KAI-YOU編集部では、毎日のように『HUNTER×HUNTER』及び、作者である冨樫義博さんに対する考察/議論が行われ、しばしば社内における対立に発展するケースすら見受けられるようになっており、『HUNTER×HUNTER』の影響力の強さを実感せざるを得ない状況。
今回の「ハンター座談会」では、連載開始直後に突如として開始された、クロロ・ルシルフルvsヒソカ・モロの天空闘技場での決闘を考察。
『HUNTER×HUNTER』トップクラスの人気と底知れぬ強さを持つ両キャラクター。その対戦の伏線は15年前の連載当時に描かれていたヨークシン編まで遡ります。
しかし、連載初期から活躍する人気キャラクター・ヒソカがまさかの瀕死状態に……!?
ハンター座談会の登場人物
bpm
KAI-YOUのアートディレクター/ラッパー。MtG部の部長であり、KAI-YOU Barの店長もつとめている。
わいがちゃんよねや
KAI-YOUのCEO。最近なぜか髪の毛が金髪になった。いつも眠そう。
ふじきりょうすけ
KAI-YOUのディレクター。鉄砲玉として日夜奔走している。ジョジョも好き。ギターはリッケンバッカー330。
以下、単行本未収録分の『HUNTER×HUNTER』の話題が多く出てきます。ネタバレに気をつけてください。コダック川口 a.k.a GUCHIKIN
なかなか動画をアップしないYouTuber/ライター。ハンターはそこまで詳しくないが座談会によく参加する。
ヒソカ、かなりピンチ
わいがちゃんよねや いま天空闘技場で、15年越しの因縁が激突してるわけですが、ヒソカとクロロ、どっち勝つとおもいますか? というかヒソカは死ぬとおもいますか?ふじき もったいぶった挙句ろくに反撃もしないまま死ぬなんて……。腕も足も吹き飛んじゃったのは衝撃。
コダック川口 連載が再開してから毎週死にかけてますよね……ヒソカ……。死ぬか死なないかというより、死んでほしくないという気持ちは大きいです。
bpm それは僕もそう。
わいがちゃんよねや ふじきは、ヒソカは死なないと思ってるの? 死んでほしくないって思ってるの?
ふじき もっと早く死んでほしかったというのが正直な気持ちです。
わいがちゃんよねや それはどういう意味?
ふじき ぶっちゃけ、クロロvsヒソカ戦のエピソード、期待は大きかったけど、つまんなかったじゃないですか。
わいがちゃんよねや&bpm へ!?!?!?!?(驚)
ふじき 戦闘もすごい長いし。このままヒソカが負けるようなら、2話目くらいでいつもの冨樫先生みたくあっさり容赦なく殺すべきなんですよ。このままヒソカが何もせずに終わったら、冨樫先生の信頼性に関わりますよ。
bpm 面白くするためにはヒソカを殺さないほうがいいってこと? たとえ来週にヒソカが死ぬにしても、何かしらの意味性を持たせて、エンターテイメントの水準を損なわせないのが冨樫義博という作家の才能じゃないですか? それにこれまでの戦闘クロロの圧倒的な力(頭の良さ)を説得力を持って描けてはいると思う。さすがにつまらないという意見は看過できない。
わいがちゃんよねや ふじきどうした? (冨樫教の)異教徒は導く以外ありえないよ。
コダック川口 ……(この人たち怖すぎる)『HUNTER×HUNTER』でここまで長引いたバトルってありましたっけ?
わいがちゃんよねや 単一のバトルではないね。通常のバトル漫画と同じくらいの長尺で描いてるのは、むしろ『幽☆遊☆白書』からあまりないと思う。浦飯のソロを含む主人公チームvs仙水はたしかに長かったけれど。
ふじき 僕の予想はこれです。来週に期待してますよホンマ……。
1.無慈悲に殺して読者をびびらせる(ポックルのパターン)
2.さらに長引かせて死に意味をもたせる(会長パターン)
石田スイによるヒソカ漫画は伏線?
わいがちゃんよねや 俺は、石田スイさんとの対談と、ヒソカを主役にした二次創作漫画がこの時期にあえて公開されたことも、ヒソカの死に説得力をもたせていると思っている。bpm 僕も思いました。むしろ石田スイさんがヒソカ漫画を描いたせいで死ぬと思ってます。
bpm 間違いない。ちゃんよねさんも感じましたか……。
ふじき 煽ってますよね。
わいがちゃんよねや 石田スイさんが熱狂的な冨樫/ヒソカファンであることは間違いないよね。でもそういう熱狂的な読者を裏切り、踏みにじるのが大好きなのが、冨樫義博という男なんよ。だからこそ読者の想像の斜め上をいく、予定調和にならない作品を生み出すことができている。
ふじき ぼくはあの対談、冨樫先生の「気が向いたら描くっす」っていう発言に感動しましたよ……冨樫ほどの天才が、社交辞令するんだなって。
ヒソカが死ぬと仮定したらどう死ぬかという話
ふじき まあ足も手も吹き飛んでますし、ヒソカの逆転の目はかなり薄いと思います。もう死ぬことにしましょう。でも、死ぬならどう死ぬかですよね。わいがちゃんよねや 爆散以外ありえないとは思うけど、もしかして、本当に1割くらいありうるって思うのが、実はタイマンじゃなかったとか。クロロは自分ひとりで盗んだ念を駆使しているように見えるけど、実は観客に旅団が紛れて援護してるってパターン。やっぱりクロロがあそこまでベラベラと能力の説明をした理由がまだないし、それは冨樫先生っぽくない。クロロがひけらかしたがり屋な性格だと言われれば、まあ納得はするけども。
bpm それめっちゃ面白い。旅団は団長への忠誠心がすごいメンバーもいるし、基本的にはチームプレイが得意ですもんね。
コダック川口 ええっ、観客席に旅団いたら、ヒソカにばれないかなさすがに。
わいがちゃんよねや いや。ヒソカは気づけないと思う。インターネット上でもよく揶揄されているけど、ハンター試験のときに、ゴンの尾行すらも感知できなかったからねヒソカは(笑)。
コダック川口 確かに「絶」を使えないゴンに気づいてなかった……。ヒソカ……。
ふじき 旅団メンバーは変装うまいし、クロロの能力で転校生(コンバートハンズ)っていう見た目を変えることができる能力もあるし、観客も有象無象にいる。なしじゃないですねその考察は。死を覚悟した、最後のヒソカが言ってた「どうせ死ぬなら……」の次はどう続きますかね?
bpm 道連れ、派手な死に方、超ハイリスクな新技(「発」)っていうのはすぐ思いつきますけど、それ以外にありますかね?
わいがちゃんよねや ヒソカの隠された「発」……っていうのが大方の予想だけど……。それだと普通すぎる気もする。
ふじき ヒソカの流儀・性質上、道連れはないでしょう。「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)」を使わないままってのも悲しいですね……。
物語的な快楽を裏切るのが冨樫義博
わいがちゃんよねや 「栞のテーマ(ダブルフェイス)」っていうか「盗賊の極意(スキルハンター)」の本に「伸縮自在の愛(バンジーガム)」くっつけて本が開けないwwwみたいなの想像してた、戦闘はじまる前は。しかし実力の差がありすぎました……。bpm 実力もそうだと思うんですけど、戦闘の前準備が半端なかったですよねクロロ。本気で勝ちにきている。まあそれが「ハンター」における戦闘の醍醐味です。
わいがちゃんよねや ヒソカは愉快的に戦ってて、クロロは勝つためにやってるからね。俺は普通の少年漫画だったら、ヒソカが勝つと思うんよ。でも前の対談で言った通り、通常の物語的な快楽を裏切るのが冨樫義博であり、ハンターにおける創作論。クロロが勝っちゃうんですよね。それに2ちゃんねる見てたら、みんな涙目でした。
コダック川口 気が早いよ;;
bpm ハンター信者ってファンの割には冷静なところありますからね。
コダック川口 引き分け、または、なんらかの方法でヒソカが死を免れる可能性ってないんですかね?
bpm ヒソカを助けるような人が乱入してくればワンチャンあると思うんですが、多分ヒソカを助けようとする人はいないですね。イルミですらギリギリ助けないと思う。
わいがちゃんよねや 疑問点があるとすれば、クロロにヒソカを殺すメリットってあんまりない気がしていて。やっぱり殺さないで、「盗賊の極意(スキルハンター)」でヒソカの能力をもらうとかじゃないかな、生き残る道は。死なない道があるとすれば。
bpm あと第三の「発」で逆転……はもっともありえそうで、逆にそれがもっともハンター的じゃない気がしますがね。クロロが粋な計らいをするしか道は残されてないかも?
わいがちゃんよねや ドッキリテクスチャーで、観客の屍体とヒソカの顔を入れ替えて攻撃するとかあるかも? 死んだと思ったら生きてた〜〜 的な。それでも勝てるかどうかは怪しい気がしますが。
bpm 今回の戦いの前にクロロがヒソカに「やめとけ死ぬぞ」って宣告した後に、いざ戦うってなった時に「面白いな人間は」みたいなセリフがありましたね。なんか観察してるっていうか、クロロはやっぱり人や世界を俯瞰していて。粋な計らいがあるとしたら、そこが伏線になるんじゃないかなと。でも、ヒソカそれやられたら泣きそう。
ふじき どうやったら面白くなるんでしょ?
bpm いや、すでに圧倒的に面白いだろどう考えても。
わいがちゃんよねや そこでヒソカ回想編ですね。
ふじき さすがに回想編になったらいやだなあ……。
そもそもなんでクロロとヒソカは戦ってるの問題
コダック川口 クロロはなんでヒソカと戦おうと思ったんだろう。別に逃げようと思えばいつまでも逃げ続けられると思うけど、なぜ決着をつけようと思ったか。スキルハンターの能力集めてたってことは、もともと戦うつもりで機が熟すのを待ってたということになりますよね。bpm クロロには「動機の言語化か……あまり好きじゃないな」っていうかっこよすぎる台詞があるけど、気まぐれではなさそう。今回の戦闘、ほとんどヒソカのモノローグで進行していて、クロロの胸中は察せないんですよね。
わいがちゃんよねや あんまりそもそも好んで戦闘するタイプじゃないすよね、クロロは。だからこそ戦闘に至る過程は気になるし、そもそも暗黒大陸編と照らし合わせて、どの時系列で戦ってるのかも明らかになってない。ヒソカと戦うことのメリットとは?
bpm 旅団の誰かが殺されてるとか。
ふじき 報復か。クロロ以外の旅団が死んでたら、ハンター的には相当アツい展開ですね……。
わいがちゃんよねや 報復は好きそうだからなクロロ。ウヴォーギンの例もあるし。
bpm マチとかシズク、ノブナガ、フランクリンあたりは死んでもおかしくなさそう。というよりヒソカが倒せるのはこの辺が限界な気がします。
わいがちゃんよねや 「伸縮自在の愛(バンジーガム)」で義手と義足をつくって、ゴムゴムのピストルを打ちますよヒソカは。
bpm それはさすがに見たくないです……ヒソカに恨みでもあるんですか? まあしかし、カストロと戦ってた時にゴムゴムのピストル的なロケットパンチはしてました。しかし、よくよく考えるとこれ、フランクリンやっぱ死んでるな……。
コダック川口 ええ!? 能力使われてるやつは少なくとも生きてますよね……フランクリ〜ン……(涙)
bpm クロロが披露した両手能力って、普通のハンター読者なら真っ先にフランクリンの「俺の両手はマシンガン(ダブルマシンガン)」が思いつくじゃないですか。でも出てこない。ダブルマシンガン、ヒソカには有効そうな能力じゃないですか。出てこないのはおかしい。
結論は、ヒソカは死ぬ
bpm ヒソカ7:3で死ぬに1票。最後にフィナーレ的な死に方するみたいな。ヒソカの走馬灯的に戦う前が描かれて、そこでフランクリンがヒソカに殺されてたみたいな感じになる。戦ってる理由はフランクリンの報復。わいがちゃんよねや ヒソカが死ぬ前に大奇術するのは面白い!
bpm 蟻編でシュートが跳んだ時みたいな、見開きでかっこいい最期を描いて欲しいですね!
ふじき 最初にも言いましたけど、ここまで引っ張ったからには何かしらヒソカの反撃がないと納得できないですよね。クロロも知略で攻めてるって点では「ハンター」っぽいですけど、全く同じ位相で戦ってる感じしないですし!
コダック川口 ヒソカ死ぬにしても、何かしらの最後っ屁を放つというか、一発かますというか、華やかに死んでほしい。死をかけた奇術!
bpm ヒソカの性格に、積み上げたものが崩れる瞬間が好きみたいな描写があるから、自分を最後に壊すとかなんですかね。
わいがちゃんよねや 誰もヒソカ生存説を唱えない……。
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連載
1998年より『週刊少年ジャンプ』にて連載を開始した漫画家・冨樫義博さんが描く『HUNTER×HUNTER』。 主人公のゴン=フリークスが父親であるジンを探すためハンターとなり、キルア、クラピカ、レオリオといった仲間達との絆を深めながら、未知なる敵との戦いを描きます。 緻密に計算された高度な攻防と読者の予想を上回り続ける展開で人気を博す一方、非常に寡作なことでも知られ、現在までに500回以上の休載を繰り返していることも話題となりました。 冨樫義博『HUNTER×HUNTER』超特集では、そんな本作に魅せられたKAI-YOUの面々が、作品にまつわる疑問や伏線などを考察するコラム記事を執筆。ときには座談会も実施しながら、一読しただけでは伝わりづらい冨樫義博作品に通底する思想を紐解きます。
1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:2194)
「このままヒソカが何もせずに終わったら、冨樫先生の信頼性に関わりますよ。」
「ぼくはあの対談、冨樫先生の「気が向いたら描くっす」っていう発言に感動しましたよ……冨樫ほどの天才が、社交辞令するんだなって。」
気持ち悪りぃものを読んでしまった。
批判する以上、目を通さないとだから読んだが
「ハンター試験のときに、ゴンの尾行すらも感知できなかったからねヒソカは(笑)。」
そこ厳密にしても、、、物語の都合上どうとでも変えるでしょう。
別の記事でもだけど、ずれてんだよなぁ。
ずれたやつが、面白くないとか、こうした方が良いとか言ってると虫酸が走るわ。