かつてアメリカで“禁書”となった名作を紹介したインフォグラフィックスが、2013年の「禁書週間」の開催を記念して公開された。
「禁書週間」(Banned Books Week)とは、アメリカで年に1度行われる、表現の自由の重要性や検閲の弊害を訴えることを目的としたイベントだ。2013年は9月22日から28日にかけて行われた。毎回、禁書にまつわるインフォグラフィックス(「information(情報)」と「graphics(図)」を組み合わせた造語)などを公開している。
クレームが寄せられた理由の主なものとして、1番件数が多いとされているのは過度の性描写だ。2番目は誹謗中傷、そして年齢のレーティングに不適当な作品、その他、暴力描写と続く。
禁書となった理由
冒涜的で過度の暴力が目立つ。破滅的なテーマを扱っている。
禁書理由
冒涜的で、道徳上いかがわしい内容(フリーセックスを推奨する描写など)やドラッグ・自殺問題など成人向けのテーマを扱っている。
禁書理由
倒錯的で、粗野なテーマを扱っている。不敬な表現が見受けられる。
禁書理由
人種間の憎しみを促進する可能性がある。また、強姦や近親相姦のようなアダルトなテーマを扱っている。
禁書理由
残忍な行為・人種差別・性描写など、教室で取り上げるのに適切でない描写。過度の暴力が描写されている。
禁書理由
近親相姦やペドフィリアといった卑猥なモチーフによって、幾年もの間、フランス・イギリス・アルゼンチン・ニュージーランド・南アフリカで徹底的に禁止された。
禁書理由
道徳的に問題がある。過度の下品な言い回しが目立つ。オカルト関連の記述や、過度の暴力・性行為のシーンを含む。
禁書理由
不適切な性的言及や下品な言い回しが散見される上、軽々しく神の名を用いている。
禁書理由
作家の愛国心に疑いがある。露骨な暴力描写や冒涜的表現、宗教への不敬、人種差別などを扱った内容になっている。
禁書理由
ドラッグ乱用・拷問・近親相姦・同性愛に関わるシーンを取り扱い、性的で下品な言い回しが含まれている。ネガティブな黒人描写が目立つ。
日本でも様々な理由から発禁処分が下される書籍は多数存在する。最近では、『はだしのゲン』の閲覧制限を小中学校に求める動きから端を発して巻き起こった議論が記憶に新しい。
例年行われているアメリカの「禁書週間」は、今一度、本を読める自由について思いを馳せるきっかけになるかもしれない。
執筆者:あそうまお
「禁書週間」(Banned Books Week)とは、アメリカで年に1度行われる、表現の自由の重要性や検閲の弊害を訴えることを目的としたイベントだ。2013年は9月22日から28日にかけて行われた。毎回、禁書にまつわるインフォグラフィックス(「information(情報)」と「graphics(図)」を組み合わせた造語)などを公開している。
読者からクレームが寄せられた1番の理由は?
今回の「禁書週間」中には、アメリカの書籍販売サイト「BookPal」のブログにて、かつて様々な理由から“禁書”とされた10冊の名作の紹介とその理由や、1990年から2010年の間に、図書館等から排除するようにクレームの届いた件数の推移・その主な理由がインフォグラフィックスとして公開された。クレームが寄せられた理由の主なものとして、1番件数が多いとされているのは過度の性描写だ。2番目は誹謗中傷、そして年齢のレーティングに不適当な作品、その他、暴力描写と続く。
アメリカで「禁書」とされた名作10冊
かつて“禁書”とされた10冊の中には、いまでも日本でも愛されている名著が選ばれている。インフォグラフィックスには、それぞれ、なぜ禁書とされたのか、簡単にその理由が記述されている。『蠅の王』(原題:Lord of the Flies)ウィリアム・ゴールディング
無人島に取り残された子どもたちが、社会的な集団を形成しようとするも、徐々に原始的な姿になっていく様子を描いている。禁書となった理由
冒涜的で過度の暴力が目立つ。破滅的なテーマを扱っている。
『すばらしい新世界』(原題:Brave New World )オルダス・ハクスリー
“意識の拡張”に生涯の関心を寄せたイギリスの有名な作家による、悲惨で不気味な未来を垣間見る、最良のSF作品。あらゆるものがみせかけの“すばらしい新世界”の描写を通して、現代の社会問題を映しだしている。禁書理由
冒涜的で、道徳上いかがわしい内容(フリーセックスを推奨する描写など)やドラッグ・自殺問題など成人向けのテーマを扱っている。
『ユリシーズ』(原題:Ulysses)ジェイムズ・ジョイス
とても長くて複雑な構成の上、過度に装飾的な文体を用いた、最も難解な小説の一つ。一方で、モダニズム文学の傑作として数えられてもいる作品のため、多くの作家が『ユリシーズ』に影響をうけた。禁書理由
倒錯的で、粗野なテーマを扱っている。不敬な表現が見受けられる。
『アラバマ物語』(原題: To Kill a Mockingbird)ハーパー・リー
ハーパー・リーさんが刊行した唯一の小説である本作はピューリッツァー賞を受賞、映画化もされている。不当な人種差別に対する長く厳しい戦いを、子どもを通して活き活きと語らせている。禁書理由
人種間の憎しみを促進する可能性がある。また、強姦や近親相姦のようなアダルトなテーマを扱っている。
『ビラヴド』(原題:Beloved)トニ・モリスン
オハイオ州に住む暗い過去を抱えた家族が、過去の亡霊に悩まされる様を描いている。実際に起きた逃亡奴隷の悲劇にヒントを得ているという、アメリカの抱えていた奴隷制度に肉迫した作品。禁書理由
残忍な行為・人種差別・性描写など、教室で取り上げるのに適切でない描写。過度の暴力が描写されている。
『ロリータ』(原題:Lolita)ウラジーミル・ナボコフ
小女性愛嗜好の主人公による手記という体裁をとった小説。長く議論の対象となった問題作。「ロリコン(ロリータ・コンプレックス)」の語源として広く知られている。禁書理由
近親相姦やペドフィリアといった卑猥なモチーフによって、幾年もの間、フランス・イギリス・アルゼンチン・ニュージーランド・南アフリカで徹底的に禁止された。
『ライ麦畑でつかまえて』(原題:The Catcher in the Rye)J・D・サリンジャー
主人公であるホールデン・コールフィールドが10代に相応の心配事や悲しみ、恐れ、不安を抱えながら、ゆっくりと成長していくベストセラー青春小説。禁書理由
道徳的に問題がある。過度の下品な言い回しが目立つ。オカルト関連の記述や、過度の暴力・性行為のシーンを含む。
『怒りの葡萄』(原題:The Grapes of Wrath)ジョン・スタインベック
故郷を追われた農家の一家が、大恐慌時代のアメリカ社会で生き抜く姿を描いた小説。物語描写と、作者による当時のアメリカ社会を叙述する章で構成され、全ての人が望む貧困からの脱出、挫折を経て未来の希望に向けて立ち上がる不屈の物語を描いている。禁書理由
不適切な性的言及や下品な言い回しが散見される上、軽々しく神の名を用いている。
『二十日鼠と人間』(原題:Of Mice and Men)ジョン・スタインベック
上記の『怒りの葡萄』と同じく、ジョン・スタインベックさんの作品。2人の日雇い労働者を中心とした悲劇的な人間ドラマを通して、20世紀前半のアメリカを苦しめた社会経済を抉り出した。禁書理由
作家の愛国心に疑いがある。露骨な暴力描写や冒涜的表現、宗教への不敬、人種差別などを扱った内容になっている。
『カラーパープル』(原題:The Color Purple)アリス・ウォーカー
20世紀前半のアフリカンアメリカンの苦境を通して、人種問題に留まらず男女差別、日常的な暴力のばびこる環境から、人間の尊厳を取り戻していく物語。禁書理由
ドラッグ乱用・拷問・近親相姦・同性愛に関わるシーンを取り扱い、性的で下品な言い回しが含まれている。ネガティブな黒人描写が目立つ。
日本でも様々な理由から発禁処分が下される書籍は多数存在する。最近では、『はだしのゲン』の閲覧制限を小中学校に求める動きから端を発して巻き起こった議論が記憶に新しい。
例年行われているアメリカの「禁書週間」は、今一度、本を読める自由について思いを馳せるきっかけになるかもしれない。
執筆者:あそうまお
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2件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:9546)
「全ての禁書」の和訳を発刊している日本は、多様性の国だろう。
匿名ハッコウくん(ID:2183)
禁書理由の方が反社会言辞