今回は宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』が芥川賞を、西條奈加さんの『心淋し川』が直木賞を受賞。
候補作として事前より注目を集めていたクリープハイプのボーカル・尾崎世界観さんの『母影』、NEWSのメンバー・加藤シゲアキさんの『オルタネート』などは惜しくも受賞を逃した。
芥川賞候補一覧
受賞『推し、燃ゆ』/宇佐見りん
『母影』/尾崎世界観
『コンジュジ』/木崎みつ子
『小隊』/砂川文次
『旅する練習』/乗代雄介
直木賞候補一覧
受賞『心淋し川』/西條奈加
『汚れた手をそこで拭かない』/芦沢央
『八月の銀の雪』/伊与原新
『オルタネート』/加藤シゲアキ
『インビジブル』坂上泉
『アンダードッグス』/長浦京
気鋭とベテラン、受賞作家と作品について
芥川賞を受賞した宇佐見りんさんは、1999年生まれの現役大学生。2019年に『かか』で第56回文藝賞を受賞し、同作を単行本化し小説家デビューしている。『推し、燃ゆ』芥川賞を頂きました。頭が追いつかず、読んでくださった方、お世話になった方に何と言えば真の意味で感謝が伝わるのかわかりません。
— 宇佐見りん『推し、燃ゆ』『かか』 (@rinrin_usami) January 20, 2021
芥川賞は、45年前に私の推し作家が受賞した憧れの賞です。まだ到底及びませんが、自分が目指すものに向かい精進していきます。
宇佐見りん
今回、デビュー作に続く2作目『推し、燃ゆ』で初めて候補となり、受賞を決めた。
一方、直木賞を受賞した西條奈加さんは1964年生まれの小説家。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビューしている。宇佐見りん『推し、燃ゆ』あらすじ
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。
これまで時代小説を中心に多くの作品を発表しており、今回初めての候補で直木賞を受賞した。
西條奈加『心淋し川』あらすじ
「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張方をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。ほか全六話。生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。
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