連載 | #20 コミックマーケット100特集

TYPE-MOONの前身サークル「竹箒」がコミケに凱旋 夏コミ復活と100回目の狼煙

TYPE-MOONの前身サークル「竹箒」がコミケに凱旋 夏コミ復活と100回目の狼煙
TYPE-MOONの前身サークル「竹箒」がコミケに凱旋 夏コミ復活と100回目の狼煙

100回目のコミックマーケットに凱旋したサークル「竹箒」列の最後尾札/撮影はKAI-YOU.net編集部

世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」。その記念すべき100回目となる「コミックマーケット100」(C100)が、コロナ禍そして台風をものともせず、無事に開催されました。

夏コミとしては3年ぶりに開催され、台風一過による炎天下の中、コミケ会場となる東京ビッグサイトは文字通り“熱狂”に包まれました。

特に今回、大きな注目を集めたのは、ジャンル「TYPE-MOON」のとある一画でした。

TYPE-MOON本家である武内崇さん・奈須きのこさんによる個人サークル「竹箒」、ワダアルコさんによる「ワダメモ」、羽海野チカさんによる「海の近くの遊園地」という、強力すぎるサークルが横並びでシャッター配置された東4のエリア。

筆者が朝から取材した様子をお届けします。
※前置きがちょっとだけ長くなるので「会場レポだけとっとと読みたい!」って人は目次の「3」に飛んでください。

目次

日本の同人文化を支えるコミケに竹箒が凱旋

日本では、ポップカルチャーの歴史を同人文化抜きに語ることはできません。

オリジナルを意味する一次創作、それをモチーフにファンたちが自身の創作性を加えて生み出した二次創作。

そうした同好の士たちとサークルを結成し、同人誌などを制作する。こうした同人活動が、アニメ・漫画・ゲームといったポップカルチャー産業と伴走し続け、独自の文化を形成してきました。 「コミックマーケット」は、1975年の始まりから数えて、およそ半世紀に及んでその同人文化が一堂に会する“”を提供し続けてきました。 そして、そのコミケに支えられ続けてきた同人文化から産声をあげ、今やその経済効果も含めて、日本のエンタメ産業の巨大な一翼を担うまでに成長を遂げたブランドがTYPE-MOONです。

小説家の奈須きのこさんと、イラストレーターの武内崇さんを中心としたTYPE-MOONは、「月姫」や「Fate」といった作品を生み出してきました。

特にTYPE-MOONの商業デビュー作品として2004年の『Fate/stay night』から幕を開けた「Fate」シリーズは、アニメ『Fate/Zero』やスピンオフ作品『ロード・エルメロイII世の事件簿』、スマホゲーム『Fate/Grand Order』をはじめ、それぞれが怪物級のタイトルとして大ヒットを記録していることは周知の通り。

2000年代、「Fateは文学」というコピペが持てはやされたことを振り返ると、それが今こうしてさらに花開いていることを思えば、万感の思いが去来するオタクも決して少なくないことでしょう。

竹箒は、その奈須きのこさんと武内崇さんが結成していた、TYPE-MOONの前身に当たる同人サークルです。『空の境界』はその時代からの作品(当時のタイトルは『空の境界式』)。

竹箒としてのコミケ参加は、なんと2008年8月の「コミックマーケット74」以来とのことで、実に14年ぶりとなります。

もはや自分たちのブランド自体が「TYPE-MOON」というコミケのジャンルとなっている現在。日本のコンテンツ力を牽引する巨大タイトルをひっさげて、同人作家の雄が十数年ぶりに古巣へ凱旋するわけです。それも100回記念のコミケに。

奇しくも、コロナ禍で2019年夏を最後に、夏コミは開催見送りを余儀なくされてきました。 年にたった2回きりのオタクのお祭りである「コミケ」。その復活とメモリアルを祝福するのに、ここまでよくできた物語もないでしょう

こんなの、盛り上がらないわけがないのです。

同人誌は3冊。いずれも後日購入・閲覧可能。それでも……

なお、当日の頒布物として告知されていた同人誌は3冊ありました。

まず、『月姫』以降のTYPE-MOONや関連作品の設定資料集『型月稿本』と、『Fate/Grand Order』のストーリーをまとめたプロット本『Avalon le Fae Synopsys』。

この2冊は、事前に「とらのあな」と「メロンブックス」で通販が実施されるも、案の定それぞれサーバーが落ちる自体に

混乱の中で完売となってしまいましたが、現在、追加の受注生産を受付中。申し込めば誰でも購入することができます(つまり転売は無意味)。 そして、3冊目のイラスト集『Kaleido works』が、コミケ会場限定での頒布となります。

ただし、前述の2冊が通販で即完となった8月5日に、「一部内容を変更してPDFデータを期間限定で公開予定」であることも発表されました(だから転売は無駄)。 つまり、2冊は通販で購入できるし会場限定の1冊もネット上で公開されるわけで、「別にコミケで無理にゲットしなくても良い」わけです。

でも、それでいっか! なーんて考えるオタクがいるわけないんだよなあ。

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12月の「コミックマーケット101」で会いましょう

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コミックマーケット100特集

2022年8月13日(土)・14日(日)の2日間にわたって東京ビッグサイトの東・西・南展示棟(サークル・企業ブース)で開催される「コミックマーケット100」(C100)を特集。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止・延期を経て、2021年12月に2年ぶりに現地開催された世界最大級の同人誌即売会が迎える、記念すべき100回目。 冊子版カタログの復活、ワクチン・検査パッケージの非導入、東西エリアの移動制限解除、そして来場者数上限を8〜9万人に引き上げ──。 1975年の第1回開催以来、コロナ禍という特殊な状況でも歩みを進めるコミケ。サークル、コスプレ、一般参加者、さらには準備会と全参加者を追う。

1件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:5829)

ガチオタゲーマーしか買わないサークルか。ヤフオクで450000円で転売されてるけど。メルカリで100000円で販売してます。写真の奴らはほとんど転売屋です。