2025年のVTuberシーンの音楽は、ライブという現場において活況に満ちた1年だった。
ホロライブでは2024年から、メンバーのソロ公演が毎月のように開催。2025年も星街すいせいさんが念願の日本武道館公演を達成したことを皮切りに、白上フブキさん、天音かなたさん、常闇トワさんなど、多くのメンバーがアリーナ会場を満員にしていった。
それはにじさんじでも同様で、「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin'in the Rainbow!」で日本全国、さらに上海やソウルでの公演も実現。月ノ美兎さん、ROF-MAO、Idiosの単独公演、そして12月31日(水)には数年ぶりとなるARライブを実現することになった。
一連の活況は、シーンを引っ張る2大事務所のみが牽引しているわけではない。KAMITSUBAKI STUDIOやRK Musicといったシンガー中心のプロダクションや、個人で活動するVTuberらが中心になって開催されるライブ企画が毎週のように開催されている。
2026年12月でちょうどVTuberシーンも節目の10年を迎え、ネットカルチャーに渦巻き続けてきた熱量、さまざまな形で活動領域を広げていこうとする志向性が、ライブ現場へと伝播しているのだ。
2023年、2024年と同様に、2025年もヒットチャートを騒がせたり、ネットミームとして広まったりするヒットソングやバイラルヒットが生まれ、年を重ねるごとにVTuberやバーチャルシンガーといった存在が定着しつつある。
今回はそういった潮流を鑑みながらセレクトさせてもらった。読む人それぞれの名曲10選と照らし合わせながら楽しんでほしい。
目次
- 1. KMNZ(RK Music)「WAVE」
- 2. LIVE UNION(RK Music)「薫習」
- 3. 上水流宇宙(vα-liv)「ZeroGravity」
- 4. 理芽×花譜(KAMITSUBAKI STUDIO)「キャンディーゲリラ」
- 5. 星街すいせい(ホロライブ)「もうどうなってもいいや」
- 6. ReGLOSS(hololive DEV_IS)「アワータイムイエロー」
- 7. Mori Calliope(ホロライブEnglish)「LET'S JUST CRASH」
- 8. 加賀美ハヤト(にじさんじ)「泥の誉れ」
- 9. 月ノ美兎(にじさんじ)「アルクユニバース」
- 10. ピーナッツくん「できたらいいな」
- 11. 2023年〜2024年のVTuber名曲もチェック!
KMNZ(RK Music)「WAVE」
VTuberやバーチャルシンガーの中で、2025年におそらく最も活発に音楽活動を展開したのはKMNZではないだろうか。
2025年1月と6月に2度の単独ライブを開催し、下半期には自主イベント「KMNPARTY」を4ヶ月連続で開催。さらに「暴力的にカワイイ」「FUURYUUFES 5.0 2025」など、様々なライブイベントに参加した結果、なんと1年だけで10数回以上のライブ出演を果たした。
加えて、音源も『DROPS』『WAVE』『POSSE』とシングル3枚、合計9曲ものオリジナル曲をリリース。1月はじめにはアルバム『KMNCULTURE』を、その後に3人体制として過去楽曲を再構築した『KMNREVIVAL』も発表し、ライブに音源リリースにと忙しない1年を送った。
そんなKMNZの楽曲から「WAVE」を選んだ。
日本のポップスには珍しいレゲトン調のグルーヴから複雑にグルーヴが変化し、歪んだベースサウンドとバックトラックで構成された音の波(WAVE)で躍らせてくれる。
いま彼女たちが主戦場とするクラブハウスでのライブにフォーカスしているからこその音楽だと言える。
LIVE UNION(RK Music)「薫習」
RK Musicに所属する焔魔るりさん、HACHIさん、瀬戸乃ととさん、水瀬凪さんによるユニット・LIVE UNION。4人にとって初のユニットライブ「Looking 4 The Sparkle!」が3月30日に開催された。
デビュー時期は違えど、4人はこれまでソロ活動を続けてきたが、4人揃ってのライブはこの時が初。ライブに合わせてライブタイトルと同名のEPもリリースし、迎えたライブ本番、その終盤に披露されたのがこの「薫習」だった。
ストリングスや鍵盤楽器が引っ張る音数の少ないスローバラードで、それもリズミカルに響かせるようなニュアンスで弾かれつつ、4人のボーカルが関わっていく。リズムパターンや譜割り、4人によるボーカルリレーやコーラスワークも相まって、シンプルなバラードよりも聴き応えのある“トリック”が差し込まれた楽曲となった。
これをライブという一発勝負の場面で披露し、ガッチリと観客の心を鷲掴みにし、涙腺を破壊したのは言うまでもない。
上水流宇宙(vα-liv)「ZeroGravity」
アバンギャルディの「OKP Cipher」を元ネタにした踊ってみた動画がプチバズった上水流宇宙(かみずる こすも)さん。
「アイドルマスター」のいちプロジェクトである「vα-liv(ヴイアライヴ)」の一員として活動を続ける彼女は、前述したようなダンス(踊ってみた)のショート動画を多く投稿し、存在感を示してきた(外部リンク)。
1st EP『Astral』をはじめ、様々な楽曲をリリースしてきたなかで、今回は「ZeroGravity」をチョイスした。
曲の出足からパッと華やぐような鍵盤の音色と宇宙の声色に、4つ打ちキックとベースサウンドが絡んだクラブチューンは、これまでの「アイマス」ブランドでもたびたびリリースされてきたサウンドを受け継ぐ1曲だ。
2025年12月に開催された「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD 2025」にも出演を果たし、2026年に開催予定の「THE IDOLM@STER 20th Anniversary MORE RE@LITY LIVE」にも出演が決まっている。上水流宇宙さんを含めたvα-livは、静かにその存在感を強めつつある。
理芽×花譜(KAMITSUBAKI STUDIO)「キャンディーゲリラ」
活動の幅を一気に広げた存在といえば、KAMITSUBAKI STUDIOの面々も見過ごせない。ホラーゲームやTCG、バーチャル舞台劇の上演やアニメ作品の公開など、近年では目覚ましい活躍と活動の変化を見せている。
主要メンバーである花譜さん、理芽さん、ヰ世界情緒さん、春猿火さん、幸祜さんの5人は、こういった活動を経てかなり仲睦まじい関係を築いており、公私共に支え合うほどになっている。
それは主戦場とする音楽ライブやリリースでも同様だ。活動も5年を越える5人は、それぞれデビュー時期から毛色を変え、新たなイメージを生み出そうとしている。
そんななかでリリースされた理芽さんと花譜さんによる「キャンディーゲリラ」は、KAMITSUBAKI STUDIO流トランス&キュートを体現した1曲だ。
2人による細いボーカルは独特のセクシーさを漂わせながら聴く者を籠絡し、攻め攻めなベース&シンセサウンドはクラブでかかっていても遜色ない。
アゲにアゲをかけ合わせた高揚感は<シュガーハイで なんだかいいかんじ>という歌詞にも現れており、まさしくトリッピーな1曲。それは同時に、KAMITSUBAKI STUDIOの変化を示唆している。
星街すいせい(ホロライブ)「もうどうなってもいいや」
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のEDテーマとして書き下ろされた楽曲であり、星街すいせいさんにとって通算3枚目のCDシングルとしてリリースされた「もうどうなってもいいや」。
劇場先行版として上映された『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』で予告無く披露されたことで、見ていた観客全員を驚かせた。
ここで重要なのは「VTuberが“ガンダムシリーズ”に起用された」という一面ではない。アニソンに求められる作品におけるメッセージ性や表現を拡張していく役割を、星街すいせいさんがつとめる瞬間がやってきたことにある。
<もうどうなってもいいや>という言葉を、つぶやくように歌ったり、あるいは声を張り上げて表明し、やさぐれた感覚や悲しみを込めたりと、その時々によってニュアンスを変えながら歌っていく。この作品のヒロイン2人が見せる自暴自棄な感覚を捉えてみせた。
幸せそうな学生生活から逃亡生活へ、その日暮らしから人殺しへ。急展開を見せる2人の立ち位置はまさに急転直下。EDで描かれた2人が幸せそうに歌うワンカット映像も相まって、そのメッセージはより強固になった。アニソンに求められる役割や任務を、星街すいせいさんは完遂したのだ。
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