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連載 | #8 アニメーションズ・ブリッジ

『SPY×FAMILY』はここを見ろ! 俊英アニメーターによる偽装家族の描き方

『SPY×FAMILY』はここを見ろ! 俊英アニメーターによる偽装家族の描き方

TVアニメ『SPY×FAMILY』キービジュアル

4月クールのアニメシリーズが続々と放送・配信をスタートする。今期も目を見張るのは、「オリジナル作品の多さ」と「個性豊かなスタッフによる人気原作もの」のラインナップだ。

前者で言えば、昨今の競馬ブームも後押しする騎手を目指す少年少女の姿を描いた『群青のファンファーレ』や、歌の力で人々を癒す少女たちの物語『ヒーラー・ガール』などがある。フィギュアやアニメで話題を集めた作品が世界観を新たにした『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』もこの一種としてよいだろう。

後者では『週刊少年マガジン』連載の人気ラブコメ『カッコウの許嫁』やJリーグユース選手のサッカーに掛ける青春を描いた『アオアシ』などが放送開始。続編ものなら『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』や『まちカドまぞく 2丁目』などもオンエアされる。

そんな中、今回取り上げたいのは、後者──原作ものアニメの注目作『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』だ。大ヒット漫画を原作として、実力あるスタッフとスタジオが制作する、文字通りオープニングからエンディングまで期待せざるを得ない作品だ。

文:太田祥暉(TARKUS) 編集:恩田雄多

目次

シリアスで緊迫する展開が持ち味の作家・遠藤達哉

『SPY×FAMILY』の舞台は、隣り合う国の間に仮初の平和が続く世界。主人公の黄昏は、偽装家族をつくり、政治家の息子が通う名門校に養子を入学させよというミッションを課される。

精神科医ロイド・フォージャー(CV:江口拓也)を名乗った彼は、孤児院で出会った少女・アーニャ(CV:種﨑敦美)の賢さを知って養子にしようとする。しかしその賢さは全くのブラフ。彼女が聡いのは、すべて心を読んで答えを口にしていた──エスパーだった──からだ。

続いて「妻役」を探して出会ったのが婚期の遅れを揶揄されていた殺し屋のヨル・ブライヤ(CV:早見沙織)。かくして、3人は素性を隠しつつ、家族として生活することが決まった。

というはしがきから始まる本作は、遠藤達哉が「少年ジャンプ+」で連載しているコメディ作品。イントロダクションからどれだけシリアスな物語が始まるのかと予想された方もいるかもしれないが、基本的にはスパイ・エスパー・殺し屋という素性を互いに隠しながら、本業に勤しむキャラクターの動きを楽しむのが見どころとなる。

もちろん本業が描かれるということは、シリアスな場面も満載。そのギャップがキャラクターたちの魅力にほかならない。 もともと遠藤は『TISTA』や『月華美刃』という作品を『ジャンプスクエア』で連載しており、どちらかと言えばシリアスなストーリーと緊迫する場面展開が彼の作家性という印象だった。

特に『TISTA』では殺し屋でありながらそれを隠している少女と、その素性を知ってしまった少年の想いが交錯していく様が描かれる。そのストーリー構成には息つく暇もなく、正直なところ胸焼けしてしまうような面もあった。

そんな遠藤が羽ばたいたのが『SPY×FAMILY』である。デビュー作『TISTA』からのタッグである編集者・林士平と練りに練られた結果、遠藤の持ち味であるシリアスさはそのままに、緩急としてコメディ要素を投入。本作の連載が開始されるや否や、「ジャンプ+」における閲覧数やコメント数、コミックスの発行部数の最高記録を次々と更新した。

監督はベテラン古橋一浩、総作監に嶋田和晃

TVアニメ『SPY×FAMILY』第2弾PV
そんな『SPY×FAMILY』が待望のアニメ化! というだけでも楽しみなのだが、そこに拍車をかけたのがスタッフ陣である。

監督は『機動戦士ガンダムUC』で知られる古橋一浩。ジャンプ作品としては『るろうに剣心 明治剣客浪漫譚』『HUNTER×HUNTER』(日本アニメーション版)に続く3作目となる。丁寧な演出で知られ、緩急のつけ方が重要となる本作ではこれほどないベテランの参加だろう。

作品の顔を決定づけるキャラクターデザイン・総作画監督は嶋田和晃が担当する。アニメファンとして嶋田の名前を認識したのは『ヤマノススメ セカンドシーズン』第4話だった。
Eve「約束」MV
丁寧でありながらダイナミックなその動きには、もっと見ていたいと感じさせる外連味がある。近年ではジャンプ原作『約束のネバーランド』に加え、Eveの「約束」やYOASOBIの「三原色」といったMVでも活躍しているが、今回はどのような画を魅せてくれるのだろうか。

また、嶋田のほかに総作画監督として『進撃の巨人』『PSYCHO-PASS サイコパス』の浅野恭司も参加している。

WITとCloverWorks、ヒゲダンと星野源のタッグ

TVアニメ『SPY×FAMILY』本予告
そしてアニメーション制作はWIT STUDIOCloverWorksという二大スタジオがタッグを組む。WITは『進撃の巨人』や『甲鉄城のカバネリ』といったダイナミックなアクションで知られているが、『鬼灯の冷徹』や『ローリング☆ガールズ』といったコメディ作品でも定評のある実力派だ。

CloverWorksはA-1 Pictures高円寺スタジオが2018年に改称したスタジオで、今年で4年目の新鋭。とはいえ、1~3月に放送された『その着せ替え人形は恋をする』と『明日ちゃんのセーラー服』でのハイクオリティな画には圧倒された視聴者も多いだろう。このスタジオがタッグを組むとなれば、期待も高まるというものだ。
星野源「喜劇」(TV-SPOT/アニメ「SPY×FAMILY」Ver.)
そしてこの座組を後押しするのが強力な主題歌だ。オープニングを担当するのは、ここ数年のJ-POPシーンでは彼らの名前抜きに語れないほどの存在となったOfficial髭男dism。エンディング主題歌は意外にもこれがTVアニメへの初タイアップとなる星野源が起用された。

この主題歌を彩るオープニングとエンディングのアニメーションにも期待したい。TVアニメ『SPY×FAMILY』は4月9日(土)23時から、テレビ東京ほかで放送スタート。

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アニメーションズ・ブリッジ

毎クールごとに膨大な量が放送されるアニメ。漫画やライトノベルを原作としたもの、もしくは原作なしのオリジナルと、そこには新たな作品・表現との出会いが待っている。 連載「アニメーションズ・ブリッジ」では、数々の作品の中から、アニメライター兼ライトノベルライターである筆者が、アニメ・ラノベ etc.を橋渡しする作品をピックアップ。 「このアニメが好きならこの原作も」、そして「こんな面白い新作もある」と、1つの作品をきっかけにまだ見ぬ名作への架け橋をつくり出していく。

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