エレクトロニ子のスマホ感覚ビートメイク
──Cエレ子さんはローランドSP-404SXをずっと使っていますが、この機材にこだわっている理由ってなんですか?エレクトロニ子 わたしPエレ子が一番最初に手に入れた機材だからですね。最初にYouTubeで公開したタイミングがたまたまSP-404の10周年だったのもあり、この機材の良さを再確認したタイミングだったという理由もあります。
──簡単に、どういうことができる機材か教えていただけますか?
エレクトロニ子 サンプラーと呼ばれるもので、昨今のLo-fi Hip Hopブームによってまた注目を集めている往年の名機です。ライブパフォーマンスの他、これだけでトラックを組むこともできます。サンプリングした素材をエフェクトで加工して、404ならではの音づくりができます。
私はハードをいじるのが好きなので、そうやってつくったループ、キック、ハイハットなどをパッドに配置して、リアルタイムで叩きながら録音しています。
──ひょっとしてパソコンがいらないんですか?
エレクトロニ子 これだけでつくる曲もありますね。Cエレ子はPCに向かって本腰入れてつくっているときもあれば、スマホでマンガを読むみたいな感覚でベッドに寝転がってビートメイクしていることもあって、気分によって機材を使い分けていますね。
──ちなみにPエレ子さんが作曲で使っている機材はありますか?
エレクトロニ子 PCでつくる際のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)は「Ableton Live」というソフトウェアでつくっています。PCでつくった際も、最終的に出来上がったMIXを一回SP-404SXに通して「汚す」作業をすることもあります。
これはLo-fi Hip Hopの定番で、ちょっとノイズがはいったりすることで独特な温かみが出るんですよ。
──音のこだわりで言えば、Twitterで連載されていた0章にあった、Cエレ子さんの「トラックの上に自分だけが知っている秘密を隠している」という一文が気になっていました。これはなんですか?
エレクトロニ子 それはわたしPエレ子が、音を1からつくるのが好きということですね。包丁の「トンッ」という音を、汚したりキーを下げたりしてキックを作る。まさか誰もこれがニンジンを切っている音だとは思わないだろう。自前のノイズはフライパンでお肉を炒めている音だ。なんだかトラックの中に自分だけが知っている秘密を隠しているみたいでワクワクする。
— エレクトロニ子👾毎日23時 新曲配信 (@eleco_beat) November 29, 2020
たとえばコインを上から落とすと回転しながら止まるじゃないですか。その時の音を逆再生すると面白い音が生まれたりする。それをトラックに組み込んだら、コインの音だとばれなかったり。
そういう自分だけが知っている元ネタを組み込むのはわたしの見えないこだわりで、Cエレ子としての生活音としてアップしている曲にも隠しています。
VTuberファン向けに変わっていったキャラクターデザイン
──Cエレ子さんはデザインがキャッチーですよね。ジャパニーズアニメーションぽさもありつつ、ポップカルチャー寄りでもあり。エレクトロニ子 一番最初のデザインがこれなんですよ。 ──今と頭身が全く違って、コロッとしていますね。
エレクトロニ子 最初はマスコット感が強く出るようにつくりました。正直想定していなかったんですが、やっていくうちにVTuber好きのクリエイターが興味を持ってくださったので、デザインのバランスを修正しながら今のスタイルになりました。
エレクトロニ子 それまでは音楽を流すだけの、人格を出さない謎の存在だったのですが、Cエレ子がツイートをしはじめたことで、彼女に感情移入してくれる人が増えています。
先日Cエレ子と彼女の友人がネット上で喧嘩をしたんです。すると読者からCエレ子を擁護する声や「自分の音楽つくってね」という応援の声をいただけました。
自分が音楽をやる意味を知りたいからエレクトロニ子をやっている
──「Cエレ子」さんがフィクションのキャラクターになることと、今アップされている音楽とはどのように関連してくるのでしょうか?エレクトロニ子 最近Cエレ子のTwitterで、彼女の過去の物語を小説にして配信しました。これは「Cエレ子は日々の出来事を、音楽で日記にしている」というところからはじまっています。
一年前の曲「VHS」ですとか、「COOKIE CRUMBLES」とか自体が、彼女の思い出の中から出てきているんです。楽曲は章ごとの挿絵のようなものですね。
エレクトロニ子 完結した0章ではCエレ子が友人からアドバイスをもらって、Twitter/YouTubeに曲を発表しだすところまでを書きました。Twitterではその友人・奏音リカが、アカウントを持ってリアルタイムで活動しています。奏音リカはプログラミングが得意な女の子です。【RE:CORD】
— エレクトロニ子👾毎日23時 新曲配信 (@eleco_beat) December 5, 2020
もう二度と眠ることができない気分になった私は、自分がすーっと眠りに落ちるのをイメージしながら、曲をひとつ作った。自分のための子守唄として、それに「Night Beat」というタイトルを付けた。
楽曲を書き出している間、私は家の中をふらふらと当て所なく歩き回る。 https://t.co/2CflNDeQR4
──2人のやり取りを見ていると、自己表現とは何か? という青春を感じる展開ですね。昔はいろいろあったけど、今、こうして一緒に活動できて嬉しいよ。 https://t.co/lnWkrdDGCF
— 奏音リカ (@rikarika4u) December 6, 2020
エレクトロニ子 この記事が出る頃には、第2章も始まって、2人に大きな困難が降り掛かっている頃だと思います。
これから様々な事実が明かされていきます。一つだけネタバレさせちゃうとリカはいなくなります。
──えっ、ネタバレしても大丈夫ですか? 今までの流れ、癒やし系じゃなかったですか……?
エレクトロニ子 リカは重要な存在ですが、Cエレ子が自分と向き合うためのあくまで一要素です。そこから、さらに大きな展開へ繋がっていきます。
ちなみに、リカは存在が消えてしまうため、実際に動かしているアカウントも消えてしまいます。
──もったいない! なぜなんですか?
エレクトロニ子 リカが消えることに意味があるんです。リカが消えても音楽を続けていくことでCエレ子とわたし(Pエレ子)が音楽をやっている意味が、物語を通して浮き彫りになってくると思ったんです。
リアルな自分そのままではできない体験も、キャラクターに投影して動かすことで可能になるんですよ。特殊な状況をつくって自分を投影していく。
その時に自分がどう思うのかを知るための装置として、Cエレ子をキャラクターに変えて、音楽と物語をつくっているんです。
──音楽と物語を続けていく上で、Pエレ子さんとしての目標はありますか?
エレクトロニ子 プロデューサーとして音楽をつくり続けるために、まずはもっとたくさんの人に聴いていただいて有名にならないといけないと思っています。
短期目標はフォロワー1万人かな? いずれはリアルイベントで「エレクトロニ子ナイト」みたいなものも企画していきたいと考えています!
── 一ファンとしてリアルイベント楽しみにしていますね。
エレクトロニ子 年末にかけて、エレクトロニ子の物語はさらに大きく展開していきます。
そこでエレクトロニ子は様々な壁にぶつかっていくと思いますので、ぜひ、みなさんから、エレクトロニ子にお力をお貸しいただければ幸いです。
正直、私も進めながらつくっているところもあるので、ちゃんと着地できるか不安なところがありますが、私はエレクトロニ子の物語を通して、みなさんと一緒に私自身の物語の答えも探していきたいと考えています。
皆様も一緒にこの物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。
エレクトロニ子👾毎日23時 新曲配信さん(@eleco_beat) / Twitter エレクトロニ子【毎晩23時新曲】 - YouTube
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:4215)
可愛い!