キミノベル楽曲にみるカンザキイオリの別の表情
筆者が「それを世界と言うんだね」を聴いてまず驚いたのは、これまでネガティブなテーマやムードに包まれていたカンザキイオリさんの楽曲が、一転して明るく、ポジティブなメッセージを表現し伝えていたことにある。2021年12月、『第72回NHK紅白歌合戦』に歌い手/アーティスト・まふまふさんが初出場。その歌唱曲として代表曲「命に嫌われている。」が発表され、大きく注目を集めることになったカンザキイオリさん。
その初期の作風といえば、自棄になって荒んだ心模様そのもの。生と死と孤独感に苛まれて口にする希死念慮や脅迫観念を、ギターをグシャグシャと搔き鳴らした音楽へと昇華していた。刺々しく毒々しい言語表現は、閉塞感を抱えるリスナーの心を震わせた。
一方、そういった個人の心境を打ち明けるような自白的な口調ではなく、物語やストーリーを語るようにして、その心の手触りや機微を言葉...
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