TikTok上で起きた“陽キャ”とボカロ曲の接続
──ここ1~2年ほど、TikTokが起爆剤になって知名度が一気に上がる人も増えてきています。お二人もその存在感や、「来てるな」という雰囲気を感じますか?Sou 感じますね。ただTikTokがきっかけで流行っているのか、世の中に通用するものがTikTokでも流行ってるのか、どっちなのかはわからないですけど。
Chinozo 流行りをつくるのって若い世代じゃないですか。その若い世代にとって、TikTokがめっちゃ見やすいんですよね。僕もTikTokよく見るんですけど、“しゅっしゅっしゅっ”て軽く動かせるから。投稿も気軽にできるし。
Sou 僕も暇なときめっちゃ見てます。しゅっしゅっしゅって。視聴も投稿もフットワーク軽くできますよね。
Chinozo そうそうそう。それで流行が波及していくっていうのが、今の時代の若い人たちに合ってるんでしょうね。
このあいだ、「原宿のJK『グッバイ宣言』踊れない子0人説」っていう動画を見たんですよ。そしたら、みんな踊れるんですよ! 以前ならボカロ曲を聴かなそうな人も含めて、一般にも広がっているっていうのがびっくりでありがたくて。
Chinozo 当初は「TikTokから来た勢(ぜい)うぜぇ……」みたいな意見もありましたね(笑)。
Sou あと逆に、「この曲TikTokで使われたらやだな」とか。でもそれって昔からよく言われる「有名になっていったら嫌だな」の気持ちに通ずる気がします。
僕がまだTwitterフォロワー1000人ぐらいだったとき、有名な曲を歌った動画がちょっと跳ねて、そのときもそういう声がやっぱりありましたし。あのときの「有名にならないでほしい」っていう反応の、現代バージョンなのかなって。
──「グッバイ宣言」はまさにそうでしたが、TikTok発の曲がサブスクで聞かれてチャート入りという、CDを介さない流れは、ヒットの形として主流になっていくと思いますか?
Sou 個人的には、もうなってるのかなって思います。少なくとも僕はCDを出すときも、売上枚数はあんまり見てなかったですし。今はたぶんサブスクの再生数とか、Spotifyのグローバルトップとか国内バイラルチャートとか、それらが人気の指標になってると思います。
一方で、CDが持つコレクションとしての価値の高さは健在だと思うので、完全にサブスクだけにはならないでしょうけど。
Chinozo 電子書籍もありますし、音楽に限らず、物理的に形で残すという価値観は変わりつつありますもんね。 ──ボカロや歌ってみたのように、制作から発表までをオンライン上で完結する文化は、サブスクとの相性も良さそうですね。
Sou めちゃくちゃ良いと思います。
Chinozo 実際ボカロも含めて、サブスクで聴けない音楽も少なくなってますよね。……あ、今TikTok見てたんですけど、Souさんの「グッバイ宣言」めっちゃ伸びてますやん。
Sou そうですね。あの……なんかすいません(笑)。
Chinozo いやいやいや! むしろ嬉しいですよ!
歌い手が注目すれば、ボカコレはもっと盛り上がる
──そういったボカロや歌ってみたの文化を内包するボカコレ。ちなみにお二人は前回「ボカコレ2020冬」はどのような形で参加されたのでしょうか?Chinozo 僕は「グッバイ宣言」のStemデータ(楽曲データをトラック別にまとめたもの)を公開しつつ、一度、生放送に出演させていただきました。
Sou 僕はプレイリストで参加しつつ、ランキングを結構見てました。自分が推してるボカロPさんがどんどん上位に上がっていってワクワクしました。
Chinozo 本当に大激闘でしたもん。ただ、歌ってみた動画はあまり投稿されてなかったような気がして。
Sou やっぱり1回目なのもあって様子見という人もいたと思うんですよ。タイトルも「ボカコレ」だし、歌ってみたはどこまで関係あるのかなって、ちょっとわかりづらかったのかもしれません。
たとえば、今回もStemデータを配布していると思うんですけど、その曲限定で歌ってみた動画を募集するとか。
Chinozo 面白そう! それなら歌ってみたへの注目度ももっと上がりそうですね。
──Souさんの知り合いの歌い手さんなどの間でボカコレが話題になることはありますか?
Sou たぶんまだ浸透しきってないと思います。
Chinozo 今回の僕とSouさんとの対談を通じて、もっと歌い手の人たちもボカコレを見てくれたらいいですね。
Sou いろいろなシーンを巻き込みつつ、ボカコレも企画としてもっと大きくなっていけるといいかなって思います。
──次回は4月24・25日に開催されます。お二人がボカコレに期待していることはありますか?
Chinozo 米津玄師さんが参加してくださったらなって。
Sou 急にふざけるじゃん(笑)。
Chinozo 違うって! そういうサプライズがあると楽しいだろうなって(笑)。
Sou 僕はやっぱり、歌ってみたがもっと盛り上がったらいいなと思います。イベント名も「ボカコレ」なので、歌ってみたはあんまり関係ないように見えるかもしれないけど、ボカロの歴史とともに歩んできた文化ですから。
※編注:ボカコレには全体ランキングに加えて、REMIX、ルーキー(デビュー2年以内)、踊ってみた、歌ってみた、演奏してみた、MMD・3DCGのランキングがある。
Chinozo 歌ってみたが盛り上がったら、きっとボカコレ全体ももっと盛り上がりますよね。ボカロPと歌い手さんとのコラボランキングとかがあったら、面白いかもしれない。
Sou いいですね。タッグを組んで挑戦するみたいな?
Chinozo そうそう!
ドワンゴ担当者 いいですね! さっそく企画チームに共有させていただきます。Stemデータ限定の募集も含めて。
Chinozo・Sou マジで!?!??
──ちなみに、もし今Chinozoさんがルーキーランキングに参加するとしたら、どういう曲を書きますか?
Chinozo 頑張ってめちゃくちゃ上位を狙いにいくとは思います。ルーキーランキングは、目立ったらチャンスなので。僕の感じるトレンド要素を詰め込みまくって、ガチガチに固めたやつでいく(笑)。
Sou わかりやす過ぎるでしょ(笑)。でもわかります。ルーキーは特にそうですけど、みなさん持てる限りの力で曲をつくってくると思うので、歌い手の人たちにももっとボカコレを見てほしいですね。僕もボカコレで見つけた曲を、歌ったりもしましたし。
曲を探すのがあんまり得意じゃない歌い手の人は、ボカコレをチェックすれば良い曲見つけやすいと思います。そこから「今こういうボカロ曲もあるんだ」と、新しい道を開いてほしいですね。ちなみに僕も、ボカコレ期間中に1曲、とある作品を出します……!
「The VOCALOID Collection -2021 Spring-」をチェックする 【ボカロP提供】REMIX用Stemデータをチェックするちいたなさん(@dokotana)の楽曲
— Sou (@Nico_nico_Sou) April 22, 2021
「ヤブレカブレ」の歌唱を担当させて頂きました。
4/24 0時にニコニコにボカロ版と同時先行公開です。YouTubeはその日の20時にプレミア公開します。
よろしくお願いします…!!#ボカコレ#ボカコレ2021春 pic.twitter.com/fupv453weJ
「ボカコレ」ならでは! 1日限りのライブも
ボカコレライブのチケットを購入するThe VOCALOID Collection LIVE
有名ボカロPやボカロ楽曲ゆかりのアーティスト/クリエイターがジャンルの垣根を越えて大集結し、無限に広がりつながっていく「ボカロ文化」を体現するスペシャルライブ。
開催:2021年4月25日(日)
時間:開場 14:00、開演 15:00 終演 19:00 予定
会場:幕張メッセ ホール4(千葉市美浜区中瀬2-1)
出演者(50音順):愛川こずえ、足太ぺんた、アナタシア、Ayasa、+α/あるふぁきゅん。、いりぽん先生、WOOMA、仮面ライアー217、ATY、菊池亮太(アノアタリ)、Capital Rhythm、kz(livetune)、小林幸子、SHARE LOCK HOMES、しらスタ(通称おしら)、SHiN、粗品(バーチャル出演)、八王子P、ピノキオピー、みきとP@アコースティック feat.ねんね、ヤスタツ、大和、りりり、わかざえもん ほか
ボカロ文化を考える関連インタビュー
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