しては、「ミニ四ワールド」という劇中世界でコミックのキャラクターたちと競うモード、さらに「みんなでミニ四駆」「エディットカップ」という対戦モードで、他のプレイヤーと戦うモードが実装される予定だ。
アプリ内のレースに関しては、実際のマシンでコースを走った時のタイムを算出。それを元に、微妙なコースとの兼ね合いを計算して、走らせるたびに異なるリザルトが出るようになるという。同じコースを同じセットアップで走らせても、毎回違う結果が出るのだ。
タミヤとコロコロアニキが監修という布陣
会場内で展示されていたボードに関して言えば、『コロコロアニキ』のロゴが描かれていたのも見逃せない。『コロコロアニキ』といえば、すでに大人になった、かつての『コロコロコミック』読者に向けた雑誌である。『超速グランプリ』には、『コロコロアニキ』での連載作のキャラクターが登場する予定であり、さらに最新情報の発表も誌面で展開される。
ミニ四駆を開発・販売するタミヤ、長年ミニ四駆のコミカライズを担当してきたコロコロ、そしてゲーム開発を担うバンダイナムコエンターテインメントという、各社の役割分担が見えてくる布陣である。
ミニ四駆というホビーの可能性
それにしても印象的なのは、ミニ四駆というホビーのしぶとさ、そしてスマホアプリにまで展開可能な柔軟性だ。現在、ミニ四駆は2005年前後から続く第三次ブームにあるとされている。1987年ごろからの『ダッシュ四駆郎』を中心とした第一次ブーム、1994年からのフルカウルミニ四駆と『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』から数年間続いた第二次ブームが存在したミニ四駆だが、現在の第三次ブームは一定の盛り上がりが長期間持続している点が特徴である。2012年以降ジャパンカップは毎年開催され、安定した盛り上がりを見せている。
写真は「富士通乾電池提供ミニ四駆ジャパンカップ2017(東京大会3)」の様子
ミニ四駆には「カスタマイズ」と「レース」という、人間が根本的に好む要素がたっぷりと含まれている。古くから中国で行われている闘蟋(コオロギを戦わせる競技)に見られるように、この要素が含まれる遊びは普遍的に人類を熱狂させるのだ。
逆に言えばその要素さえ表現できていれば、実際にパーツをカスタマイズするミニ四駆でも、スマホ上でやりとりするアプリゲームでも、熱狂はつくり出せるものだと思う。これこそが、ミニ四駆という遊びが持つ柔軟性と魅力だろう。
(c)小学館 (c)ShoPro (c)TAMIYA
(c)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
※ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標です。
ミニ四駆は大人も楽しめるんだな
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イベント情報
東京ゲームショウ2019
- 日時
- 2019年9月12日(木)から15日(日)10:00~17:00
- ※一般公開は14日、15日のみとなります。
- 会場
- 幕張メッセ 展示ホール1~11/イベントホール/国際会議場
- (千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
- 主催
- 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)
- 共催
- 日経BP
- 後援
- 経済産業省
関連リンク
しげる
Writer
1987年岐阜県生まれ。プラモデル、アメリカや日本のオモチャ、制作費がたくさんかかっている映画、忍者や殺し屋や元軍人やスパイが出てくる小説、鉄砲を撃つテレビゲームなどを愛好。好きな女優はメアリー・エリザベス・ウィンステッドとエミリー・ヴァンキャンプです。
https://twitter.com/gerusea
http://gerusea.hatenablog.com/
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連載
9月12日(木)から9月15日(日)まで、千葉の幕張メッセで開催さるゲームの祭典「東京ゲームショウ2019」(TGS2019)。 ゲーム関連の新作発表や続報、新タイトルの配信開始など、各メーカーがこの日に照準を絞ってゲーマーを賑わせている。 KAI-YOUでも様々なブースやコスプレなどをピックアップ!
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