怒涛の新曲ラッシュで魅せる新たな一面
圧倒されっぱなしのオーディエンスが心を落ち着かせていると、静寂の中に言葉が落ちてくる。煌々と光る花々が咲き乱れる絢爛な風景の中、立ち上がった花譜さんの姿は「特殊歌唱用形態 扇鳩」(読み:オウギバト)へと進化していた。 刺々しいパーツたちが攻撃的な印象を与える新形態で歌い出したのは「スイマー」。流れる水の表現が美しい背景映像をバックに歌う新曲は、水中を揺蕩(たゆた)うような流麗な旋律が心に残る一曲だ。“口や目や耳を越えて 魂から魂へ伝承する
記憶をわかちあって 今わたし進化するんだ”
そこから一気にテンションを上げて突入したのは、またも新曲「アポカリプスより」。スクリーンに映し出されるハリケーンの如く、吹き荒れる激情を歌声に込めて解き放つ姿に、表現力の進化がさらなる次元へ至っていることを確信させられる。
衣装のせいか、大人の雰囲気を漂わせながら、新曲たちの連打で観測者たちのハートを撃ち抜いた。 ようやく一息ついてのMCでは、新形態をデザインしたPALOW.さんへの感謝をみんなで述べると、「新曲はまだまだ続きます!」と告げて嬉しい悲鳴を上げさせる。観測者たちが撮影したライブ映像を元にMVをつくり上げるという、新たな試みが実施される新曲の名は「ホワイトブーケ」。
バーチャルサーカス団・VALISがオリジンスタイルで登場し、神出鬼没の面目躍如を果たしつつ切れ味抜群の舞踊を展開。モノクロな背景映像に反してカラフルな歌声を響かせる花譜さんとのシンクロで、楽曲世界を美しく描き出していく。
激しくかき鳴らされるギターサウンドで一気に景色が変わると、続いても新曲「ゲシュタルト」。独創的な言葉遊びが印象的なアッパーチューンだが、曲中の「どっかーん」に合わせて爆炎まで上がってしまうのだからライブ映えが過ぎる。 見どころ満載な新曲ラッシュを終えると、ジャジーなビートに乗せてバンドメンバーを紹介。巧みに折り重なるセッションが徐々にテンションを上げていくと、「ライブもいよいよ終盤です!」と告げてラストスパートへ。
サプライズゲストにGuianoさんを呼び込んで披露したのは、新曲「この世界は美しい feat.Guiano」。 「あーなんて美しい最低で綺麗な世界
大丈夫明日にはまた信じれるよ」
Guianoさんらしさが全開の新曲は、軽快で清々しくも、確かに強く胸を打つエネルギーを持ったスーパーグッドミュージック。メロディアスな楽曲の上で若き才能たちがスパークする様に心が躍らずにいられない。
バーチャルシンガーソングライター廻花
「深化Alternativeとは、可能性の拡張」スクリーンには次々とこれまでのライブで成し遂げてきたプロジェクト「深化Alternative」についての説明が並んでいく。
「深化Alternative 1 ライブを通じて歌唱用形態を獲得すること」
「深化Alternative 2 音楽的同位体シリーズへの分岐」
「深化Alternative 3 物語世界のもう一人の「自分」との邂逅」
「深化Alternative 4 バーチャルアバターを複数持ち、ひとつだけの外見から自由になること」
変化と改革の歴史をたどると、花譜さんの姿が花びらのような粒子となって高く空へ舞い上がっていく。その粒子は街を駆け巡り、鳥の姿になってまた一つに集まると、新たな姿を形づくる。
「深化Alternative 5 現実の身体に、バーチャルインターフェイスを実装し、リアルとバーチャルの関係性を反転させた『新たな存在』へと分岐すること」
降り注ぐ粒子がステージにシルエットを形成すると、その名がスクリーンに映し出される。 「バーチャルシンガーソングライター 廻花」
花譜ではない新たな姿での降臨に、流石に動揺を隠せなかった観測者たちだったが、どよめきは瞬く間に歓声へと変わり、新たな歌姫の誕生を祝福する。
華奢なシルエットには似つかわしくないタフなビートに乗せて、矢継ぎ早に言葉を並べる新曲「ターミナル」。ソリッドな音色が新たな物語の始まりを感じさせる。 「はじめまして廻花です」
短く挨拶すると「ひぐらしのうた」へ。高校2年生の時につくったという楽曲は、それを確かに感じさせる瑞々しさと、血の通った暖かさを感じさせる優しい一曲。たった2曲でもシンガーソングライターとしての底知れぬ実力を知らしめて次の曲へ。
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