直木賞には河﨑秋子さんの『ともぐい』、万城目学さんの『八月の御所グラウンド』が選ばれた。
なお、芥川賞には九段理江さんの『東京都同情塔』が選ばれている。
河﨑秋子『ともぐい』作品紹介
河﨑秋子さんは、2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。北海道で羊飼いの仕事を経て2015年に小説家デビュー。 大藪春彦賞、新田次郎文学賞を受賞し、二度目の直木賞ノミネートで受賞。著書は『鳩護』『絞め殺しの樹』(直木賞候補作)『鯨の岬』『清浄島』などがある。『ともぐい』の舞台は、明治後期の北海道の山。版元の新潮社は「河﨑流動物文学の最高到達点」と評している。
【『ともぐい』作品概要】
己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには
明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!!
万城目学『八月の御所グラウンド』作品紹介
万城目学さんは2006年に、ボイルドエッグズ新人賞を受賞した『鴨川ホルモー』でデビュー。直木賞は、ノミネート6回目での受賞となる。著書の『鹿男あをによし』『偉大なる、しゅららぼん』『プリンセス・トヨトミ』などは映像化も果たした。 『八月の御所グラウンド』は、借金のカタに御所グラウンドでの草野球大会に参加させられる大学生を主人公とした小説。
京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマが描かれる。
『八月の御所グラウンド』作品概要
大学4回生の朽木は8月のクソ暑い京都で貴重な青春をただ怠惰に過ごしている。そんなある日、友人に借りた3万円のカタに、早朝の御所グラウンドで草野球大会をするという謎のイベントに参加させられる羽目になってしまう。
しかし、人数合わせの朽木を入れてもまだ、9人確保もままならないチームは、たまたまグラウンドにいた青年たちにも助っ人を頼むことに。
試合を重ね、大会が熱を帯びる一方、朽木は次第に助っ人の「えーちゃん」のことが気になり始める。ある人物に瓜二つなのである。それどころか、まさにその人だという状況証拠が積み重なるが、彼はもうこの世にはいないはずで……。
・直木賞候補作
加藤シゲアキ 『なれのはて 』講談社
河﨑秋子 『ともぐい 』新潮社(受賞作)
嶋津輝 『襷がけの二人 』文藝春秋
万城目学 『八月の御所グラウンド』 文藝春秋(受賞作)
宮内悠介 『ラウリ・クースクを探して』 朝日新聞出版
村木嵐 『まいまいつぶろ』 幻冬舎
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