連載 | #6 コミックマーケット101特集

冬コミ開幕 来場者数の上限引き上げ、50周年の未来を見据えた101回目

冬コミ開幕 来場者数の上限引き上げ、50周年の未来を見据えた101回目
冬コミ開幕 来場者数の上限引き上げ、50周年の未来を見据えた101回目

「コミックマーケット101」が開催される東京ビッグサイト/写真はKAI-YOU.net編集部撮影

世界有数の同人誌即売会「コミックマーケット101」が東京ビッグサイトで開幕した。12月30日(金)・31日(土)の2日間、1日あたり9万人、合計18万人の来場を見込む。

アニメ、漫画、ゲームなどの同人誌をはじめ、およそ2万サークルが様々なジャンルの作品を展示・頒布。夏に開催した節目の100回目を経て迎える、年末開催の冬コミだ。

参加者数上限の引き上げ、チケット販売数の増加と価格の値下げ。「2025年の50周年への第一歩を踏み出すこの冬」というコミケのカタログの言葉にある通り、コロナ禍以前を徐々に取り戻そうとしながら、2025年の50周年を見据える意味でも重要な機会になりそうだ。

来場者数の上限を引き上げ、チケット価格は値下げ

東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数は1万8372人、55.2%(12月29日時点)。全国的にみても年末にかけて増加傾向にあり、インフルエンザとの同時流行も懸念されている。

そうした中でも、コミックマーケットは政府や東京都の方針に従いながら、徐々にかつての姿を取り戻そうと試行錯誤が続く。

1975年の初開催から数えて101回目となる今回、最も大きな変更点は来場者数の上限の引き上げだ。夏の8万5000人から9万人に引き上げた。

さらに複数の種類があるチケットは、一部を除き500円から1500円ほど価格を値下げ。イベントを運営するコミックマーケット準備会は、「制約を緩めていくと共に、チケットもよりお求めやすい価格に見直していますので、皆さんの来場をお待ちしています」とコメントしている。

加えて、当日および開催前後の懇親会・会食について、自粛を呼びかけることはしない。感染拡大の状況や感染リスクを考慮し、各自の判断が求められる。

「中国のコロナが強まっている今、コミケでは大丈夫か」

全体的に“規制緩和”の印象が強い冬コミだが、それらは参加者も好意的に捉えている。

サークル参加する20代男性は、「(来場者数の引き上げは)頒布物を目にしてくださる人が増える、ということでもあるので単純に嬉しい」とコメント。

一方で、「中国のコロナが強まっている今、コミケでは大丈夫かという心配はあります」と正直な思いを口にした。

「2日間という短い期間ですが、何とか乗り切っていきたい。また、『C100』の竹箒や羽海野チカさんほど長蛇の列になるサークルもないと思うので、その辺りはゆるやかになりそうかなと思っています」

100回目という記念すべき節目だった夏コミは、「Fate」シリーズなどで知られるTYPE-MOONの武内崇さんと奈須きのこさんによるサークル「竹箒」漫画家の羽海野チカさんらがサークル参加。

長い行列を形成してコミケならではの“熱気”が感じられたが、そうした耳目を引くわかりやすいビッグネームが参加しない冬コミにおける盛り上がりも重要なポイントだ。

コミケ50周年へ向け「古臭い場所のように思われてほしくない」

「新たな世代が参加するようになったときに、コミケットが過去のもの、古臭い場所のように思われてほしくない。運営面も含めて、時代ごとに開催の最適解を目指していきたい」

コミックマーケット準備会の共同代表・市川孝一さんは、夏コミ開催時、KAI-YOU.netの取材に対してコミケの未来を口にした。

コミケは現在、2025年には50周年を迎え、“自由な表現の場”としての新たなスタンダードを模索しようとしている。

一方で、印刷業界関係者からは、コロナ以前と比べると、コミケで発表される新刊の数が少ないとの指摘もある。

次なる時代、世代に向けて、コミックマーケットがどのような価値を発信していけるのか──開催101回目という大台の第一歩目となる「コミックマーケット101」だからこそ、その未来への展望は、これまで以上に大きな注目を集めるだろう。


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