「ボカロは“陽キャ”と接続した」Sou×Chinozo対談 歌い手とボカロPが語る新時代

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「ボカコレ2021春」歌い手・Sou×ボカロP・Chinozo対談

POPなポイントを3行で

  • ニコ動のボカロの祭典「ボカコレ」2度目の開催
  • 歌い手・SouとボカロP・Chinozoが初対談
  • 2人の出会いやボカロPと歌い手の関係性まで
社会人世代のボカロファンには少し意外な事態かもしれないが、今ユース世代を中心に、ボカロとそれ以外の音楽の融和が加速している。TikTokを開けば、ボカロ曲が他ジャンルの曲と同じように動画に使用され、楽しまれているのだ。

今回、4月24日(土)・25日(日)にドワンゴが開催する「The VOCALOID Collection 2021 Spring」(通称・ボカコレ2021春)を記念して、そんなZ世代から、今特に注目を集めている歌い手・Sou(そう)さんと、ボカロP・Chinozo(ちのぞー)さんの初対談が実現した。

Souさん:10代半ばから歌い手として活躍。YouTubeチャンネル登録者は124万人、Twitterフォロワー数は54万人。2020年配信シングル「ミスターフィクサー」は海外の音楽チャートでも首位を獲得した。今もっとも注目されるボーカリストの1人。

Chinozoさん:2018年に投稿をスタートした注目のボカロP。2020年4月に投稿した「グッバイ宣言」がTikTokを中心に大ヒットを記録。動画自体もニコニコ動画・YouTube合計でおよそ3500万回再生と、現在進行形でその反響は広がっている。

10代半ばから歌い手としてシーンを席巻する一方、人気曲からニッチな曲まで、とにかくボカロ曲に対する造詣が深いSouさん。そして2020年発表の「グッバイ宣言」がTikTokを起点に大ヒットし、一気に人気ボカロPへ登りつめたChinozoさん。
なおSouさんはChinozoさんがつくった楽曲をカバーしており、特に「グッバイ宣言」の歌ってみた動画は200万回再生を突破している。

ボカロ・歌ってみた界隈のファン、あるいは2人のファンにとって、こんなに旬でスペシャルな対談もなかなかないはず。せっかくの機会なので、2人の出会いから、ボカロPと歌い手の関係性、ニコニコ動画への要望、TikTok発のヒットの分析など、様々な話題を語ってもらった。

取材・文:ヒガキユウカ 編集:恩田雄多

目次

互いを認識したのは「チューリングラブ」と「アリサマ」

──Twitterでもときどきリプライを送り合っているお二人ですが、まずはその接点から教えてください。 

Chinozo 2020年に「シェーマ」をカバーしてもらってからですよね。
シェーマ / Chinozo(Cover) ver.Sou
Sou そうですね。最近は一緒にApex(『Apex Legends』)で遊ぶこともあります。

──2人でApexしてるときは、どんな会話をされるんですか?

Chinozo え、いや……「スキャンして」とか(笑)。

Sou ゲームするときはゲームの話ですよね(笑)。

Chinozo そう! たぶん、Souさんと音楽の話したことないんですよ。

Sou そうですね。ニコニコ動画やボカロをテーマに話すのは初めてですね。楽しみです。

──もともとお互いを認識したのは、どのぐらいのタイミングでしたか?

Chinozo 僕、Souさんのことはずっと知ってましたよ。“歌ってみたのめちゃめちゃすごい人”みたいなイメージで。ちゃんと認識したのは「チューリングラブ」でした。
Sou 僕がChinozoさんを知ったきっかけは「アリサマ」だったんですよね。

その前から「グッバイ宣言」がニコニコのランキングに入ってるのは見かけてたんですけど、「アリサマ」のサムネが自分的に刺さって。
Chinozo Souさんは、ボカロの隅から隅まで聴いている印象があったんです。Souさんのプレイリスト(外部リンク)を見ると、いやぁもう、「ここまで聴いてるのか!」って感じで。その中で歌う楽曲のチョイスにもちゃんと自分の芯があって、良いなって思ってました。

Sou 僕も昔は有名曲ばかり歌ってたんですけど、やっぱりみんなが歌ってるから埋もれちゃうんですよね。ランキング上位の人たちばかり聴かれていたので、まだあんまり歌われていない良い曲を発掘して、歌ってみようかなって思ったんです。もちろんボカロ自体も好きなので、有名な曲もたくさん聴いてますけど。

Chinozo すごくバランス良く投稿されていますよね。あんまり注目されていない曲も歌いつつ、たとえば「グッバイ宣言」が伸びてきたら、それも伸びてるタイミングで抑えつつ。
グッバイ宣言 / Chinozo(Cover)ver.Sou
──Souさんの「シェーマ」の歌ってみたを聴いたとき、Chinozoさんの印象はいかがでしたか?

Chinozo まずは驚きましたね。僕はそんなに知名度があるボカロPじゃないので、Souさんの歌ってみたが出た瞬間、「ふえぇっ!!?」ってなりました。

でも聴いてみたら、僕のシェーマ像にめちゃめちゃ合致してたんですよ。これは「シェーマ」に限らず「グッバイ宣言」もそうだったんですけど、そこからまた一層、Souさんが好きになりましたね。

Sou よかったぁ~(笑)。嬉しいですね、作曲者にそんなふうに言ってもらえると。

「グッバイ宣言」のヒットを紐解く

──ボカロ曲をたくさん聴かれているSouさんから見て、Chinozoさんの作品にはどんな魅力がありますか? Sou 今っぽいというか、新世代感はすごくありますね。これはもちろん良い意味なんですけど、ボカロ感が強すぎないんですよ。アルセチカさんのイラストも、可愛さと、オシャレさと、カッコよさが同居していて。動画全体で見たときに、すごくバランスが良いなと思っていました。

Chinozo ボカロ感が強すぎないっていうのは確かにあるかも。僕はそこまでボカロをがっつり聴いてきた人間ではなくて、どちらかというとバンド音楽に影響されてきたから。

──「グッバイ宣言」の流行を、Chinozoさんがご自身で認識したのはいつごろなんでしょうか?

Chinozo 「流行ってる」という実感は全然なかったんですよ。でも数字が伸びたり、「テレビで流しても良いですか」ってメールをいただいたり、あとは有名な方々がカバーしてくれたりするようになって、だんだん「あれ……?」と思うようになって。正直今でも、たぶん世間が思ってるほど、僕自身はヒットした実感がないんです。

Sou そうなんだ。

Chinozo 「TikTokでJKたちが踊ってる」って聞いたときは衝撃でしたけどね!

Sou わかりやすい(笑)。

──先ほどSouさんもおっしゃってましたが、アルセチカさんのイラストも人気の理由の1つですよね。動画づくりはどのように進めているんですか? Chinozo アルセチカさんとは「グッバイ宣言」、あと「シェーマ」以降の作品でご一緒させていただいています。まず曲のデモを渡して描いていただくんですけど、ビジュアルについては僕が主観であれこれ指定するんじゃなくて、もうアルセチカさんにお任せですね。

人が曲を聴いて感じるものって、つくった僕が感じているものとはたぶん違うじゃないですか。アルセチカさんが聴いて感じるものが、きっと視聴者の感覚に近いはずなので。

──つい真似したくなる決めポーズのようなイラストのスタイルは、どのようにして生まれたんでしょうか?
Chinozo ポーズは2人で話し合いながら、一緒に考えてます。ちょっと恥ずかしいんですけど、「グッバイ宣言」が伸びたときに「イラストのポーズが特徴的」と言われたので、それ以降もアルセチカさんとやるときは決めポーズのイラストにしていて(笑)。本当に短絡的なんですけど。

Sou いやいや、大事ですよ!

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