TYPE-MOONの前身サークル「竹箒」がコミケに凱旋　夏コミ復活と100回目の狼煙

10時30分、コミケ会場。すでにありえん長蛇の列が

取材班は、開場の10時30分に入場して、渦中の東4ホールに向かいました。

Twitterでは、サークルチケット（サークル参加者に配布される入場券）で7時半から入場している参加者たちによる列が、ありえんくらい伸びているという噂で持ちきりに（この点は賛否あります）。

当日9時にならない時点でなぜかすでに「竹箒の列」がトレンド入りしているという異常事態。

竹箒の待機列三列並びでこれ。
サクチケだけでこれ。#C100 pic.twitter.com/xZO8tdPRDf

— ユカリノ🍶C100土曜日,東カ37a (@yu_kalino) August 13, 2022

案の定、東ホールに行ってみると、屋外にはそこかしこに列が形成されていて、その間では「3列に並んで！」「走らないで！！！」というコミケスタッフによる怒号が飛び交っています。うん、いつも通りのコミケの光景！

と思いきや、なんか、一際殺気立った長蛇の列が…… 複数のシャッターサークルの行列が縦横無尽に伸びていたのですが、これでもコミケ取材歴8年の筆者にはなんとなくピンと来ました。あ、これが竹箒の列だな、と──。

ただ、列を辿れども辿れども、全然最後尾が見当たりません。最後尾のプラカードどこなん……？ 東4ホールから外に伸びた列は、5・6を突き抜け、なんと東7ホールまで伸びていました。 そして、ようやく見つけた最後尾！ 言うてる間に、どんどんひっきりなしに参加者たちが列を形成していきます。

ちなみに、この時点ではまだサークルチケットでの参加者と、10時半から入場できるアーリーチケットでの参加者しかいません。

なのに、すでに見たことないくらいの列がすごい勢いで形成されていくのです。 そこはさすが古のサークル「竹箒」のスタッフさんたち。見事な手さばきで頒布していき、かなりの勢いで参加者が同人誌を購入して去っていくのですが、それでも消化が追いつかないくらいどんどん列が伸びていきます。 コミケスタッフさんたちも、列の形成と整理、誘導にてんやわんや。

並んでも買えないかも。それぞれ伸びていく列

そしていよいよ11時前には、アーリーチケットではない一般参加者も入場を始めました。

なんかもう、東ホールの屋外を竹箒の列で埋め尽くしそうな勢い……。 その時点で、サークルスタッフさんが「今から並んでも買えない可能性が高いです。ご理解ください」と、新たに列に並ぶ参加者に向かって説明しています。まだ11時にもなってないけど!?

それでも、筆者が眺めていた間、誰一人としてその呼びかけを受けて列に並ぶのを辞める人はいませんでした。

野暮とは思いつつ、新たに並んだ方々に「買えない可能性高いみたいですけど並ぶんですか？」と尋ねると、「そうみたいですね。でも、一応」との返答。

一応、なんだろう？ 「もちろんこれから並んでも同人誌は購入できないかもしれない。それでも、万難を排して開催してくれたコミケ100、出展してくれた竹箒に敬意を評して、我々は並ぶのだ。並ぶ理由が、我々にはあるのだ」とでも言うのだろうか。

もちろんこれはぜんぶ筆者の妄想ですが、きっとこの先、この時ほど含蓄のある「一応」を聞く機会は訪れないだろうと思います。

たとえ同人誌は得られなくても、若いオタクは初めて竹箒に並ぶことで実績を解除することは出来るし、誉れを得ることも出来るんだよ。

— 箕崎准 (@MisakiJun) August 14, 2022

十数年参加しているという歴戦のコミケスタッフさんも「こんなの、見たことない！」と慌てています。

炎天下の中、見たこともない列をさばくために汗水垂らして動き回りながらも、皆さんどこか嬉しそうです。

途中、竹箒を手にしながら列の整理にいそしむスタッフさんの姿も。曰く「スタッフがいちサークルに肩入れすることはありません！ これはたまたま持ってる竹箒です！」と言いつつも、喜んで写真撮影に応じてくれました。