毎年夏と冬に開催され、アニメ、漫画、ゲームなどの同人誌をはじめ、およそ2万サークルが様々なジャンルの作品を展示・頒布する同人誌即売会「コミックマーケット」(通称・コミケ/コミケット)。
2022年末に開催された冬コミ「コミックマーケット101」では、その年の夏コミから来場者数上限を引き上げ。2日間の来場者数は、前回から約1万人増加して合計18万人を記録した。
過去には4日間開催で75万人を動員したコミケは、コロナ禍以降は人数制限など導入。しかしここ2回は、世の中的な感染の状況を踏まえながら徐々に緩和の方向に進んでいる。
2025年に迎える50周年を前に、今のコミケは何を見据えているのか。イベントを運営するコミックマーケット準備会の共同代表・市川孝一さんに話を聞いた。
取材:恩田雄多 文:小林優介
【写真】コミケで人気を集めた「ポケモン」ナンジャモのコスプレ
市川孝一 8月の夏コミから、1日あたりの人数の上限を5000人増やしたので、そのぶん多くの人に来ていただけたという実感はあります。
会場を見渡すと、誰もいないサークルスペースが少なく、サークルさんの欠席率は大幅に下がっている。夏コミと比べて、“参加しよう”という意識へと徐々に変化しているなと思いました。
──2021年12月以来、1年ぶりにサークル参加したという人も、人数の増加を実感していました。加えて、その要因として、チケット価格の値下げを挙げていました。
市川孝一 今回、アーリー入場チケット(5000円)を除き、コスプレ一般入場チケットは3500円から2000円に、午前入場チケットは2000円から1500円に、午後入場チケットは1000円から500円へと変更しました。
コミックマーケット準備会としては、多くの方々が会場に来られることを重視しています。だからこそ、夏コミの結果を踏まえて、イベントを続けられる範囲で切り詰められる部分は切り詰め、値下げに踏み切りました。 ──間口を広げようとする中で、以前はあった“フリー入場”を復活させたい思いも?
市川孝一 そうですね。今回、値下げはしましたが、それでもチケットは最低500円。発券手数料が330円必要なので、実質830円かかってしまいます。
人によっては大きい出費と感じる人もいるでしょうが、金額の問題よりも、ふらっと来てそのまま入れる時間をつくりたいという思いは変わりません。
たとえば現在のチケット制の場合、1日目の様子がメディアで報じられて、「ちょっと行ってみようかな」と思った人が2日目に行こうと思っても、チケットが完売していたら入れない。
我々としても心苦しい部分なので、どこまでチケットの価格を下げられるのか、どうすればフリー入場を導入できるのか、そのバランスや方法を探っています。 ──来場者が増える一方で、印刷会社に話を聞くと、サークルがつくる新刊の数はコロナ禍前と比べるとまだまだという声もありました。準備会として、より新刊が増えるような施策は考えていますか?
市川孝一 コミックマーケットはあくまでも器であり場であると考えています。もちろん、新刊が増えればそれだけ新しい本に巡り合う機会が増える、それ自体は我々としてもありがたいし嬉しい。
でも、準備会として「新刊を出してほしい」と積極的に声を上げるようなやり方はできないと思います。サークルさんが頒布する同人誌が新刊か否かに干渉することもありません。 ──コミケとしては、創作の場であり続けることが重要ということですね。
市川孝一 そもそも「つくってほしい」と言われて簡単につくれるものではないので、まずは過去の本でもいいから参加してみてほしいです。
ただ、参加を通じて何を得るか、新刊を出そうと思えるかといった部分に関して、我々は干渉しません。我々にできることは見守ることだけ。でもだからこそ、創作したものを発表できる場として、コミケットを維持していきたいです。
2022年末に開催された冬コミ「コミックマーケット101」では、その年の夏コミから来場者数上限を引き上げ。2日間の来場者数は、前回から約1万人増加して合計18万人を記録した。
過去には4日間開催で75万人を動員したコミケは、コロナ禍以降は人数制限など導入。しかしここ2回は、世の中的な感染の状況を踏まえながら徐々に緩和の方向に進んでいる。
2025年に迎える50周年を前に、今のコミケは何を見据えているのか。イベントを運営するコミックマーケット準備会の共同代表・市川孝一さんに話を聞いた。
取材:恩田雄多 文:小林優介
【写真】コミケで人気を集めた「ポケモン」ナンジャモのコスプレ
目次
チケット値下げ、“ふらっと来れる”コミケへの思い
──まずは今回の「コミックマーケット101」を振り返ってみて、率直な印象を教えてください(取材は2日目の午後に実施)。市川孝一 8月の夏コミから、1日あたりの人数の上限を5000人増やしたので、そのぶん多くの人に来ていただけたという実感はあります。
会場を見渡すと、誰もいないサークルスペースが少なく、サークルさんの欠席率は大幅に下がっている。夏コミと比べて、“参加しよう”という意識へと徐々に変化しているなと思いました。
──2021年12月以来、1年ぶりにサークル参加したという人も、人数の増加を実感していました。加えて、その要因として、チケット価格の値下げを挙げていました。
市川孝一 今回、アーリー入場チケット(5000円)を除き、コスプレ一般入場チケットは3500円から2000円に、午前入場チケットは2000円から1500円に、午後入場チケットは1000円から500円へと変更しました。
コミックマーケット準備会としては、多くの方々が会場に来られることを重視しています。だからこそ、夏コミの結果を踏まえて、イベントを続けられる範囲で切り詰められる部分は切り詰め、値下げに踏み切りました。 ──間口を広げようとする中で、以前はあった“フリー入場”を復活させたい思いも?
市川孝一 そうですね。今回、値下げはしましたが、それでもチケットは最低500円。発券手数料が330円必要なので、実質830円かかってしまいます。
人によっては大きい出費と感じる人もいるでしょうが、金額の問題よりも、ふらっと来てそのまま入れる時間をつくりたいという思いは変わりません。
たとえば現在のチケット制の場合、1日目の様子がメディアで報じられて、「ちょっと行ってみようかな」と思った人が2日目に行こうと思っても、チケットが完売していたら入れない。
我々としても心苦しい部分なので、どこまでチケットの価格を下げられるのか、どうすればフリー入場を導入できるのか、そのバランスや方法を探っています。 ──来場者が増える一方で、印刷会社に話を聞くと、サークルがつくる新刊の数はコロナ禍前と比べるとまだまだという声もありました。準備会として、より新刊が増えるような施策は考えていますか?
市川孝一 コミックマーケットはあくまでも器であり場であると考えています。もちろん、新刊が増えればそれだけ新しい本に巡り合う機会が増える、それ自体は我々としてもありがたいし嬉しい。
でも、準備会として「新刊を出してほしい」と積極的に声を上げるようなやり方はできないと思います。サークルさんが頒布する同人誌が新刊か否かに干渉することもありません。 ──コミケとしては、創作の場であり続けることが重要ということですね。
市川孝一 そもそも「つくってほしい」と言われて簡単につくれるものではないので、まずは過去の本でもいいから参加してみてほしいです。
ただ、参加を通じて何を得るか、新刊を出そうと思えるかといった部分に関して、我々は干渉しません。我々にできることは見守ることだけ。でもだからこそ、創作したものを発表できる場として、コミケットを維持していきたいです。
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連載
2022年12月30日(金)・31日(土)の2日間にわたって東京ビッグサイトの東・西・南展示棟(サークル・企業ブース)で開催される「コミックマーケット101」(C101)を特集。
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