インターネットのそこかしこに在るキャラクターイラストがいつから、どのようにして日常に溶け込んだのか。インターネットとイラストの切っても切れない関係について、両方の歩みを長年見つめてきた虎硬さんが迫る。
内容を少しだけ見てみる
『ネット絵学』の著者・虎硬
虎硬さんは1986年生まれのイラストレーター/デザイナー。企業に勤務するかたわら、これまでにバンド「神様、僕は気づいてしまった」の1st Mini Albumのメインビジュアルやアニメイトのロゴデザインなどを手がけてきた。
近年は雑誌やブログなどでイラストに関するコラムなども執筆しているが、これまで、自主出版で『ネット絵学』『ネット絵学2018』を刊行していることでも知られている。 クリエイターへのインタビューとコラムで構成された『ネット絵学』と、そこにソーシャルゲーム市場、中国のクリエイター、バーチャルYouTuber(VTuber)など昨今の話題に切り込んだ考察を加えた『ネット絵学2018』の両書は、イラストレーターの現在やその歩みを知ることのできる、著者がイラストレーターならではの良書だ。 ちなみにAmazonでは価格が高騰している『ネット絵学2018』も、PDF版であればお手頃な価格で購入することができる(外部リンク)。
10本のインタビューから知る多様な視点
時代が平成から令和へと移り変わる約30年のなかで、インターネットの世界はアナログからデジタル、個人サイトからSNSへの移行が起きた。【お知らせ】イラストとネットの歴史について本を書きました。今月よりBNN新社からリリース!時代を作ってきたクリエイターや企業にも取材。300ページの大作です。1年以上かかりましたが、イラストファンは確実に楽しめる内容になっております。Amazonで予約受付中、是非!→ https://t.co/QZmFNXarao pic.twitter.com/S7dAaNDeQY
— ネット絵学@単行本でるよ (@netegaku) October 6, 2019
そんな環境下でイラストはどのように変化し、そしてイラストを利用したビジネスはどのような発展を遂げたのか。
この点について本書は、pixivなど企業側と米山舞さんや寺田てらさんをはじめとした描き手側、その両者へのインタビューを計10本掲載し、現場の声を多角的に伝えようと試みている。 本書で触れられているのはWindows 95、FLASH、mixiといった懐かしいワードから、pixiv、初音ミク、FGOなどここ数年で市民権を得たものまで幅広い。
平成から今に至るまでのインターネットとイラストの関係の変遷を網羅した本書は、過去だけでなく未来の展望を知る上でもきっと役に立つだろう。
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時代の移り変わり
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書籍情報
ネット絵史 インターネットはイラストの何を変えた?
- 著者
- 虎硬
- 定価
- 本体2,200円+税
- 仕様
- A5判/296ページ
- ISBN
- 978-4-8025-1128-5
- 発売日
- 2019年10月23日
- デザイン
- 杉山峻輔
【目次】
・はじめに
・第0章イラスト大国日本
絵でお金を稼げる時代|国内のコンテンツ市場は12兆円/分断から補完へ/アイドル化するクリエイター/「女の子」イラスト
【第1章】個人サイトと掲示板
1990年代|時代は平成へ/パソコン通信時代の絵描きたち/同人バブル/Windows 95/2000年代前半|Yahoo!BBとADSL/個人サイトの時代がやってきた!/そして、絵描きとなる/Yahoo!カテゴリとリンク型交流/イラストリンクサイトの誕生/CG巡回サイト/はてなアンテナとRSSリーダー/お絵かき掲示板の登場/リアリティの追求/お絵描きチャット/個人サイト時代のカリスマクリエイター/ストリートとしてのBBS/独自ルールと毒吐きネットマナー/チャットとインスタントメッセンジャー/2ちゃんねるとイラスト/FLASH黄金期/ビジネス度外視の「無償提供」は文化を残したのか/すべてのクリエイティブが評価された
・漫画「中年男子の日常1」牛帝
・インタビュー: redjuice
・インタビュー: refeia
・インタビュー:川洋
【第2章】SNS時代の到来
2000年代後半|ポータルサイトのジレンマ/ブログ全盛期/mixiの登場/pixivの時代へ/ランキングから生まれたヒエラルキー/ニコニコ動画の道行き/ネット配信の幕開け/イラストと音楽をつないだ初音ミク/東方Project/描いてみた動画/インターネット光回線/イラスト同人文化の勃興/pixivファンタジア/イラスト系雑誌・ムックの流行/Web漫画|付録:ツール進化の歴史
・漫画「中年男子の日常2」牛帝
・インタビュー: BUNBUN
・インタビュー:米山舞
・インタビュー:寺田てら
・漫画「バズれ! SNSイラスト部1」へんりいだ
【第3章】イラストバブルとグローバル化
ソーシャルゲームの誕生|ポータルサイトのジレンマ/iPhoneとアプリ長者/2010年代前半|国産ゲームとガチャ/デレマスと美少女ゲーム/イラストの需要爆発/技法の最適化と体制の変化/東日本大震災とSNS/カオス*ラウンジ騒動/Tumblrはポスト個人サイトとなったが……/初音ミク×Google/艦これとメカ少女/2010年代後半|FGOと作家性特化型タイトル/イラストの責任/高収入、生活の安定化/チャイナ・インヴェイジョン|寄稿:動漫とインターネットの歴史からみる中国サブカルクロニクル(藤澤 海)|バーチャルタレントの登場/表現への暗雲
・漫画「バズれ! SNSイラスト部2」へんりいだ
・インタビュー:コミティア実行委員会
・インタビュー: pixiv
・漫画「バズれ! SNSイラスト部3」へんりいだ
・インタビュー:セルシス
・インタビュー: MUGENUP
・おわりに
・巻末資料: pixivデータ集&年表
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