唯一無二の歌声を武器に、シーンで独特の存在感を放ち続けるバーチャルシンガー・花譜さんのワンマンライブ「花譜 4th ONE-MAN LIVE『怪歌』」が、1月14日に代々木第一体育館で開催された。
2日間に及ぶKAMITSUBAKI STUDIO史上最大のミッション「神椿代々木決戦二〇二四」。そのクライマックスに開催されたライブは、バーチャルアーティスト初の単独アリーナ公演という歴史的な機会となった。
常にファンである観測者たちを驚かせてきたプロデューサーのPIEDPIPERさんが、改めてそう語るのも当然だ。そう言い切れるだけの衝撃と感動が、新時代のバーチャルエンターテイメントには詰め込まれていた。
取材・文:オグマフミヤ 編集:恩田雄多 写真:小林弘輔
【アーカイブ】花譜と廻花の「怪歌」を映像で振り返る
アリーナライブにふさわしいマジェスティックなオープニングから一転、暗闇に包まれた会場に彼女の詩のような言葉が響く。
満員のアリーナと対峙して不敵に笑って見せると、「花譜です! 始めます!」と叫んで一大決戦の開幕を告げる。瑞々しい鍵盤の音色から始まるオープニングナンバーは「青春の温度」だ。スタートから遠慮知らずのフルパワーでアリーナを爆熱させるもまだまだ物足りないようで、腕を振り上げて「もっと!」と要求する我儘っぷりがなんとも頼もしい。「怪歌」での「青春の温度」パフォーマンス
無敵感全開のまま「人を気取る」へ。初期から続く「過去を喰らう」3部作の完結編として、これまではライブのクライマックスを彩ってきた楽曲を、序盤に配する攻撃的なセットリストに仰天させられる観測者たち。
それでも心地よくかき乱された激情を、そのまま大歓声へと変換してみせる。壇上の花譜さんもハイテンポな楽曲を歌いこなしつつ、腕を振り上げたりステージを駆けまわったりと超ハイテンションだ。 急転、しっとりと歌い始めた次なる曲は「未観測」だ。「不可解」シリーズ2作目として大事に歌い継いできた楽曲を惜しげもなく披露し、もう何が来ても驚くまいと構えていたオーディエンスを全員残らずひっくり返させる大胆な展開。
「だから今を生きる それさえ出来てりゃ勝者だ
我らは不可解 されどむざむざに死にはせぬ」 ドラマチックなイントロから一気にボルテージを上げれば、大シンガロングが巻き起こってクライマックスと見まごうほどの狂騒が生まれた。
「わたし花譜は20歳になりました!」と言い放ち、巻き起こる祝福をいっぱいに抱きしめる様子に、驚異の中学生シンガーとしてこの世に現れてからの歩みを感じて感慨深くなる。 同時に、「今日はあんな曲やこんな曲、あんなことやこんなこと、新曲も盛りだくさんでお送りしたいと思っています!」とオーディエンスを煽る姿は、流石のライブ巧者っぷりだ。
深海に沈み込んだような蒼く静謐なライティングの中、披露されたのは「世惑い子」。儚い歌声ながら、心に強く訴えかけるような歌唱は彼女の真骨頂。囁くような序盤から熱唱へとシームレスに繋いでみせる表現の巧みさに、一つずつ刻んできた年輪を感じさせる。 続く「それを世界というんだね」も、アリーナにふさわしい荘厳なアレンジが施されており、生み出されるシンガロングの規模も桁違いだ。投稿された物語を歌にする「キミノウタをつくろう!」プロジェクトの楽曲を、オーディエンスと声を合わせて楽しそうに歌い上げる姿は、反則的なほどに感動的だった。
「カンザキイオリさんが最後じゃないけど最後につくってくださった曲です」と言って歌い始めたのは「邂逅」。花譜「邂逅」
長く共に歩んできたカンザキイオリさんから送られた楽曲を真摯に歌い上げる最中、ペンライトが一斉に消灯されて美しい歌声がより強調される。誰も立ち入ることのできない2人の絆を強く感じる一幕だった。
2日間に及ぶKAMITSUBAKI STUDIO史上最大のミッション「神椿代々木決戦二〇二四」。そのクライマックスに開催されたライブは、バーチャルアーティスト初の単独アリーナ公演という歴史的な機会となった。
「過去最も攻めてる」「神椿代々木決戦二〇二四 」
— PIEDPIPER (@PIEDPIPER2045) January 14, 2024
DAY2 花譜 4th ONE-MAN LIVE
「怪花」リハ終了。
代々木第一体育館で繰り広げられる、KAMITSUBAKI STUDIO史上最大のミッション。花譜が挑むのは、バーチャルアーティスト初の単独アリーナ公演。… https://t.co/33CA8OWYSh
常にファンである観測者たちを驚かせてきたプロデューサーのPIEDPIPERさんが、改めてそう語るのも当然だ。そう言い切れるだけの衝撃と感動が、新時代のバーチャルエンターテイメントには詰め込まれていた。
取材・文:オグマフミヤ 編集:恩田雄多 写真:小林弘輔
【アーカイブ】花譜と廻花の「怪歌」を映像で振り返る
目次
花譜4thワンマン、惜しげもないアンセムの連打で大狂乱
スクリーンのカウントダウンがゼロになると同時に、会場を埋め尽くす無線制御ペンライトが一斉にピンク色に光り、花開くように空間を煌めかせた。期待感ではち切れそうな観測者たちを粋な演出で焚きつける中、花譜さんが渋谷の街を巡る映像が流れ始める。 荘厳さを増す音楽をバックに花譜さんが手を広げると煌びやかな花々が花開き、ライブタイトル「怪歌」の文字が映し出され、いよいよ「花譜 4th ONE-MAN LIVE『怪歌』」の幕開けだ。アリーナライブにふさわしいマジェスティックなオープニングから一転、暗闇に包まれた会場に彼女の詩のような言葉が響く。
すっかり聞き入る姿勢になったフロアに小さなハミングが聞こえてきた。それが幾重にも折り重なって徐々に壮大なメロディへと昇華されていくと、花譜さんがゆっくりとオンステージ。“あの日みたいに また一緒に歌いたいな
それまで どんな私に出会えるんだろう”
満員のアリーナと対峙して不敵に笑って見せると、「花譜です! 始めます!」と叫んで一大決戦の開幕を告げる。瑞々しい鍵盤の音色から始まるオープニングナンバーは「青春の温度」だ。スタートから遠慮知らずのフルパワーでアリーナを爆熱させるもまだまだ物足りないようで、腕を振り上げて「もっと!」と要求する我儘っぷりがなんとも頼もしい。
それでも心地よくかき乱された激情を、そのまま大歓声へと変換してみせる。壇上の花譜さんもハイテンポな楽曲を歌いこなしつつ、腕を振り上げたりステージを駆けまわったりと超ハイテンションだ。 急転、しっとりと歌い始めた次なる曲は「未観測」だ。「不可解」シリーズ2作目として大事に歌い継いできた楽曲を惜しげもなく披露し、もう何が来ても驚くまいと構えていたオーディエンスを全員残らずひっくり返させる大胆な展開。
「だから今を生きる それさえ出来てりゃ勝者だ
我らは不可解 されどむざむざに死にはせぬ」 ドラマチックなイントロから一気にボルテージを上げれば、大シンガロングが巻き起こってクライマックスと見まごうほどの狂騒が生まれた。
花譜、20歳 刻んできた年輪
ゴキゲンな笑顔のまま流れ込んだMCでは、大成功に終わった「神椿代々木決戦二〇二四」1日目の「V.W.P 2nd ONE-MAN LIVE『現象II-魔女拡成-』」を振り返りつつ、ライブシリーズ「不可解」に続く新たなライブシリーズの開幕を宣言。「わたし花譜は20歳になりました!」と言い放ち、巻き起こる祝福をいっぱいに抱きしめる様子に、驚異の中学生シンガーとしてこの世に現れてからの歩みを感じて感慨深くなる。 同時に、「今日はあんな曲やこんな曲、あんなことやこんなこと、新曲も盛りだくさんでお送りしたいと思っています!」とオーディエンスを煽る姿は、流石のライブ巧者っぷりだ。
深海に沈み込んだような蒼く静謐なライティングの中、披露されたのは「世惑い子」。儚い歌声ながら、心に強く訴えかけるような歌唱は彼女の真骨頂。囁くような序盤から熱唱へとシームレスに繋いでみせる表現の巧みさに、一つずつ刻んできた年輪を感じさせる。 続く「それを世界というんだね」も、アリーナにふさわしい荘厳なアレンジが施されており、生み出されるシンガロングの規模も桁違いだ。投稿された物語を歌にする「キミノウタをつくろう!」プロジェクトの楽曲を、オーディエンスと声を合わせて楽しそうに歌い上げる姿は、反則的なほどに感動的だった。
「カンザキイオリさんが最後じゃないけど最後につくってくださった曲です」と言って歌い始めたのは「邂逅」。
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