最終回を迎える今回のゲンエキインタビューでは、声優の水瀬いのりさんにインタビューを行いました。
水瀬さんは、アニメ『恋愛ラボ』の棚橋鈴音役や『ご注文はうさぎですか?』のチノ役、そして劇場アニメ『心が叫びたがってるんだ。』でヒロインの成瀬順役として活躍するのみならず、NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』の成田りな役など、様々なジャンルで表現をされています。
弱冠20歳ながら声優として活躍する水瀬さんはどのような考えで日々を過ごし、どういった人生を歩み、活躍されているのかについてうかがっていきます。
記事最後には、水瀬いのりさんのサイン入り特別グッズプレゼントキャンペーンの詳細も! 取材・構成:武者慶佑・織田上総介 撮影:前田学
キャラクターに恋をして目指した、声優という仕事
━━改めて、水瀬さんはどういったお仕事に取り組んでいるのでしょうか?
水瀬いのり(以下、水瀬) 声優として、キャラクターに声をあてるお仕事をしています。声優は、あまり表に出るようなお仕事ではないのですが、自分にとっては小さい頃から憧れ、とてもなりたかった職業です。
━━小さい頃からというと、何かきっかけがあったのですか?
水瀬 幼稚園に通っていた頃からアニメを見ていて。その時にあるアニメの主人公のことが大好きで、恋をしてしまいました。
それで、自分がなりたいと思ったそのアニメのヒロインキャラクターが弓を使っているのを見て、「弓とかの武器を使えなきゃいけないのかな?」とか、いろいろ考えながら過ごしていました。
ある時に、その作品の劇場版アニメを観にいった時に、パンフレットに声優さんのお名前が載っているのを見て、「この人、誰だろう?」と思ったんですね。幼い私からすれば、アニメの中のキャラクターも現実で生きていると思っていたので、母と父に聞いたら、「声優という職業があって、アニメのキャラを演じる中の人なんだよ」と。
━━そこで現実を知ったんですね。
水瀬 ショックでした、本当に……。「好きだった主人公に会えないんだ」「好きって言えないんだな」という気持ちが溢れて。
でも、その時にお母さんから声優という職業のことをいろいろ聞いて、「自分も声優になれば、アニメの中でキャラクターと会話をすることができるんだ!」と思った時に、「声優という職業はなんて素敵なんだ」と考え方が一瞬にして変わりました。
━━確かに、アニメの中に自分自身が入ることができれば、初恋のキャラクターに好きと言えるかもしれないですよね。
水瀬 そうです。それでいくつも作品を観て、演じている人たちのことを調べ、「これもこの人が演じていたんだ」と理解していって。自分が表に出ないからこそ何にでもなれるというか、何にでも声で染まることができるお芝居の世界に惹かれました。
━━声優になりたいとはっきり意識したのは何歳ぐらいですか?
水瀬 6歳とか。
━━早いですね……!
水瀬 小学校1年生の時、将来なりたいものに「声優」と書いていました。私にとってはもうケーキ屋さんくらいキラキラしたものでしたね!
人前でお芝居をすることが恥ずかしくて、耐えられなかった
━━小学生の頃からアニメに夢中になり、中学生・高校生で将来を見据えて声優の勉強や訓練をしていたのでしょうか?
水瀬 中学は演劇部とテニス部に所属していました。両方すぐに辞めちゃいましたが(笑)。
演劇部は演技の役に立つだろうなと思って入部したのですが、舞台に立ってお芝居をするのが恥ずかしすぎて耐えられなくなり……。人に見られるお芝居がどうしても無理で、常に何かで自分の姿を覆っていたいと思っていました。
だから黒いマントをかぶった犯人役とかに率先して立候補したんですけど、その時から声が少し高かったので、可愛い役を任されることが多くて、本当にいつも「帰りたい」と思っていました……。
━━テニス部はなぜ辞めてしまったんですか?
水瀬 その頃憧れていたテニスのアニメの影響で、すごい技が早く使えるようになりたいという考えが強くて、「私がやりたいのは素振りじゃなくて、消えるサーブを打つことだ」みたいな(笑)。
入部して間もない上に、そんな考えだったので試合には出させてもらえず、すぐに辞めちゃいました。
━━素直ですね(笑)。そこからデビューまではどのように過ごしていたのでしょうか?
水瀬 デビューのきっかけは、今所属している事務所のオーディションを受けたことです。それも自分の意思ではなく、母が雑誌で見つけてきて。
その頃の私は演劇部の経験から、人前に出るのが苦手だと気付いていたので、自分が何人もの大人の前で審査されるなんて胃がキリキリするし、否定されそうで怖いし……みたいなマイナスの要素しかありませんでした。
声優の養成所に入ることも検討していたのですが、お母さんに「まだ若いんだし挑戦してみようよ!」と言われてオーディションを受けたところ、結果的に合格しました。
嬉しいというよりは「嫌だぁ〜」みたいな(笑)。ただ、お母さんはすごく喜んでくれて、お父さんも照れながら「そっか、よかったね」と喜んでくれて。
━━ご両親にとっては未知の部分が大きい声優というお仕事に対して、そのように応援してくれるのは幸せなことですね。
水瀬 現実をつきつけるような方針とは真逆でした。一人っ子だからというのもありますが、すごく愛されていて、それを日々感じながら過ごしているので、本当に両親には感謝しています。
今もライブなどにも来てくれるし、やっぱり自分が頑張る源が両親の笑顔だったりするので、「緊張するなー」とか、ちょっと後ろ向きになる出来事があっても、頑張った先に見える家族、友人の笑顔を想像できるようになってからは、積極的にお仕事に打ち込めるようになりました。
「自分の代わりはいないんだ」と奮起し、臨む
━━仕事に対して前向きになれたきっかけはありますか?
水瀬 中学校も普通に通って、高校も受験して通いながらお仕事をしていたのですが、どこか不安だったというか……。
高校2年生から大学受験の話もちらほら出てきて悩み始めた頃に、初めてのレギュラー作品『恋愛ラボ』が決まったんです。
『恋愛ラボ』が決まる前は、オーディションも少なく役に合格できず、自分の中にネガティブな考えしかなくなり、「このまま続けられるのかな」という不安もあったのですが、レギュラーが決まった時はもう本当に嬉しくて。
苦労があったからこそ大きな喜びがありました。
━━ネガティブな部分は抱えている一方で、耐えて進んできているので、根性があるとも思いました。
水瀬 負けず嫌いというわけではないんですが、初めてレギュラーを取れた時の感情をいつも思い出して、辛い時も頑張れば新しいキャラクターに出会えるかも……という気持ちで頑張っていますね。
あとは「自分の代わりはいないんだぞ」と思いながら、自分にできることをやるようにしています。誰かに見られているという意識がないと自分に負けてしまいそうになるので、「誰かが応援してくれている」と考えながらいつもお仕事と向き合っています。
楽しいお芝居の裏にある苦悩
━━仕事に対して前向きに頑張ることで、ここ最近水瀬さんのお仕事がすごく増えてきたと思うんですが、大変だったことはありますか?
水瀬 アフレコ現場で、自分の実力のなさがわかってしまうというか……。お芝居をしている時は本当に楽しいのですが、その「楽しい」の裏には、すごく厳しいこともたくさんあって。
お芝居には、「1+1=2」みたいな正解があるわけではないので、自分が「これだ」と思っていても向こうからは「なんでそんなお芝居しているの?」といった返しがあることも。
そういう時、自分はまだまだなんだと、引き出しのなさを痛感します。「何が違うのか的確に言ってほしい」と思ってしまうこともあるのですが、それを自分で導き出すのが私たちの仕事だということもわかっています。
挫けそうになりながらも、試行錯誤を経て、やっと見つけ出せた時の喜びは格別です。
━━可能性を広げるために意識していることはありますか?
水瀬 オーディションの時は、あまり準備しすぎないことですね。考えすぎると型にはまってしまって、それしかできなくなっちゃうところがあるので。
歌やお芝居もそうですが、あまり練習しすぎないようにしています。あとは原作も読み込みすぎない。正解がわかっていて臨むよりも、「どういうものなんだろう」と、いろいろなパターンを想像した方が、そのキャラクターへの幅が広がりますね。
━━チャレンジングな取り組み方をしていますね(笑)。
水瀬 そうですね(笑)。度胸がついたというか、デビューしたての私であればしっかり調べていたのですが、現場での柔軟性を求められることを知ったので、今はそうしています。
学園祭で感じた青春
━━今は声優という仕事に打ち込めていると思うのですが、学生時代に何かに打ち込んだことや青春らしいエピソードはありますか?
水瀬 比較的明るい友達がいたので、そういう人たちと学園祭の準備をしている時は楽しくて、夜にみんなと体育館で準備している時は変なスイッチが入るというか、テンション上がったりしていました。
あとは、夏休みに学校の校庭が開放されている時に、自分たちで企画して花火をやりました。私は企画した人に賛同して手伝った側ですが、担任の先生もサプライズで呼んで、すごく楽しかったですね!
━━ちなみに打ち上げ花火派ですか? それとも線香花火派?
水瀬 ねずみ花火派ですね(笑)。
━━シュールな花火ですね(笑)。お話をうかがっていると、学生の頃はややネガティブな感じだったのかと思いきや、しっかり青春もしているんですね。
水瀬 そうなんですよね! あとみんなが楽しい時に自分はあまり楽しいという感情が薄かったり、みんなは楽しそうにしていないのに私は楽しかったということが、学生生活ですごくありました。
「ここで笑うの?」って友達に言われたりして、人って不思議だなーと思いました(笑)。
10年後、20年後よりも今、表現できる場で頑張る
━━では、声優として働いてきた20歳の水瀬さんですが、今後の目標や展望はどのようなものでしょうか?
水瀬 今の私の中には「生涯現役!」みたいな野望は全くないです。先のことを想像するのが苦手で、10年後、20年後みたいな話をされると、規模が大きすぎてよくわからず……。
本当に「将来こうありたい」というような像はあまりないのですが、今、毎日がすごく楽しくて、辛いこともたくさんあるんですけど、それを超えるくらい楽しいことの方が多いお仕事をできているというのは、とても恵まれていると思います。
今年は歌手としてソロデビューをさせていただいたりして、これからは役者としても、歌を歌う人としても表現できる、それが好きな私には天国のような場所なので、その環境が続いていくことを今はすごく望んでいますね。
━━そんな中で、あえて2016年に何か目標を立てるとしたら何でしょうか?
水瀬 なんだろう……街で気付かれてみたいです(笑)。
私、全然オーラがないので、あまり気付かれることはないんです。アニメイトさんやゲーマーズさんなどの店舗回りをさせてもらった時に、サインを残していくのですが、それに気付いた女子高生が「あーっ!」って気づいてくれた時、「私って芸能人なのか?」みたいな(笑)。
手を振るだけで「きゃー!」って言われる経験は滅多にないので……。だから、その時はすぐに親に報告しました(笑)。
でも、本当に嬉しくて。同年代くらいの女の子で、高校生だったらバイトしながら買ってくれていると思うので、自分の頑張ったものがちゃんと届いているんだなということを実感しました。
━━最後に、現役で活躍する方として、これから第一線で戦うような人たちにメッセージを送るとしたら?
水瀬 好きな気持ちに正直に……というか、私が今いる声優さんの世界も本当に厳しいですし、こういうお仕事に就きたいという方も、きっと簡単になれるものではない世界だと思います。
頑張っても全てが報われるわけではないですし、みんなが平等に頑張っていたらそれを神様が救ってくれるわけでもない。でもそんな中でも、頑張ることを止めなければ、前進はできるかもしれない。
頑張ることを止めてしまったら、その先の道は100%なくなるのですが、頑張ることを止めなければ1、2%くらいは可能性があるかもしれないので、好きな気持ちに正直に、頑張ることを止めないことです。
━━水瀬さんは、どうやって「頑張る」ようにしているんでしょうか?
水瀬 夢を追いかけていたら頑張ることが好きになっていくというか。
最初は面倒臭いし、絶対に素敵なものが待っているというわけでもないし、保証がない中でどうやって頑張ればいんだろう……と思うんですが、でも少しずつ変化していくものを見ていると、頑張ることへのメリットも見えてきます。
いつしか頑張ったものを評価してもらえた時に「頑張ってよかった」と思うので、頑張っていればきっと頑張ることが好きになると思います。でも、頑張りすぎには要注意。私も息抜きしつつ頑張ります。
「カルピス」Twitterキャンペーン情報
今回の水瀬いのりさんのインタビューとあわせて、「カルピス」ブランドのTwitterアカウントでプレゼントキャンペーンを開催します!
プレゼントキャンペーンに応募すると、抽選で2名様に水瀬いのりさんのサイン入り「朝顔グラス」と「カルピス」ブランド商品セットが当たります。
応募方法は下記の通りです。
STEP1:Twitterでカルピス水玉通信(@calpis_mizutama)をフォローする。
STEP2:キャンペーンページの「ツイートして応募する」ボタンからツイートをする、
または,ハッシュタグ #カルピスゲンエキインタビュー をつけてツイートをする
※既にフォローいただいている方はSTEP2のみで応募完了となります
※ハッシュタグ#カルピスゲンエキインタビュー は消さないでください
応募締切は2016年1月7日(木)12時まで。抽選の上、当選者の発表は運営事務局から当選者の方へのみTwitterのダイレクトメッセージでご連絡させていただきます。ぜひ応募してみてください!
キャンペーン詳細URLはこちら http://www.calpis.co.jp/present/twitter_geneki09/
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水瀬いのり
声優
12月2日生まれ、東京都出身、ソニー・ミュージック アーティスツ所属。
TVアニメ「ご注文はうさぎですか?」チノ役、「がっこうぐらし!」丈槍由紀役や、2015年秋に公開された映画「心が叫びたがってるんだ。」の主人公、成瀬順役などヒットアニメに次々と出演している他、2013年度NHK朝ドラ「あまちゃん」に劇中アイドルの一員、成田りな役で出演、同年末の紅白歌合戦にて挿入歌を歌唱。
2015年12月2日、20才の誕生日に待望のソロ歌手デビューを果たした。
デビューシングル/『夢のつぼみ』 発売中
01. 夢のつぼみ
02. 笑顔が似合う日
03. あの日の空へ
連載
全9回まで展開したカルピスの「ゲンエキインタビュー」では、様々なジャンルで活躍する現役の方々をゲストに、ロングインタビューを敢行。 声優の内田真礼さん、諏訪部順一さん、水瀬いのりさん、Pileさん、アニソンを中心に活動する歌手のLiSAさん、プロ棋士の橋本崇載さん、ラテアーティストの松野浩平さん、サイクルフィギュアの佐藤凪沙さん、プロレスラーの丸藤正道さんにご出演いただきました。 それぞれの来歴や仕事への意識、そして他ではなかなか聞けなかったら青春や初恋についてのぶっちゃけトークまで、カルピスを飲みながら赤裸々にお話いただきました!
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