フジロックは若者文化を諦めたのか 賛否両論のCMから考えるフェスの高齢化

それでも「ロック・フェスは若者文化であってほしい」という切実な願い

そのような背景もある中で、今回のCM映像が物議を醸したのは、それでも「『フジロック』やフェス文化は、ユースカルチャーであってほしい」という、既存ファンの切実な願いの現れなのではないだろうか。

「フジロック」はたしかに高齢化が進んでいるかもしれない。しかし、その実態をそのまま良しとして受け入れてしまった、新規層にアプローチするのを諦めてしまったかのように見えてしまう態度──今回のCM映像は、そのように受け取れられかねない。

リアルなターゲット層を分析し、ストレートにアプローチすることはたしかにマーケティングとして正しい。しかし、本来の音楽は特定の年齢層だけが消費するものではない。新陳代謝のない文化やコミュニティはいずれ先細りしていく。

「フジロック」を愛しているからこそ、「フジロック」の高齢化がさらに進んでしまうのではないかという危惧が、ファンの心を突き動かしたのだ。

祝祭の空間の行方

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