イーロン・マスク、Twitter買収 問われる“言論の自由”とプラットフォーム規制

イーロン・マスク、Twitter買収 問われる“言論の自由”とプラットフォーム規制
イーロン・マスク、Twitter買収 問われる“言論の自由”とプラットフォーム規制

イーロン・マスクさん/Photo by Daniel Oberhaus (2018) on Flicker

実業家のイーロン・マスクさんが、米Twitter社を約440億ドル(日本円でおよそ5兆6000億円)で買収することを発表した。

この買収が完了すると、Twitter社は株式非公開企業となる予定だ。

イーロン・マスク「言論の自由は民主主義に不可欠」

イーロン・マスクさんは、テスラ・モーターズのCEOをつとめ、ロケット・設計・製造などを行うスペースXを設立した、世界最高の起業家とも呼ばれる大富豪だ。

執筆現在、世界の富豪ランキング「Bloomberg Billionaires Index」で、ビル・ゲイツさんやマーク・ザッカーバーグさんらを抑え1位を記録している(外部リンク)。

Twitter社が発表したプレスリリースの中で、イーロン・マスクさんは「言論の自由は民主主義が機能するための基盤であり、Twitterは人類の未来にとって不可欠な事柄が議論されるデジタルな町の広場です」と、SNSプラットフォーム・Twitterの存在価値を評価。

「新機能のアップデート、アルゴリズムのオープンソース化による信頼性の向上、スパムボットの撃退、すべての人間の認証によって、Twitterをこれまで以上に良くしていきたいと考えています」と、今後の方針を述べた。

"Free speech is the bedrock of a functioning democracy, and Twitter is the digital town square where matters vital to the future of humanity are debated," said Mr. Musk. "I also want to make Twitter better than ever by enhancing the product with new features, making the algorithms open source to increase trust, defeating the spam bots, and authenticating all humans. Twitter has tremendous potential – I look forward to working with the company and the community of users to unlock it." Elon Musk to Acquire Twitter

議論が続くプラットフォームによる「言論統制」の是非

インターネット・SNSの普及により、誰もが発信者となれる現代。言論の自由とプラットフォームによる統制に関する論争はますます激しくなっている。

特定の個人や団体に対し、人種・宗教・民族などを理由に差別的な意図をもって貶めるヘイトスピーチや、偽情報・誤情報といったフェイクニュースが問題視されていることを背景に、プラットフォームによる規制の動きが強まっている。

元アメリカ大統領のドナルド・トランプさんのTwitter・Facebookアカウント凍結や、YouTubeにおけるワクチンのデマ情報の削除などが代表的な事例だ。

ヘイトスピーチやフェイクニュースの対策として一定の評価を得ている一方、各プラットフォームやそれらと癒着した個人・団体による、恣意的な検閲に繋がるのではないか、という声も上がっている。

イーロン・マスクさんも、ドナルド・トランプさんがアカウントBANを受けた際、「西海岸のハイテクが言論の自由の事実上の支配者になると、多くの人が超不満に思うだろう」と批判していた。

あらゆる情報は疑わなければならない

メディアはメッセージである」とはメディア研究で知られるマーシャル・マクルーハンの言葉であるが、人間によって運営されるものである以上、プラットフォームもまた思想性・社会性・政治性をある程度帯びることは避けられない。

あらゆる情報は疑わなければならない──「言論の自由絶対主義者」を自称するイーロン・マスクさんであるが、今後のTwitter社の動向も引き続き注視していかねばならないだろう。

イーロン・マスクさんは、「私にとって最悪な批評家もTwitterに残ってほしい。それが言論の自由というものだからだ」とツイートしている。

超情報社会を生きる

この記事どう思う?

この記事どう思う?

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。