コロナ禍、さらには台風8号が接近する中でも、2日間で17万人が来場。人数に上限を設けながらも、3年ぶりの夏コミの会場にはコミケらしい熱気が漂っていました。
その熱気の底上げに一役買ったと言っても過言ではないサークルが、TYPE-MOONの武内崇さん・奈須きのこさんによるサークル「竹箒」、ワダアルコさんによる「ワダメモ」、羽海野チカさんによる「海の近くの遊園地」です。
東京ビッグサイトの東4ホールに配置された3つのサークルは、人気作家陣による同人誌が頒布されるとあって、朝から長蛇の列が発生。
中でも、23年ぶりに参加したという漫画家・羽海野チカさんのサークルには、サークルスタッフとして『シン・ゴジラ』にも出演したフリーライター・マフィア梶田さんが参加。文字通り頭ひとつ抜けた存在感もあいまって、異彩を放っていました。
実は、「サークルスタッフとしての参加は今回のコミケが初」というマフィア梶田さん。当日のサークル周辺の様子と、記念すべき100回目に参加したマフィア梶田さんを取材しました。
目次
羽海野チカ、オベロンイラスト集で23年ぶりのコミケ参加
羽海野チカさんといえば、『ハチミツとクローバー』や『3月のライオン』で知られ、ゲーム『Fate/Grand Order』のキャラクター・オベロンのデザインを担当した漫画家。【夏コミのお品書き】
— 海の近くの遊園地事務局【公式】8/14東シ62ab (@umino_cmk100) August 9, 2022
8/14 東シ62ab 海の近くの遊園地
「黄昏の王国」5,000円
オベロンのデザインをする際のアイデアスケッチを1冊にまとめました。初公開となるラフスケッチ集です☺️🙌
会場限定仕様は16Pの副読本、チケットホルダー、ミニカードの全4点セット!#C100 #羽海野チカ #オベロン #FGO pic.twitter.com/1C8ZmTsaaK
コミケ当日は、オベロンの様々なラフをはじめ、衣装、アクセサリーのデザインなどを収録したイラスト集『黄昏の王国 Lostbelt No.6 : Fae Round Table Domain, Avalon le Fae』を頒布しました。
6月、サークルの当落発表で参加が明かされるや否や大きな話題に。反響から通信販売を決定すると即完売。その後、関係各所とも相談の上、8月31日(水)19時までの期間限定で受注生産が決定しています(外部リンク)。候補に上がった各コースについて各所の皆様と沢山相談し、考えまして
— 羽海野チカ🍀3月のライオン (@CHICAUMINO) July 27, 2022
受付を再開する事に決めました🧌
今回は「受注」となります!
お時間はいただきますが💦必ずお手元に届くよう考えました
受付期間も長めです
焦らずにふんわりとお申込みください🌸
とらのあなさんです
明日午前からです😊🍀 pic.twitter.com/e5XJPyd0M2
こうした反響や要望に応じた対応からもうかがえる、羽海野チカさんの今回のコミケへの思い入れ。サークル参加前日には、Twitterで現地の参加者に向けた暑さ・熱中症対策と併せて、思いの丈を明かしていました。
あとは熱中症対策の塩分の入ってる飴
— 羽海野チカ🍀3月のライオン (@CHICAUMINO) August 13, 2022
コミケは登山と似ています
履き慣れた靴で!
もし体調に変化を感じたら無理せず、自分で歩けるうちに涼しい所へ移動して休み、歩けるうちに帰路につきましょう
家に着くまでがコミケですよ
身体が一番心配です😭🌈🧚♂️ pic.twitter.com/FQjaH3gHd1
サークル名である「海の近くの遊園地」は、自身が初めてつくった本のタイトルであること、また羽海野チカというペンネームはその5文字から取られていることに言及。このサークル名
— 羽海野チカ🍀3月のライオン (@CHICAUMINO) August 13, 2022
「海の近くの遊園地」は
わたしが初めて作った自費出版の本のタイトルです🎪🧚🏿
そして私のペンネームは
この最初の一冊の
最初の5文字からとって
つけました😊🌈🧚♂️🧌🎪🧚🏿🌸🌲✨🌸
23年ぶりにまた参加させていただくことができて
本を作る事ができて
言葉にできない気持ちです
その上で「23年ぶりにまた参加させていただくことができて 本を作る事ができて 言葉にできない気持ちです」と、思いを込めたサークル参加、そして頒布物であることを伝えていました。
サークル「海の近くの遊園地」にも行列「新刊が買えれば満足です」
そしてコミケ2日目当日、羽海野チカさんのサークル「海の近くの遊園地」には、朝から多くの人が並びました。お隣「竹箒」ほどではないものの、10時30分の開幕時点ですでに列が形成されており、その長さは時間を追うごとにどんどん伸びていきます。 アーリー入場で参加して7時30分から並んでいたという20代男性は、先の見えない「竹箒」の行列に「すごいですね……」と感心しつつ、「今回は羽海野チカさんの新刊目当てで来ました。これが買えれば満足です」と笑みを浮かべました。
列整理をしていたサークルスタッフの人によれば、行列はあるものの11時頃の段階で待ち時間はおよそ20分程度。それでも、当初1人あたり2冊限定だったのが、11時過ぎには1冊限定に切り替わるなど、反響の大きさは予想以上だったようです。
サークルスペースがあるシャッター前は、さながら秘境への入り口。列が吸い込まれていったかと思えば、また次の列が今か今かと待機する。 真夏の日差しが照りつけ、セミがけたたましく鳴く中で、額に汗しながら長時間並ぶのは、お目当ての品があるのはもちろん、その行為自体に価値を感じる人が多いからに他なりません。そんなコミケならではの魅力を、改めて実感できました。
そうこうしているうちに、13時20分頃には列切り。つまり新規に並ぶことはできなくなり、およそ40分後にオベロンイラスト集は完売になりました。
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連載
2022年8月13日(土)・14日(日)の2日間にわたって東京ビッグサイトの東・西・南展示棟(サークル・企業ブース)で開催される「コミックマーケット100」(C100)を特集。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止・延期を経て、2021年12月に2年ぶりに現地開催された世界最大級の同人誌即売会が迎える、記念すべき100回目。 冊子版カタログの復活、ワクチン・検査パッケージの非導入、東西エリアの移動制限解除、そして来場者数上限を8〜9万人に引き上げ──。 1975年の第1回開催以来、コロナ禍という特殊な状況でも歩みを進めるコミケ。サークル、コスプレ、一般参加者、さらには準備会と全参加者を追う。
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