大塚英志『まんがでわかる物語とは何か?』刊行 英雄譚から都市伝説まで

  • 0
KAI-YOU編集部_文芸部門
大塚英志『まんがでわかる物語とは何か?』刊行 英雄譚から都市伝説まで
大塚英志『まんがでわかる物語とは何か?』刊行 英雄譚から都市伝説まで

『まんがでわかる物語とは何か?』書影/画像はAmazonより

批評家・大塚英志さんによる新刊『まんがでわかる物語とは何か?』(KADOKAWA)が、9月4日(水)に刊行された。

ディズニーランドから都市伝説や神話の構造まで、複雑な物語論を漫画を通して学べる一冊。

英雄誕生神話や民話の形態学、そして「治療としての物語」「社会運動としての物語」など、多彩な切り口で“物語”を紐解いている。

「物語」の批評と作品制作に関わってきた大塚英志

著者の大塚英志さんは、1958年生まれの批評家/作家。『物語消費論』や『キャラクター小説の作り方』など、サブカルチャーから現代社会までを横断する評論を数多く発表してきた。

また編集者としても『漫画ブリッコ』や『月刊少年キャプテン』などを手がけ、物語論と実作を繋ぐ役割を担ってきた存在として知られている。

漫画部分を担当するのは、漫画家・ひらりんさん。難解なテーマを親しみやすく可視化する表現で、教育系・実用書籍のコミカライズを数多く手がけている。過去にも、『多重人格探偵サイチョコ』などの大塚英志作品に参加してきた。

本作でも「貴種流離譚」や「英雄誕生神話」といった学術的なテーマを、具体的なキャラクターのやり取りやシーンを通じて描き出している。

物語理論の基礎を理解できるような内容に

本書の章立てによれば、民話研究の巨匠であるウラジーミル・プロップさんによる『民話の形態学』から、クロード・レヴィ=ストロースさんの神話論、さらにはハリウッド映画の物語構造まで幅広く扱われる。

都市伝説やゲームに潜む物語性といった現代的題材も織り交ぜられており、日常的に触れるコンテンツにまつわる物語理論の基礎を理解できるような内容に仕上がってるという。

「無意識と物語」「治療としての物語」といった人間の内面や社会運動に関わる視点も提示される。

この記事どう思う?

この記事どう思う?

物語を読み解く力を養う書籍を紹介中!

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』と模擬的な戦後──マチュはいかにして“正史”を乗り越えたか

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』と模擬的な戦後──マチュはいかにして“正史”を乗り越えたか

『機動戦士ガンダム』のテレビ放送が始まった1979年、その後の日本社会やサブカルチャーに大きな影響を与える邦訳書が刊行されている。フランスの社会学者、ジャン・ボードリヤールの『消費社会の神話と構造』(1970)である。ボードリヤールは、人々がモノ(商品)を...

premium.kai-you.net
「セカイ系」30年の歴史と、その可能性──批評家 渡邉大輔『セカイ系入門』刊行

「セカイ系」30年の歴史と、その可能性──批評家 渡邉大輔『セカイ系入門』刊行

批評家/映画史研究者の渡邉大輔さんが、新刊『セカイ系入門』(星海社新書)を9月18日(水)に刊行する。著者にとって6冊目の単著にして、初の新書。そして初のサブカルチャー評論書となる。「セカイ系」四半世紀以上の歴史と批評的可能性を整理「セカイ系」とは、社会...

kai-you.net
美学者 難波優輝が書籍『物語化批判の哲学』刊行 推し活やMBTI等の危うさを問う

美学者 難波優輝が書籍『物語化批判の哲学』刊行 推し活やMBTI等の危うさを問う

「何者かになりたい」──そんな切実な願いが、いつしかあなたを物語の枠に閉じ込めていないだろうか。そんな問いを考える美学者・難波優輝さんによる『物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために』が、講談社現代新書から7月17日(木)に刊行される。「私の人...

kai-you.net
「世界の終わり」で読み解く現代の物語──『ぼっち・ざ・ろっく』から『ブルーアーカイブ』まで

「世界の終わり」で読み解く現代の物語──『ぼっち・ざ・ろっく』から『ブルーアーカイブ』まで

「なぜ人は、世界が終わる物語が好きなのか」。この問いを補助線に、現代の物語群を読み解く連載が岩永亮祐氏による「現代物語概論」だ。前編では、私たちがある作品を好む傾向性(ブルデューの言う「ハビトゥス」)を前提に、古今東西の終末論とそれにまつわるフィク...

premium.kai-you.net

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。